裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

24日

日曜日

リケッチアいるけどやめられねえ

 気がつきゃ発疹チフスでゴロ寝、これじゃ体にいいわきゃないよ(当たり前)。朝がたの夢、弟(豪貴のさらに下)の嫁に藤原紀香がやってきて、家族で高級居酒屋のようなところで食事するが、案外紀香はハラが出ていて、おふくろが“タレントなんだから、少し気を使いなさい”と彼女を叱る、というもの。朝7時半起床。オニオン スープが切れていたので、玉葱炒めて自前で作ってみる。風味足りないのは玉葱を焦がし切れなかったせいか、あるいはまだ風邪舌のせいか。

 クリスマスイブも何もなく仕事。二見書房の小説と、エンターブレインの対談本。エンターの方はかなりセッパ詰まっているので、二見のYさんに、申し訳ないが後まわしにさせてください、と懇願メール。なんとか了承を得る。仕事しながら、せめて少しはイブらしく、と、CDでクリスマス・ソングをずっとかけ続け。ルイ・アームストロングの『ザット・ユー、サンタクロース?』が面白い。

 昼飯は仙台長ナスで茶漬け。Web現代Iくんから電話、昨日送った原稿の手直しの件。あそこをもっと説明して、あそこのこともわかりやすく指摘して、と、いろいろ付け加えた上に全体で四○○字ほど縮めなくてはならない。今回は構成をかなりキチッと作ってある原稿なので、どこを縮めるかが難しいのだが、これが、やっているとパズルみたいでなかなか楽しめる作業でもある。注文を全部入れて、なお四○○字弱縮めることに成功。なにかエラくなったような気分である。Iくんから折り返し電話。彼もイブなのに年末進行で仕事々々。

 雑用も、今年最後の週を迎えていろいろたまっていることあり。いくつかの編集部に原稿料の振込先のFAX。27日に打ち合わせが集中しているので、時間をズラしてくれるよう、それぞれの携帯に電話。幹事を引き受けている忘年会の人数の最終確認。年頭早々の取材仕事の場所選定。インタビューに持っていくブツの数の確認、芝崎くんに、大掃除手伝いの依頼連絡エトセトラ。雑用というもの、めんどくさくもあ り、楽しくもある。

 6時、買い物に青山まで出る。車中、河合政『チャンコ修行』(朝日新聞社、昭和四七年)を読んでいたら、鯉は塩焼が一番うまい、と書いてあった。江戸時代の話、小塚っ原では処刑される罪人の最後の食事に、必ずこの鯉の塩焼を出すのがしきたりだったとか。もっとも、これはうまいからではなく、一番手のかからない料理法だったからだろうが、鯉の塩焼のうまさを文献で確認してうれしかった(この前に何かの本で読んだ記憶があるのだが思い出せない)。鯉の食べ方で次にうまいのが鯉こくの目玉のところ、だとか。

 紀ノ国屋、イブで大混雑。ローストチキンやケーキ売り場には行列が出来ている。私はごく普通の惣菜の材料を買って帰る。帰りはブラブラ歩きながら、タワレコなど冷やかす。家で圓生の『安産』のCDを聞きながら料理。豚肉と豆腐の煮物、がんもどきとニラのたきあわせ、それと小鯛で鯛めし。全部で材料費。三千円かかってないクリスマスディナー。舌も復調して、味がわかるようになったのは目出度し。NHKニュースの1957年のビデオを見ながらK子と食べる。それから007ものやヨーロッパものなどのビデオを見散らかしながら、日本酒とバーボンをちびちびやる。寝る前に、パブロンを一服。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa