13日
火曜日
あカフカ不二夫
もう帰ろうよ。毎晩酒飲んで酔っ払って寝て、3時過ぎくらいに眼を覚まし、5時近くまで布団の中で転々反側。しかしながら、読書が最も進むのもこの時間であり、これがなくて、朝まで熟睡の日ばかりが続くと私の読書量は激減するであろうと思われる。どっちがいいんだか。朝7時半起き。朝食、カラマリサラダ。宇都宮の宝石店放火殺人、K子と“あの被害者の遺族たちは葬式を執り行った上で、さらに火葬場に送るのだろうか?”と議論する。日記UPし、裏モノ会議室に“大・正論的”ギャグ論がUPされていたので、それに対する“大・裏モノ的”返答をUP。こういうのはイキオイ。それから薬局新聞一本。
K子の弁当、今日はつくらず。薬局関係業界誌原稿、3枚半続けて書き上げFAXする。あと、日経ヘルスの広告原稿、某製薬会社企業誌エッセイと、薬品関係の原稿〆切が続く。この2つはさすがに広告関係だけあって原稿料がかなり結構。特に後者の企業誌はこのあいだ書いたエッセイの評判がよく、原稿料あげたいのだが予算ワクがこれ以上増やせないので、原稿の分量を半分にしてもいい、と言ってきた。倍にしたつもり、なのかも知れない。こういうのも珍しい。
とはいえ、まだ書き下ろしの原稿でやらねばならぬものも山積み、カシカシ書き出す。合間にジェームズ・チャップマン『ジェームズ・ボンドへの招待』(徳間書店)読む。ボンド映画の変遷を東西冷戦やフェミニズム、エスニシズム等の高まりなどの社会学・文化論とからめて論じた、私のお気に入りのカルチュラル・スタディーズ本だが、『モンスター・ショー』や『恐怖の臨界』などに比べると知的興奮度が少ないのは、著者が若いということ(1969年生まれ)のせいではなく、そういう社会的要素とボンド映画の関係というのは、わざわざ指摘されなくても見えすぎてしまっていることがらだからだろう。SFカイジュウものだのB級ホラーだのから、そういう学術的ファクターを手品のように抽出してみせてくれた上記2書のようなハッタリに欠けるのである。
遅めになった昼飯、シャケ焼いて茶漬けでかっこむ。美術出版社から『できんボーイ』完全版一巻届く。さすがに面白い。読み出すと止まらなくなって困る。歯医者へ行く。火曜2時からと忘れないようにしていたのだが、行って、受付窓口に立って診療票見て、そこで初めて20日の火曜日だったことに気がつく。一週間ズレていた。ちょうど受付の女性が奥に入っていたので、顔あわす前にあわてて逃げる。逃げるこ たないが。
時間が空いてしまったので、大盛堂書店地下のアルバンへ。カラテガール総集編本の新刊とか、マニアック(トンデモボンデージイラスト本)誌バックナンバーなど、2万5千円ばかし。今日のトークに使えるようなヌーディストビーチ本などがないか と思ったが、すっかり片付けられてしまっていた。ナチスはよくてロリは駄目かい。 3時、時間割にてNHKのYくんと打ち合わせ。ウィークエンドジョイでのホラーコミック特集の件。と、いうよりYくん、こないだのなかのの寄席で見て山咲トオルのキャラにいかれてしまい、これを是非、テレビで紹介したい! と思い込んでしまったようである。結構々々。ユニークな職員の方のユニークな談話をいろいろ拝聴。
帰って資料整理し、6時、新宿へ出る。ロフトプラスワン『今あえてロリコンを語る』。ご禁制ロリビデオなどをいろいろ持っていく。“オタクには政治意識がないから児童ポルノ法案を通してしまった”なんてことを平野店長が前に言っていたが、一旦法案が通ってしまうと、このテの全共闘世代あがり、反権力ヒョーボー者たちというのは、もう、ロリの味方などしなくなる。なんでも反対、とわめいているだけが能なのである。本当のロリたちは派手な政治運動などというナルシズムにひたることなく、地下にしぶとく根を張って生きている。
談之助師匠、元・ロリ雑誌編集者のS氏などと打ち合わせ。開幕前に場内で古いロリビデオ(表もの)を流していた。楽屋で打ち合わせ終わり、場内がやたら静かなので、やはりこういう反時局的なイベントには客もこないか、と思ってのぞいたら、満員の盛況。全員が息をこらしてスクリーンに見入っていたのデアッタ。壇上に上がってからも客が続々とつめかけ、通路に立ち見が出る始末。ロリ系のイベントは前にも数回やったことがあるが、いずれもよくて5〜6分の入りというところだった。やはり現在の状況下において、こういうイベントにみな、飢えているのか?
ノスケ師匠張り切って飛ばす飛ばす。会場を埋めたさしも濃厚なロリたちもアットウされていた。こっちは“少しはまじめなロリ論”担当。
「捕鯨ですら文化ということで認められつつあるのに、ロリは弾圧されてるんです」
「調査ロリコンくらいはワクを作って認めてもらいたいものですね」
これで真面目か。S氏に
「いつごろ、“あ、こりゃもうロリコンはダメかも”と思いましたか」
と訊くと、
「そうですね、N.Y.タイムスがインタビューしたいと言ってきたときですか」
というのがなかなかスゴいエピソード。
お世辞にもまとまりがあるトークではなかったが、ほとんどのお客さんが最後まで熱心に聞き入ってくれていた。ここで正論はやっぱり野暮でげすよ。最後にはカルトコミックコレクターのI氏や志水一夫氏も壇上に上がってもらい、秘蔵のコレクションを見せてもらいながらトーク。“まだまだ、ロリコン族はしぶとく生き残ってますよ”というS氏と師匠の言葉を〆に11時45分ころ、お開き。志水さん、二村ヒトシ、啓乕宏之、開田あや、睦月さん、師匠夫妻というメンツでいつもの炙谷で打ち上げ。やはりスシ、酢がキツい。