裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

16日

土曜日

クンダリニケッタリニ

 インチキヨガ道場にひっかかった上に、オウムじゃないかなんて疑われて、もう。朝、7時起き。感心にちゃんと目が覚めることである。ただし、今回の旅行で、新幹線での移動というのがかなり疲れるものであることを知った。マンザイブームのときの人気者たちは大変だったろうなあ。朝食、K子には神戸で買ったエピパンとハム。私は13日にあけたホタテの缶を使いきってしまわんと、と思い、ペペロンチーノ。

 旅行中の日記をつける。鶴岡から電話。塚原くんの話で午前中つぶす。彼の方でも担当だった編集者たちからいろいろ話を聞いているが、聞くだにユーウツになるようなエピソードばかり。葬儀の模様を鈴木輝一郎氏の日記で読み、その場の雰囲気は大体わかったが、どうも、奥歯にものどころではない、コンクリートを流し込んだような記述であるところが、かえって全てをものがたっているように思う。向精神薬漬けの人間を焼場で焼いたら、そのケム吸った参列者がラリらねえか? などと、人非人な冗談を飛ばす。そんなことでも言わないとやりきれない。13日の日記に、彼に関することで、少し舌たらずな部分(急いでUPしたため)あり、改稿する。

 2時、気ばらしに神保町へ出る。今日は古書展は和書中心の会なので行くつもりはなかったのだが、一応入ってみたら、食文化関係の本で、案外面白そうなものがいくつかあった。通叢書の『支那料理通』(四六書院、昭和5)があったのはラッキー。七○○○円ほど。出て、キッチンカロリーで鳥カラ揚げサラダ定食。ここの料理で、一番健康に悪くなさそうなのがコレである。3時近かったがほぼ埋まった他のテーブルで、若いカップルや明大生や、昔から通ってきている常連のおじさんたちみたいな人々が、じゅうじゅう鉄板に油をはぜさせている焼肉定食ジャンボカツ付きだとか、シーフードフライ盛り合わせなど、体に悪そーうな、実にウマそーうなものをモリモリ食べている。

 それから、私にしては珍しく一○○円均一棚などを冷やかして歩き、キントト文庫で春歌のソノシートなど買って帰る。少し寝ようかと思ったが、原稿書きの方を優先して、ダラダラと。電話数本。快楽亭、どうやら芸術祭、取れそうとのこと。いや、実にめでたい。めでたくない話もあり、古書すがやの奥さん、このところの札幌の大雪で、凍った道ですべって転び、腕を骨折してしまったとのこと。救援目録、というのが来たので、急いで十数点、買う。他にもオミマイを送る算段。まあ、“本人は傷痍軍人の真似をして歌をうたったりしております”などとあるから、大したことはな いと思うが。

 7時、東武ホテルロビーにて福音館書房T氏と待合せ、時間割に場所を移して打ち合わせ。来年の新年号からの連載の件。ここは前々から連載を依頼されており、特集もやってくれと言われており、ええヨゴザイマスとも、いまちょっと忙しいんですがこの火事場が過ぎたら、などと返事を何度もしたっきりになって、放ったらかしにしていた。T氏に何度も無駄足を踏ませて気の毒ではあるし、大変に興味深い仕事ではあるのだが、他の仕事に比べ、読者層が違いすぎるので企画編むのがやっかいで、さらに原稿あげてから掲載されるまでのスケジュール組みが他の出版社と違いすぎ、よし、という立会いのタイミングがどうしてもあわなくていたのである。今回の連載ばなしはアチラの企画に乗っかる、というものだが、なにしろ第一回を今年じゅうにあげなくてはいけないという超緊急スケジュールであり、これが逆に私のリズムに合ってしまったので、即、お引受けした次第。

 9時、すし処すがわら。なぜか昨日から食べたくて仕方なかったマグロのヅケが突き出しで出て、大満足。白身、赤貝などの他、イカの茹でたてが出て、これが柔らかさの極みで、大感激。ウマヅラハギの煮つけも珍味。途中、携帯が入り、ロフトプラスワンで二月七日に眠田さんと何かやってくれ、ということなので、前から企画していた、アメリカン・カートゥーンのライブをやろうと即決。後で思い出したが、七日はコンテンツ・ファンドの撮り日だった。まあ、一回くらい休みもよかろ。

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