裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

日曜日

のいるSOS

 こいる、早く助けに来い! 朝、7時半起床。朝食、ソーセージと芽キャベツのカレー炒め。『遠くへ行きたい』で渡辺文雄が有馬温泉を訪れていた。神戸にはしょっちゅう行くが、有馬温泉には一度も足を延ばしたことがない。味噌汁みたいな色の温泉に興味がわく。温泉の映像が意識の中に強烈に飛び込んでくるほど、寒気がきびしくなってきた。

 風呂、日記如例。1時からTBS取材のため、部屋を少し片付ける。11時、メシを食いに六本木へ。ロクな店が開いてないので、明治屋で銀ダラ弁当なるものを買って帰り、家で食べる。銀ダラはいいが、他の副食物がおサツ、南京、煮豆と甘いものばかりなのに少し閉口。東急ハンズへ出かけて取り付け具を買い、かねてからやらねばと思っていたポスター類の壁かけや、オモチャの整理を行う。他人が家に入ってくるのは億劫だが、その代わり家の中が片付くのである。

 取材班、三○分遅れて来宅。一応見せてください、とか言って片付けてない仕事場までのぞかれるのはやはりイヤなもの。結局、こちらの提案通りビデオ棚の前での撮影になる。ここが一番絵になる、と何ども撮影に来られてわかっているのである。子供向けヒーローものの主役がその後大成しないというジンクスは本当にあるのか、という主旨。ある、という前提で話してください、というので、それは確かにあるけれども、今はそういう状況も変わり、むしろ若手にとってはヒーローもの、ヒロインものはその後の出世がかなり高い確率で約束されている、と言う話でいいかと確認。あまり悪いことを言うと業界でトヤカク言われて仕事に差し支えるからであるが、ゲストがスタジオに来るので、それを結論にしてもらえばかえってありがたい、ということで一応安堵する。合計で二○分ほど話す。使われるのは一分くらいか。案外オモシロイ話が出来たつもりで、ディレクターが満足げだったが、つままれるとまるで馬鹿に見えるかもしれず。このところフリートークの自信がなくなりつつある。

 結局、一時間ほどで引き上げていく。ギャラが発生するかどうかはまだ解らず。アシスタントがTBSとロゴ入りのバスタオルとボールペンを置いていく。何も言わなければこれでオシマイであったかも知れない。何か肩が張る。さっき六本木に出たときポツポツ来ていたから、久しぶりに気圧のせいか。マッサージ予約する。

 それから大至急でWeb現代原稿、旅行前のストックを一本書き上げる。準備も何もナシで行き当たりバッタリに探したサイトでやっつけたが、サイトそのものは非常に出来がよく、文章もイキオイがあって、案外いいものになった、気がする。編集部とK子にメール。

 明日のインタビュー資料探して、まんがの森、ロゴスと回るが、いいのがなし。タワレコにも行きたかったが、マッサージ予約の時間があるので諦める。新宿へ出て、マッサージ。左肩が凝ってる凝ってる。これは、冒頭にも書いた寒気のせいで、窓際に常にさらされる左肩の血行が悪くなるせいではないか。G4は部屋の中央の書き物 机の上に置くことになるので、この慢性の凝りも来年からは回復するか?

 8時、タクシーで参宮橋。ビストロ・くりくりにて、講談社のIくんOくん、それからWeb現代デザイナーのNさんと食事。いわゆる接待というヤツである。最年長のNさんが三十二歳。いかに自分がロートルであるかを思い知らされるが、話題がそれほどズレないのもまあ、頼もしいような。Iくん、沙村広明の担当だったそうで、彼はじめいろいろマンガ家の情報、講談社の情報などを聞く。先代社長が死んだ話で(以下三十八文字削除)。クリクリの絵里さんが、二代目ドーベルマンを連れてきて見せてくれる。みんな、こわごわながら頭を撫でる。初代はもうロートルで、だらしなく寝そべったりしていたが、こいつは若い(生後十ケ月だが、もう凄い体格)だけあって、シャンと背筋をのばしており、カッコいい。親方講談社というので意地汚くいろいろ食べる。羊のシシカバブが絶品。ワインもうまかった。Oくんにタクシーで 送ってもらう。

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