裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

金曜日

アニドウ鈴之助

 アニメを集めて日本一に。朝7時起き。昨日のパイチュウが胸に残ってフラフラしている。朝はヨーグルトとスイカ。午前中はメール整理など。芝崎くんから電話、今回のと学会会誌、原稿全部突っ込んだらページ数が150超える(いつもの倍)とのこと。どうするか、ちょっと考慮。

 12時、神田古書会館にて趣味の古書會即売会。“古書展開催中”の看板(パネル一枚に文字ひとつが描かれており、それを並べて懸ける)が、右側から懸けられていた。戦前の人が懸けたのか? 連休初日のせいか、かなりの人出。古雑誌(週刊朝日や週刊ポストなど)がだいぶ出ていた。米沢嘉博さんがいたので挨拶。戦後史ものが並んでいたので何冊か買う。和田誠『戦後史グラフィティ』は、終戦から一年ごとの出来事をイラストと文章(文は阿佐田哲也や野坂昭如といった人が担当)で綴ったものだが、昭和29年ゴジラ第一作公開、のところのイラストが明らかにキンゴジなので笑ってしまう。手許の資料がそれだったんだろう。さすが博識の和田画伯も、ゴジラの顔が一作ごとに違う、などということは知らなかったとみえる。ところで、この本は買わなかった。別にゴジラが不正確だというので買わなかったわけではない(そんな潔癖性的オタクではない)。単純に値段が高かったためである。

 そこを出て、久しぶりにカスミ書房。ご主人に“コミケ、いろいろご配慮いただいてすいませんね”と挨拶。今回は岡田さんのところから鶴岡のドリフト、官能倶楽部にと学会と、全部ひとつの島にまとめられているのは、コミケ運営サイドの配慮なのかと思ったのだが、まるで関知していない、偶然なのだとか。“いやあ、ボクも驚いたんですよ”とのこと。と学会誌が厚くなりそうだ、というと“高くてもあれは売れるんじゃないですか”との御意見。うーむ。

 そこでは川上宗薫の少女小説何冊かと第二書刊のゲイ告白もの(これは帰ってから気がついたがダブりだった)、それに主人の推薦で、ヒサヤ大黒堂の自社出版本などを買う。これは社長の趣味なのか、見開きの片面が富士山の写真で、片面が痔の話という、取り合わせの何とも珍な本。出て大雲堂でさらに数冊(ここは地味だが、行くと奇妙に何かこっちの欲しい本が入っている)。昼食はいもやの天丼。食べて外に出たらどっと汗が吹き出てきたので、わきのゲーセンでしばらく涼んでから帰る。

 帰宅して、少し休もうと横になって買った本に眼を通すうちに夕方になってしまった。太田出版から届いたゲラのチェックなどやる。ラジオをつけたらケーシー高峰が医学漫談をやっていた。二十年ぶりくらいに聞いたのではないか。
「最近のように暑いと、外から急に冷房の効いた部屋に入ると、その温度差で、鼻がガサガサする。これを医学用語で“花ガサ音頭”という」
 ……うわあ、ネタこそ新しいが、センスは二十年間まるで変わってないな。これで爆笑をとれているのがスゴい。お笑いにおける“おなじみ”の強さよ。

 8時、下北沢。『虎の子』でクリクリの絵里さん、ケンさんと。相変わらずケンの昔の映画の話が凄い。ワインと日本酒。パソコンの話など。いい気持で話はずみ、な んかむちゃくちゃに楽しかった。Mr.ドーナツでコーヒー飲んで帰る。

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