裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

26日

月曜日

シド・チャリシー由良之助

 タイトルに意味はない。朝8時起き。昨日遅かったのに、ちゃんとこの時間に目が覚めてしまう。年をとった証拠。新聞で昨日の選挙結果確認。高信太郎は最後までテレビでは名前も聞かなかったが、最下位かよ。二世議員たちの顔の、親父の顔の頼りない相似形なること、薄めすぎたカルピスのような顔なることに感心。中で渡辺美智 雄の息子、こいつのみは親父をさらにアク強くしたような顔としゃべり。面と向かっ たら多分、逃げ出したくなるであろうような怪奇味がある。彼と田中真紀子をカミ合わせてみたいもの。朝食、ゆうべの残りのカニ足を炒めてサンドイッチ。

 11時、千葉どどいつ文庫I氏。今回も例によって、よくまあこんな変な本が、というようなもの二十冊以上。雑談中に、しきりに顔をなでる。なんだと訊いたら、数日前、コンクリートの壁の角に頭をぶつけ、それ以来、しゃべっていると顔筋が下に垂れてくるんで、ときどき引っ張りあげるんだそうだ。最初視野が狭くなり、それから耳鳴りがして、ゆうべは全身に寒気がしてブルブルふるえて、ひどい状況だったそう。大丈夫ですか、そりゃ病院いった方がいいですぜと勧めたが、“いや、もともといろいろ病気持ちなんで、病院行ってそれが発見されるとメンドくさいですから”とのこと。“不思議なことに、頭ぶつけてから、妙に早口になったんですよね”などと極めてオモシロイがアブナイことを太平楽に言う。なんか水木しげるのマンガの登場人物的イメージである。

 12時半、家を出て渋谷から新玉線で三軒茶屋。さらに世田谷線の二両電車にゴトゴトゆられて若林。エンターブレインで鶴岡との対談本。昼メシは三軒茶屋でソバを食ってすます。世田谷の環七通りの町並みというのは、一種異東京的である。なんでこんな不便なところに会社があるのか。

 編集部Nくんと、某先生の話。ヒマなんですかね、ヒマなんでしょうね。鶴岡は例によって視線がキチガイのそれ。しかし、以前、『新世紀の迷路』で対談したときに比べれば雲泥の差でフツーになった。“オレはいま、とり・みき派だ”って言うと、みんな引くんですよ、にひっくり返って笑う。でもまあ、こいつのトークはライブ仕 様で、字にするには適してないなあ。

 1時間半ほど二人、だだだとしゃべる。初回はこれくらいにしておかないと、テープ起こしのバイトくんがパンクするだろう。例のタイムマシン、買った奴が未来から戻ってきて売り始めた話。そこまで行くとアザトい。タクシーで新宿まで出て、中村屋地下。客の一人々々に来店祝いでパンをくれる。焼き過ぎたのか? 打ち合わせの内容は秘密にしろと言われたのでここでは書けねえ。

 美好沖野さん、その友人でK子のアシスタント経験ある(偶然!)マンガ家さんと連れだって、二丁目へ行く。ゲイショップ冷やかしたあと、へぎそば。K子も来る。よもやま話いろいろ。ソバ食って(考えてみれば昼夜ソバだった)美好さんと別 れ、K子と二人、いれーぬへ久しぶりに。タケちゃん、ノッポさんとホモばなし、ネコばなし。元・官能倶楽部の倉田真澄さんも来て、だいぶ飲んだ。へろへろとして店を出たら、なんと高信太郎とバッタリ。西手新九郎大活躍の巻。どう挨拶していいかわからなかったから、落選オメデトウゴザイマス、と言ったら、次のにも出るからよろしくね、と懲りてない。それにしても、あのポスターの写真は写りがよすぎた。あんなさわやかな笑顔、コーシンじゃないぞ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa