裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

7日

木曜日

むっつりスケボー

 海にもぐるとむっつりスキューバ。朝7時起き。このところ体調きわめて良好。朝食はピタパンに目玉焼はさんだもの。K子にブロッコリ炒め。モーニングショーの鈴木その子死亡報道、若いころの彼女の写真の美しさに仰天三天。あれがどうしてこうなるのだ、という感じ。死をすぐに発表せず、大急ぎで焼いてしまったのは死顔があまりのことだったのではないかとか、焼場に合成樹脂焼いたような匂いがただようからではないかとか、いろいろな妄想が。朝、『Memo男の部屋』の原稿、磨き直してメール。やはり、ひと晩おいて直すと格段にまとまりがよくなる。

 ゆうべ帰りに乗ったタクシーの運転手の話。数週間前の深夜こと、銀座で美人を一人、乗せた。同僚らしい男性たちと一緒だったが、“わたし、これ以上飲むと大変だから”と一人で乗り込み、行き先を告げた。手に持っていたチケットから某国営放送の人間だということがわかった。そう言やどこかで見たことがある顔だった。彼女はしっかりとした口調で行き先(東京近県)を告げ、今日から三日、休みがとれたので実家に帰るんです、と、運転手と雑談をした。三十分ほど走ったところで静かになったので、うたたねしたんだろうと思い、そのまま車を走らせて、県内に入ったあたりで、後ろを走るトラックがやたらクラクションを鳴らす。なんだと思って窓から顔を出してみると、トラックの運ちゃんがニヤニヤしながら、後部座席を指さしている。トラックの高い運転席からは丸見えなのだが、こっちは椅子の背持たれに隠れて見えなかった。振り返ってみてアッと驚いたのは、熟睡している彼女が、上着はもとよりブラジャーからパンツまで脱ぎ捨てた、生まれたままの姿になっていたことだった。お客さん、お客さんと声をかけたが熟睡していてまるで反応がない。素っ裸なので、ゆりおこすことも出来ない。仕方なく、近くの交番に行き、事情を説明したが、婦人警官がいないのでそこの警官にもどうすることもできず、仕方がないのでバッグを開け、中から身分のわかるものを取り出して、実家に連絡して引き取りに来てもらい、やっとことなきを得た。その間、彼女は裸のまま、ずーっと眠りこけていた。警官たちも、某国営放送局の身分証明書を見て“本当かよ〜”“証拠写真をいまのうちに撮影しておくか”などと言い合っていたそうである。数日後、彼女はタクシー会社に上司つきそいの上でやってきて、あやまっていったそうだ。名前は(以下十文字削除)で(以下十八文字削除)だそうだが、いやはや、チャンネルをひねるたびに想像して笑ってしまいそうである。

 来年2月からリニューアルの某隔週誌コラム新連載依頼。これはまだ引き受けるかどうかわからず。また、来年3月売りのスタジオ・ボイスの映画評原稿依頼。すでに年末進行どころか、鬼も笑わぬ来春の話になっている。二十一世紀を迎えるってのがこのようなものだとは、想像もしなかった。単行本では、すでに来年夏発行の本のことを打ち合せている。

 芝崎くんから電話。メディアワークスの件、うまくいきそうだということ。近々、二人で打ち合わせ予定。昼は六本木に出て、味噌煮込みうどん。夕食の材料を明治屋で仕込む。帰って原稿書きにかかるが、なかなか進まず。今日は別に予定もないので原稿捗るかと思っていたのだが、こういう日は気持ちがダラけてしまうらしい。SFマガジンの資料探索などでもう、夕方近くなる。あわてて週刊アスキーのみ、一本、片付ける。今回は一発でスッキリとした構成となる。書いているときの勢いもあり、また材料の料理しやすさもあり、なかなか一概に言えないのが文筆業というもの。

 6時、新宿のマッサージパーラー。ここでもう二年近く揉んでもらっているわけだが、確実に効果は出ている。私は足が悪いので背骨全体にどうしてもゆがみが生じ、最初のうちは、腰のあたりを揉まれると、腫れ物にさわられたような痛みが感じられたものだが、最近はそれがすっかり無くなった。今日はいちいち、そういった部分を確認しながら、完全に治療目的の揉み方をされる。スジを深く揉まれ、痛てて、痛ててとわめきながら、体は気持ちいいのだろう、眠ってしまった。

 7時、帰宅して夕食の用意。光文社FLASHの編集さん、記事を書くのに必要な資料の××、お持ちじゃないでしょうか、と電話。たまたま仕事場にあったので、取りに来なさいと言っておいたが、料理中に来たので手渡す。ハローケイエンタテインメントからも、先日の海外エロマンガシーンの話、当初の予定外のことも聞かせてもらいたいと電話。夕食、小鯛の塩焼、春雨炒め、山芋と牛肉のスキヤキ風煮物。LDで久々に『ファントム・オブ・パラダイス』を観る。わが青春の一本。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa