23日
火曜日
象印赤尾敏
赤尾敏、自民党に入党!? 朝、夢の中でブヨが血を吸う場面を教育映画で見ていた。もっとも、ハチやアブならよく知っているがブヨってどんな形だったかよくしらないので、そこらへんはアヤフヤ。7時10分起床。早いはやい。朝食、五郎島金時を蒸かして、ニンニクミソをなすって。美味しとも美味し。それとフジリンゴ。
産経新聞国際面のコラム『食の政治学』(在パリ・山口昌子氏筆)に、一九九六年一月八日に前立腺癌で死去したフランスのミッテラン前大統領が、その死去の一週間前の大晦日に食べた約三十個の生ガキとズアオホオジロ二羽のことが書かれている。まことに面白い内容で全文引用したいくらいだが、末期癌の苦痛の中で、生ガキの皿を何枚も重ね、好物の珍味、ズアオホオジロのロチ(頭も足もついた状態の丸焼き)にかぶりつき、“骨を噛み砕き、血汁をすすって丸かじり”している様子を、その評伝(ジョルジュマルク・ブナモ『最後のミッテラン』)から引用している。
「作業(注・鳥を食べること)が終わると、彼はゆっくりと後に頭をそらして伸びをした。エクスタシー」
とそこには書かれているそうだ。わかるなあ、その気持ち。私も以前、某所でご禁制の野鳥のヒナの丸焼きにかぶりついたときはそういう感じだったですよ(昨日の鳥 源でのウズラも似た感じだった)。山口氏は「三度の挑戦で八一年に大統領の座を獲得、前立腺がんや隠し子騒動を乗りきり、第五共和制で十四年という最長在任記録を誇るミッテラン氏。その権力に対するすさまじい執念は、この恐るべき食欲にも通じそうだ」
と書いている。まさに人を知りたくんばまず、その人が毎日何を食しているかを知るべし。人が“今朝何食べたとか、そういうことを誰が知りたいか”と言っていた人 がいたが、こういうヤカラには所詮、人間も社会もわからない。
朝、第三書庫(納戸)の中をデジカメで撮る。松尾スズキ映画に貸し出すのだが、こういう書籍群でいいか、という確認にメールするため。原稿、と学会本4本目にかかる。天皇誕生日故に、二・二六事件碑の前で調子っぱずれな君が代を歌うおじさんが入れ替わり立ち替わり。しかし、天皇誕生日に二・二六事件碑の前で君が代を歌う というのも、筋が通っているようで通っていないようで。
K子の仕事場宛に来たメールが転送される。差出人がIVSとあるので、精神寄生体か、と一瞬思うが(ペリー・ローダン未読の人にはわからないシャレ)、そうではなくて(当たり前だ)テレビ番組制作会社。日本テレビ月曜深夜の『爆笑問題のススメ』に出演をお願いしたい、との内容。制作著作が札幌テレビ(STV)だというのが意外。返事をメールして、出演に問題ナシと言っておく。収録は来年。
昼は新宿に出る。と学会本に関係している資料を確認するため。紀伊國屋に行くが一発で目的のものに当たったのは運が良かった。一階入り口前の店頭販売コーナーはこないだから雑学特集なのだが、私の『トンデモ知行知識の世界』も『切手を舐めると2キロカロリー』もナシ。ブームの仕掛け人とかあちこちで言われているが、まあこんなもんである。そのかわりに、なぜか『近くへ行きたい』が置いてあった。
伊勢丹の食品売場へ。しゃぶしゃぶ弁当を昼用に買う。あと、自然食品売場で、そそろそろ残り少なくなっているニンニク焼き味噌を買おうと思って探したが置いていなかった。タクシーで帰宅、弁当を使う。眠くなったので、少し横になって、江戸随筆集成から『雲萍雑志』など拾い読み。もっとキチキチと仕事すべきなのだが、体を 壊してはモトもコもない、と言い訳。
6時くらいから本格的に原稿書きだし。冒頭部分で資料を引く必要が生じ、これを探すのに45分くらい時間を浪費する。しかも、やっと探し出して筆写したそこの部分は、最後の最後に、字数調整のためにカットしてしまった。やれやれ。ともかくも面白い感じにはなってきたが、半分ほど書いた時点で時間切れ、8時半になったので下北沢へ。こういうときは独身で書き上げるまで食事だろうとなんだろうと引き延ばせる身がうらやましいが、しかしそれやっていると結局、体がズダボロになる。明日 朝早めにやれば出来るということは経験上わかっているのであせらない。
下北沢、まず虎の子に寄り、こないだのバッグと、キミさんのお古の服(K子用)を受け取る。その後、すし好。今日はカウンターがほぼ満席で、端っこの方になってしまった。初めての人(顔はしょっちゅう合わせている)がついてくれるが、腕はいいんだろうが、まだこちらの好みを認識していないので、お勧めの品がどれもK子の嫌いなものだったりして、調子が食い違う。それでも、今日は久しぶりにシャリが柔らかめで(と、言っても当然のことながら家でのメシよりは固いが、これまでのがバリバリに固かった)、美味い。寿司のシャリはツブが立ってなきゃ、とか言うが、そ れも程度問題である。ヒラメ、イワシ、甘エビなど。