裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

日曜日

いたし・かゆし

 ポンポポンポンポンスッポンポン。朝、6時ころ目が覚める。川のせせらぎも眠りをさまたげず(昔、鬼怒川の方の温泉宿に泊ったときは、川が近すぎて、流れの音にノイローゼになった)河鹿の鳴き声も風流に耳に響き、それらに耳をすませていると今回の旅には本を持ってこなかったが、活字に対する飢渇感もそれほど感じない。私にしては珍しいことである。その風流を7時に館内放送の“○○学校同窓会御一行さま、朝食の用意が整いました、繰り返します、○○学校同窓会御一行様……”という声で破られる。またウトウトして8時ころ起床。

 朝飯もつかぬ本当の素泊まりだったため、9時まで部屋の中で過ごす。空腹は東京から持っていったせんべい(世界文化社のDさんにロフトでもらったもの。『三木助が金庫に隠した煎餅』というふるった名前のせんべいである。もちろん、せんべい好きで有名だった先代の三木助)などを食べてまぎらす。ベランダに鳩がたくさん、とまっているので、せんべいクズや、新幹線の中でビールのつまみに食べたナッツの残りなどを放り投げてやると、集まってくる集まってくる。

 9時にチェックアウト。ゆうべのことを何か言われるかと思っていたが何にも言われず。気がついてもいないのかもしれない。玄関に、ここの名物のサツマイモの製品(さつまいもそばとか、さつまいも味噌とか、さつまいもワインとか、さつまいも飴とか、さつまいもジュースだとか)が積んであるが、こんな不用心だと盗まれてしまうぞ、と話すが、まああんなもの盗む奴いないか。昨日の道を逆にたどり、福島駅のルミネの中の小吃坊で朝昼兼用の食事。喫茶店でダベって時間つぶし。GHOSTさんも、GOOGLEやはり文字化けで使えなくなった、とのこと。2時の新幹線で東京へ。こういう旅行はたいてい帰りの日がダレるものだが、ここまで目的がないと、帰りも気楽。車中でまたいろいろと裏ネタばなし。福島駅で買ったわっぱ飯(ウニ、アワビ入り)の、ウニはまあまあだがアワビがひどい代物。歯ごたえも香りもまるでない、しなびた男根のような感触(どういう感触だ)のものであった。

 東京駅でQP氏と(これから町田だかどこだかにスズメを食いに行くそうである)別れ、新宿で鈴之助、GHOST、Gの諸氏と別れ、帰宅。風呂入り、別段疲れてもいないのですぐ、仕事にかかる。普通の観光旅行の充実感とは異なる、なにかフシギなものを体験した、という感じの小旅行だった。こういうのもオモシロイ。

 8時、K子と久しぶりに渋谷センター街の沖縄料理屋に行く。去年の沖縄旅行からこっち、K子が“本場のを食べてしまうとここの料理が塩っぱくて食べられない”と敬遠していたのだが、どういう風の吹き回しか、K子、行ってみようと言い出す。豚角煮、クープイリチイ、里芋のからあげ、ゴーヤの酢の物など。確かに本場に比べれば塩ッ気が強いが、まあ食べられる。泡盛のクース(古酒)45度を飲んでいいキモ チになった。

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