裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

木曜日

はくちの恋人

 ガムだから歯と口の恋人。他に何か……? ゆうべ帰ったら、廊下に猫が大量の毛ヘドを吐いていた。暑くて毛がどんどん抜けるのか、夏バテで胃がおかしくなったのか。7時起き、朝食はヨーグルトとスモークト・サーモン。村上元議院関連でひさしぶりに“ものつくり大学”の名前を見た。ちゃんとまだ大学として機能しているんだろうか。私が以前、日記でこの大学名はダサい、といったら、“私はいいと思うが”という御意見を何通かいただいた。学校名としてはユニークでいいだろうが、短縮名はどうなるのか。早大、明大みたいにいくと“もの大”か。校歌はどうするのか。ここのスポーツ部が大会などに出た場合の応援歌はどうするのか。“♪おお、われらものつくり、ものをつくる〜”とか、“♪つくれ、つくれ、ものを、つくれ”とか歌うのか、やっぱり。

 午前中は週刊ポスト用に昨日の『テルミン』とこないだの『クイーンコング』評を書いてFAXする。資料探しに六本木へ出てあおい書店、ABC回るが探していたものナシ。トツゲキラーメン食って帰る。帰ったら小学館からFAX。『テルミン』評にダメが出た。いや、私の映画評がどうとかいうのでなく、担当のK氏から、
「手を触れないで音が出る楽器なんて果して本当にあるのか? また、このテルミン博士の一生も波乱万丈で少し“面白すぎる”。この映画、大掛かりなフェイク映画なのではないか?」
 というオウタガイであった。要するに、K氏はこの映画を『コリン・マッケンジー物語』や『スプートニク』みたいなパスティーシュ伝記モノでは、と疑っているのであった。いや、こう思われればテルミン博士も満足なのではないだろうか。とりあえず、発明者の一生についてはともかく、テルミンなる楽器は本当にあり、手を触れずに音が出る原理は手っ取り早く言えば地雷探知機と同じであり(この説明、いいかげん)、テルミンについてはネットで検索すれば2000件以上ヒットしますと書いて返送。

 三時、時間割にてJMCのM氏と打ち合わせ、衛星ネット事業のことであるが、秘密保持契約についての打ち合わせだったので、これ以上は書けない。小林のり一の桃屋のCMのことなど話す(どういう秘密保持だ)。

 そこからタクシーで曙橋。ハローミュージックA氏と待ち合わせて井上デザイン。トラフェスのチラシ制作依頼。なにぶんにも制作期間短すぎるのが難点だが、どうにかやってもらうことにする。途中からもうひとつの企画会社(このイベント、企画会社が三社からんでいる)クイーン・プレスのSさんも加わり、具体的な話をいろいろとすすめる。関係ないが、このSさん、名字がサヨリと言う。聞いたら御亭主がインドネシアの人なのだそうだ。

 井上デザインを出て、さらに喫茶店でAさんSさんと打ち合わせ。Aさん、予算ワクが次第に大きくふくれあがってくるのに頭を抱えているが、しかしある程度金をかけないとみすぼらしいものにしかならない。ビデオの撮影、出演者との打ち合わせ日時等について日程を詰める。そこから一旦渋谷に帰り、連絡事項、ゲラチェックなど細かなことを片付け、8時、もう一度曙橋に戻る。まさ吉で井上くんと打ち合わせ続き。東陽片岡さんがいた。青林工藝舎の編集部が入っているマンションの上の部屋に引っ越したとか。K子も来て、イワシしそ揚げ、納豆シソ揚げ、油揚焼き、牛スジなど。酒が生、梅干し焼酎、ホッピーとかなりいってヘロになる。あわただしい一日で あった。

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