裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

木曜日

四十にしてマドロス

 若いうちだよ、港々に女持てたのもさ。・・・・・・ところで、このタイトルのために論語関係の本読んだら、“畏友”というコトバについて知識を得た。これまでこのコトバを私は畏敬する友人、の意だと思って使っていたが、これは“後生畏るべし”から来ているもので、後生、つまり年下の友人のことを指して言うものであり、同年代、また年上の友人に使ってはイカンのだそうな。うーむ、しかしそういう用法でこの語が使われているのを見たことがないんだが。それはともかく朝7時半起き。朝食はタラコスパゲッティ、ブドウ。

 11時、歯医者(20日の予定がドクターの実家の不幸で伸びた)。左上のブリッジ完成。そこからタクシーで六本木に出て、ソバ屋で昼食。冷やしタヌキ。ABCに行って棚をのぞいていたら、と学会の皆神龍太郎氏とバッタリ。これから出社だそうな。最近のトンデモ業界メンツの近況について情報交換。“オカルトの棚に山本会長のノス本の最新刊がないね”“やっぱわれわれも飽きられたかな、もう?”“でも、イーハトーヴの白書本はあるね”“あんな、社長が夜逃げしたような(噂)出版社の本置いてどうすんだ”などなど。

 帰って原稿。湿気で脳が半分死んでいるから、書いていて自分が馬鹿に思えてきて仕方がない。そういうときはもっと馬鹿な連中の書いた文章を読んで、“どれほど自分が落ちぶれてもこいつらよりはマシ”と我が身をはげます。ロフトの加藤くんから電話。1日のロフトプラスワン5周年祭で、“最多プロデューサー対談”で、サエキけんぞう氏とトークしてほしいとの要請。はいはい。

 5時半、朝日新聞K氏来宅。手塚治虫評論本打ち合わせ。テープ起こし頼んでいる芝崎くんが来る前に、すでに語りはじめちゃっていたが、彼が来た時点でもう一度、アタマからしゃべり直す。1時間半、途中で水ものまず、休息も入れず。落語や講釈の素養があってよかった、と思うのはこういうとき。渡辺昇一の『知的生活の方法』の中に(著者の最近の思想言行で変なイメージがついているが、この本はやはり画期的名著だと思う)、仕事場にテープレコーダーを常備しておき、“表現したいことがペンの早さではおいつかないときはテープに吹き込んでしまう”という荒正人のアイデアが紹介されていて、初めて読んだ高校生時代に、ソノ手がアッタカと膝を叩き、さっそく実践してみようとして、マイクに向かうとアーとかエーとかしか言葉が出ずに、大失敗したことがあった。マイクに向かって、草稿もなしにある程度まとまったことをしゃべる(司会とか挨拶とかは別だが)というのには、やはり訓練と経験が必要なのだ。

 語り下ろし終わって、二人を二十分ほど待たせて、仕事場でコラム言行一本書いてメールし、メシ食いに出る。本日、立川談之助の誕生パーティが7時にあり、出席を約束していたのだが、この語り下ろしが時間を食い、遅れてしまったのでスッポかすはめになったのは申し訳なかった。K子、K氏、芝崎くんと、神山町裏通りにある、統一協会経営の焼肉屋に入る。いや、さすがに焼肉はウマいですよ。キムチボック、テンジャン鍋、豚足、チジミなど。雑談続出。例のタイムマシンのオークション、あまりにQ&Aがツボにはまりすぎていて、ナンかアヤしい。ツクリではないか、と推理をめぐらす。飲みすぎ、食いすぎで、夜中に、酒が口からあふれそうになる。吐きそうになったのではない。ホントに、口からあふれてきそうになったくらい、腹にいろいろ詰め込んだ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa