13日
日曜日
ホーガン贔屓
アックスボンバー、最高! 朝6時半、起き。寝は足りてないはずなんだけどな。朝陽のまぶしさに閉口しながらニフティをのぞく。オタアミのクレしん書き込み、モノ凄いのがあった。万博などでノスタルジーとはおこがましい、70年代なら“和田アキ子と藤竜也がバギーカーで追いかけっこしても、みんなで『友よ』を歌っても、機動隊の来ることのない新宿広場だとか、キンヤパックとナッチャコパックと林美雄パックが聞けて土曜の深夜は鶴光のオールナイトニッポンが聞ける自宅だとか、村野武範と赤塚真人と一緒に乗る穴の空いた、でも沈まないヨットだとか”を再現してくれ、というご意見。わかる。気持は充分にわかるし、全部のアイテムがわかるが、それはもはや『クレヨンしんちゃん』ではないのでは。今回のツリーで、つくづく思い知ったのは、否定にしろ肯定にしろ“ノスタルジーは人を凶暴化させる”ということであった。
朝食、チリコンカン。クラッカーをローストするのを省いてそのままムシってふりかけたが、やはりしけった食感がする。読売新聞書評欄、レッシグの『CODE』がやっと(刊行は3月でなかったっけ)取り上げられている。雑誌媒体ならともかく、新聞での書評はもう少し迅速を尊んでもらえないだろうか。それはともかく、この本は大変な知的興奮を味あわせてくれる本で、公権力による法の介入が、結局インターネットの自由で知的で生産性の高い場という性質を守る、という逆説論を展開している。脳天気な自由放任論は結局、アノミーを引き起こして己れの首を絞めることになる、というのが著者の理論。“自由を守るためには法の規制が必要”という、虚をつかれる指摘(もちろん、その規制を規制することも必要なのだが)は、ネットの著作権やプライバシーに関してなどばかりではない、昨日の低俗番組批判などにも、またロリ規制反対論等にも、さらにはネット会議室の運営などにも関連性のある、極めて普遍性の高い考察なのである。そういう本をよくまあ、ここまでダラダラした文章でつまらなく紹介できるものだという感じの、書評子のワンパターンにも呆れる。力強く勧めればいいってもんではない。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』の著者、ダグラス・アダムス死去、まだ49歳。27歳で出した『銀河〜』は1400万部の大ベストセラーだということだが、日本での人気はサッパリだった。英国流の、ふたひねり効いたユーモアが日本人にはやっぱり通じにくかったらしい。スーパーコンピューターに750万年かけて解かせた“宇宙と生命と万物の存在に対する究極の解答”が“42”というギャグなど、その際たるものだろう。新潮文庫のこのシリーズの三冊目『宇宙クリケット大戦争』がアッという間に品切れ絶版になり、東京じゅうの古書店を捜しまわったのも懐かしい。
昼じゅうずっとかけて海拓舎原稿。新規書き足し分といままでの部分のツナギに苦心し、1時待ち合わせを30分延ばしてもらうが結局カタがつかず、出来たところまでを持って時間割(日曜もやっているのか)。藤井くんに渡し、ちょっと話す。こないだの永瀬さんの講演の話など。ずっと前に借りたまま忘れていたタクシー代もやっと返す。会うたびに返さなきゃと思っていて、いざ会うと仕事の話で忘れてしまっていた。
帰って、今度は週刊アスキー。書いている最中、BGMで『仮面の忍者赤影ミュージック・ファイル』を聞いていたら、もう、耳についてしまって、頭の中を忍者マーチだの白影のテーマだのつむじ傘だのがぐるぐるぐるぐる回って離れない。小川寛興恐るべし。2時、東武ホテルロビーでエンターブレインNくんと鶴岡を待つ。Nくんからは少し遅れると電話あったが、鶴岡もいっかな来ず、Nくんが到着しても姿が見えない。連絡とったら、体調がむちゃくちゃ悪くなって寝込んでいるとか。金がないと病気への抵抗力もなくなる。
Nくんと、15日のロフトプラスワンでの『ブンカザツロン』トークの打ち合わせをする。この本に収録されなかった部分を中心に、ということ。イベント欄にこのことをアップし忘れていたが、ロフトでいつもの通り、7時開場半開演ってことで。あと、『裏モノの神様』の単行本のことなども。打ち合わせ後、Nくんはとりあえず鶴岡の様子を見てきます、と池袋へ。
帰って3時過ぎ、昼飯食い損ねたことを思い出して、モチ焼いて2片。アスキーをアゲてK子にメールする。買い物に出かける。やっと五月らしい陽気になって(初めて空調でドライを入れた)人出が凄い。帰って資料本検索。8時、夕食の支度にかかる。イワシのオリーブオイル焼き、湯豆腐、鮎ごはん。鮎は養殖ものだったが、K子も“ムチャクチャおいしい”と大絶賛。和製パエージャだよな。
食べながらビデオで新東宝映画『海女の化物屋敷』。タイトルだけでゲテモノ。万里昌代はじめとする女優たちのオッパイの透け具合、泳ぐ海女たちの股ぐらのどアップ、露骨な怪奇・グロシーンなど、映画は見世物、という観点から言えば“こうでなくっちゃ”と拍手したくなる作品。若き菅原文太の貧弱な体躯はジャニ系っぽい。額に緒形拳のような、かなり目立つホクロがある。東映に移るときに取ったのか。若手中心の映画で演技力はどれも苦笑ものの中、沼田曜一の怪演が(前半の伊丹十三を思わせるキザ演技と、後半のエキセンな悪党ぶりのどちらも)光る。
・『鮎ごはん』……新鮮な鮎(一人一尾見当)のはらわたを取って捨て、身に塩をまぶしてしばらく置き、ざっと水に放してから焼く。米をといで、土鍋に入れて(ガラス鍋でやると、中の状態がよくわかって失敗が少ない)酒・コブ出し・薄口醤油で味をととのえ、上に焼いた鮎を乗せて炊く。直接ガスコンロにかけず、間に魚焼き用の網などを敷くと濃げつかない(でも、少しお濃げをつけないとおいしくないので、炊けた後でほんのちょっと、強火にかけるといい)。炊きあがったらしばらく蒸らし、菜箸で鮎の頭と骨、しっぽを外し、残った身とごはんを混ぜ合わせて、赤タデなどを 乗せて供する。