裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

火曜日

さんま苦いかヤー・チャイカ

 タイトルに意味はない。朝二日酔い気味で目を醒ます。ベッドの中で山崎俊夫作品集読む。鏡花の文体で書いたやおい小説、といったおもむき。7時45分離床。小沢昭一『日本の放浪芸』のうち節談説教『加典兄妹』聞きながら朝飯を作る。くどいくらいにくり返される“幾千万の後までも、鳴って鳴って鳴り渡る”とか“妹やあの鐘の音が聞こえるかいやイエ兄さん私には・・・・・・”というフレーズが異様な感覚で耳に残る。大事なことは三度繰り返せ、というのは文章書きの秘伝とされているが、節談がその元祖だったのか。朝食、チキンハムとナスの炒めもの。牛乳が切れていた。

 メールで連載依頼二本(うち一本は読み切りコラムの連載化)、電話でウェブマガジンからの企画モノ依頼一本。なかなか繁盛なことである。K子に弁当。ネギと牛肉のバタ焼き。酒とバタを合わせるといい匂いが家じゅうに充満。今日は気圧乱れ、原稿書けないなとハナからあきらめ、『機械化の文化史』(鹿島出版会)など読む。面白くてたまらない家庭生活への機械への侵入の歴史。ブタ屠殺機械の図解などのたくまざるブラック・ユーモアがいい。訳はいささか読みにくい。ルイス・ブニュエルをルイ・ブニュエルなどと表記するのもちょっと。

 パルコ上でパイコー涼麺。雑用あって六本木まで出る。タクシーの運転手さん、最近ちょっと聞けない脂ぎったオヤジしゃべりバリバリで、“政治家の爺いども、入院してもチップの一万円くらいつかませて、看護のねえちゃんのマンコ触りまくってんだろ、げへへへ”などと下品の限りでオモシロイ々々。昔、選挙前にタクシーに乗ると何故か雑談にまぎらして公明党を絶賛する運転手がよく見受けられたものですが、この頃はいなくなったね。

 坂東八十助、三津五郎襲名延期と今朝の読売の朝刊にあったが、どうやら近藤サトと離婚の模様。大新聞のくせに、襲名延期の理由がまるで記載されておらず、スポーツ紙と併読しないと真相がつかめぬという不合理。新聞はすべからくゴシップ紙の原点にもどるべし。さもないと2ちゃんねるにニーズが移っちまうぞ。古書店から届いた目録チェック。永井豪自筆のサイン色紙のキューティーハニーとデビルマンレディが出ていたが、いや、何ともその絵の・・・・・・えー、あー、スゴい。光文社文庫からゲラチェック用原稿届く。幻冬舎文庫のも早くやらねば。

 8時、K子と新宿南口ヨコのNOWAビルの炭火焼き屋“○相(エンソウ)”。あの金田中の系列店だというからどんなもんかと思って行ってみたが、居酒屋に毛の生えた程度で、それほどのもんじゃない。駅前でビルのワンフロアまるまるの家賃を払うとなると、素材やサービスに心を行き届かせるのは無理。酒もあまりすすまず、十時前には帰宅。ネットのぞいてみるが、プロ精神の欠如したモノカキばかり。嫌んな る。

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