裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

9日

月曜日

ヒッチコックを争う

 境界線のダジャレシリーズ。朝7時起床。朝食、ヨーグルトと豆のスープ。この朝食を続けているので便通はきわめてよろしく、体重も一キロ減った。たった一キロであるが、運動など、他のダイエットをまるでしてないで減るのだから大したものであ る。休刊日なので朝刊読めず、無聊。

 午前中は雑原書いて過ごし、11時半に少々早いが昼食をすます。シオカラでお茶漬け一杯。12時、時間割に昨日書いた原稿を打ち出して持っていき、世界文化社のDさんと打ち合わせ。執筆スケジュールのこと。夏のイベント群がらみのゴタゴタがあと一週間程度なので、それがすめば執筆、楽になるだろうと思う。楽天的すぎる見方だが。

 終わってすぐに新宿までタクシー、後楽園ジオポリスに現場下見。中野貴雄監督と鶴岡法斎と待ち合わせ。ジオポリスというの、考えてみれば外から見たことはあるが中へ入るのは初めてである。ハローミュージックAさん、クィーンプレスSさん。ジオポリスの企画担当のNさんと名刺交換。Nさんは要するに今回の企画展の総合プロデューサー的立場の人で、トラッシュが大好きで、私の著作のファンと聞いていたのだが、うら若き美女、というより美少女でも通りそうなお姉さんだったのでちょっと驚く。

 ジオポリス内を見せてもらう。中野貴雄は去年の大晦日、ここでデートしてカウントダウンを彼女と過ごす予定だったのが、人出が凄まじく、お互いはぐれてしまってそれっきりになったとか。会場設備はもちろんかなりのものだが、天井が高く、回りの雑音もちょっとしたもので、とにかく囲い込みが必要だな、と出演者二人と話す。

 近くのレストランで細かく打ち合わせ。中野貴雄、持ち前のサービス精神でいろいろとアイデアを出してくる。全身これトラッシュ・キッチュというひとだから、どれも相当に面白い。ドラァグ・クイーン軍団を自分のトークのとき、引き連れて来る、とのこと。鶴岡が対抗心を燃やしていた。彼が作ったキャッチフレーズ。『後楽園で僕とアクシュ・ミー!』

 新宿まで総武線でいろいろ話。中野さんのビデオに出てくる“まめ山田”という小人の奇術師の話など。新宿で別れて、帰宅。残っている原稿仕事にとりかかる。やっと『文藝』フリー編集のSくんと電話つながる。円谷ばなし、二言三言話したら気に入ってくれたようで、今週中にインタビューに行くとのこと。その他に国営放送局Yくん、せどりのUさんなどから電話。

 買い物に出て、ついでに散歩しながら原稿の内容をいろいろと煉る。世間の夫婦は(弟のところや開田夫妻など)よく二人で散歩するらしいが、考えてみればわれわれ夫婦は散歩というの、したことがない。二人とも、何か買い物とか食事とか、目的がないと出歩かない人間なのである。どちらかがそうというのでなく、結婚してみたら二人ともそういうタイプだったのである。両親もそうだったな。

 8時半、家で夕食。小鯛を買ってきてタイめし、チンゲンサイと豚肉の水煮、それとツユク。タレ用に、新しい自家製ニンニク醤油のビンをあけたら、キッチンじゅうにニンニクの匂い充満。食べながら、今日中野監督にもらった新作ビデオ『クイーンビー・ハニー』を見る。まめ山田の小人の召使が、昼休みは大きくなっている(実は二人羽織り)など、あいかわらずの中野流ギャグの連続に苦笑、爆笑。ドラァグ・クイーン集団ギャルショッカーの一員の蝶娘をやっているのは、マンガ家の寺田克弥氏の奥さんなんだとか。出ているかな、と思ったら、ギャルショッカー基地に何故かいるピエロの役で、やはり加藤礼次朗が出ていた。12時過ぎ、就寝。今日もあわただ しかった。

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