裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

8日

火曜日

オカリナオカリナオカリナ世界

 海のトリトン(古い……)。朝6時に目がさめる。パソコン回りが毎朝、朝日でまぶしいのだが、今日は曇りで結構。起き。朝食、ブドウパントーストと豆スープ。食べ終わるころにはすでにシトシトと雨が降り出す。これは今日は気圧で仕事にならないな、と思い、気力あるうちに、と急いで海拓舎原稿のみ、仕上げてメールする。カンナをかけてない荒削りな文章だが、とりあえず出来たところまで。

 案の定、その後はテンションが通常の三割減。何をやるのもオックウになる。K子に久しぶりに弁当、冷凍のエビとホタテを使って中華丼風。サンマーク用の資料などを読み、自堕落に過ごす。整理用の古い(と、いっても3月の)FLASHに載っていた、パパイヤ鈴木の今(34歳)の写真(174センチ103キロ)と、18歳の頃の写真(56キロ)が並べてあるのをK子に見せたが、K子、これは絶対別人の写真を間違えて載せたのだ、と信じようとしない。

 昼は外で食べようと外出。そのついでにSF大会の参加通知と、眠田さんへのビデオを出そうと、公園通りのローソンへ入る。手続きすませて出ようと思ったら、さしてきた傘が無くなっていた。渋谷のガキどもは油断できない。仕方なく、外で食べるのは中止して走って自宅まで帰り、家でメシを食う。冷凍庫に残っていた、金沢の桜井さんのお婆ちゃんにいただいたフグの粕漬けを使ってチャーハン。

 食べて、ビデオを見たり雑誌を読んだり。編集部から電話数本。履いていたクツがそろそろボロボロなので、新しいのを買いに行こうとか、整髪に行こうとか、新しいメガネを買わなきゃ、とかいろいろと頭では思うが、体がその誘いについていかない状態。仕事もしたくないがそれからの逃避もめんどくさいとは、とんと落語の“不精比べ”の心境である。雨の日は動けないはずのネコがいやに元気で、頭突きをかましてくる。

 汗を流そうとマッサージパーラーに行く。クツを店員が片付けてくれるのだが、ボロなので恥ずかしい。汗をさんざ流して、少しは代謝が活気づく。駄洒落がどんどん浮かぶのがその成果か。ちょっと情けない。整体のセンセイ、私のコラムを読んでいるらしい。そう言えばリラクゼーションルームに『男の部屋』があった。

 帰って、汗を出したイキオイで仕事になんとかかかる。デジタルトウキョーのML日記、片付けて送る。どうにかこれで、今日も仕事を二本、こなした。手紙類いくつか。中で四谷『まさ吉』からの葉書があり、“入院中だった店主・まさ吉の状態が回復しましたので、営業を再開いたしました”とある。ちょっとギョッとする。こないだの亡くなったという電話はこっちのカン違い?

 9時40分、新宿すがわらで寿司。K子と、まさ吉からの葉書の内容についていろいろ話す。鯛カブトの潮汁を出されて大喜び。もっとも、寿司屋にとっては捨てるところの料理を出されて喜んでいるんだから、単純なことである。おつまみで切ってもらったアワビが絶品で、初夏のさわやかさが口中にひろがり、雨の鬱気がはらわれるような気がした。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa