裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

水曜日

色じかけのオレンジ

 タイトルに意味は、まあ、ない。朝8時起き。リアルなだけでなんかつまらない夢あり。朝食、ゆうべの肉の食いすぎで食欲なく、オニオンスープ一杯、イチゴ数粒。毎年、暮れは体調を崩し、青息吐息なるも、今年はきわめて順調と喜びいたるに、今朝になりて倦怠感あり、風邪の初期症状。日記つけるのみにて仕事するあたわず。ただし、昨夜ホッピー飲み過ぎ故、その所為なるやもしれず。新聞に如月小春クモ膜下出血で死去の報。如月小春なる文字を見てすぐ、同名の寺内小春(脚本家)のことを想起し、寺内の脚色でNHKで放映された番組『イキのいい奴』のことを思い出し、あの番組の小林薫はよかったよなあ、おふくろがこの親方の役にミーハー的にハマっていたなあ、などと、しばらくノスタルジーにふけるも、よく考えてみれば如月小春とはなんの関係もない感慨なり。

 奥さんが骨折したすがやエイドに、クール宅急便で調理肉やうどんを送る。まあ、考えてみればこれは奥さんのためというより、食事を自分で作らねばならなくなった須賀さん本人エイドだ。K子は御歳暮でもらったチョコレートまで送ったというが、人の家をまるで廃棄物処理場だと思っている。

 今月13日の記述に、『Pマン』制作の創映社のことを“三十過ぎ無職男たちの集団”と書いたが、これは事実に反する、とメンバーより申し入れがあった。VTR制作などの仕事についている、とのこと。番組では無職集団といった感じで紹介されており、そのときはあえてそういう誤解を解かなかったが、ということで、それならそれでそれをウリにするのかと思った。とり急ぎ、訂正しておきます。ちゃんと(かどうかはしらないが)社会人しながら特撮ヒーローものを撮っているそうであります。頑張ってください。詳しくは一行知識掲示板参照のこと。

 昼過ぎになって、やっと体調は回復。ただし、一日ダラリとなってしまったのは、夕方の海拓舎との打ち合わせが明日に延びたことで、なにかシマリがなくなったような気分になったため。インターネットのサイト検索などだらだらとやる。鶴岡から電話、だらだらついでに長電話となる。ともさかりえがハイレグ・ジーザスの総代とつきあっているという話題。とりあわせのアンバランスが凄い。さすが元拒食症女、などと盛り上がる。昼食はそんなわけで3時近く。冷蔵庫を引っ掻き回しても何もないので、ゴハンに卵・海苔・カツブシ・ネギみじん切りをかけて、“大鵬丼”。小学生のころ、横綱大鵬の好物がこれ、という記事を少年サンデーで読んで、大の大鵬ファンだった祖母にせがんで作ってもらってから、我が家ではこれを大鵬丼と呼称して急場の食い物にしている。

 3時過ぎてやっとエンジンかかり、福音館『大きなポケット』新連載原稿。完全なマンガ原作風に一本書き上げてFAX後、すぐ、イヤこれではマンガがかえって描きにくいかと思い直し、地の文章を多くして、絵物語風にアレンジした奴に書き換えて再度FAX。

 新宿へ出ようと今日初めて外に出ると、道が濡れている。最近は夜に入ったあたりで雨になることが多いようだ。体調すぐれぬのもこの天候のせいか、と思い至る。たいてい、こういう思イ至リは後でわかるので、何の役にも立たぬ。新宿に出て、伊勢丹で買い物。それから紀伊国屋に行き、自著一冊買う。本の中で取り上げた書籍の著者から、一冊送ってくれと頼まれたが手元にいま、自分用しかなかったため。

 8時、フィンランド語教室帰りのK子と待ち合わせてまた伊勢丹に戻り、レストラン街の中華屋で、北京ダック食べる。食欲あまりなく、これはいよいよ風邪だ、と思うが、考えて見れば(風邪気は確かにあるが)今日は昼飯食ったのが3時であり、そう腹も空いていなくて当然であった。ビールと紹興酒。用心のため、一応、帰ってから漢方薬の風邪薬のんで寝る。

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