裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

15日

日曜日

コウバデス・ドミネ

 主よ、ここが工場です。朝7時半、起床。朝食、昨日駅前のパン屋で買った惣菜のシーフードスパゲッティ。案外おいしかった。朝、まずサンマーク出版の原作を一本仕立てる。近衛文磨がテーマだが、この人物、大平洋戦争関係の人間中で私にとってもっとも興味深いキャラクターかもしれない。“優柔不断”というキャラでここまでキャラ立ちできるとは。日記チェック。北原尚彦氏を北村と誤記しているのを発見。訂正しておく。母と電話。四十九日の法事の打ち合わせ。

 原稿をK子に渡し(メールだけど)、続いて昨日のWeb現代の文字数直し。いろいろ切り張りして、何とか形にする。いささか夏バテ的な原稿になったがまあ、週刊連載というのは緩急が必要だし。K子に弁当(鳥そぼろの玉子とじ)、それから自分は何を食べようかと思いつつ、ぶらりと外に出る。暑い中を歩くのはイヤだが、たまには歩かないといけない。結局、青山まで歩いてしまうが、あまりの暑さに食欲もわかず、紀ノ国屋で今夜のおかずの材料のみ、買って帰る。帰宅して、ラーメンDEスカイ一つ食べて昼代わり。

 休む間もなく、追加用のグッズを選んで、手提げ袋二つに分け、“タクシー使ってください”とのことだったので、飯田橋トッパン小石川ビル『PLAZA21』まで行く。日曜で、外苑の中を通れなかったりして、ずいぶんと回り道をする。その分、まけてくれようとしたけれど、領収書取る手前それは辞退。代理店のTさんに案内されて、会場設営中の現場に行く。工事の人、カンバン屋さん、出展者、係の人などがいり混じって設営中。ところでこの『世代・地域を超えて越境するポップカルチャー展』(超えて越境する、って何かヘンな文法のような気もする)は明日からの開催である。明日の開催で今日、こうやって設営するのか。も少し余裕を持ってやるんだと思っていた。どこもドタンバでアタフタやっているんだな、と思い、少し気が楽になる。この夏のいろんな企画やなんかについて、自分のドタンバ的なやり方に自分で嫌気がさしていたところだったのである。

 しかし、さすがにプロの展示屋さんたちで、完成しているところはなかなかそれなりに決まっている。チョコエッグ全アイテム、都築響一氏のポップコレクション、高橋真琴原画、きゃらめる姉妹等身大フィギュア、アジア的癒しグッズなど、脈絡はまるでないけれど。よく見ているサイト『イロブン』のきだて・たく氏がさっきまでいらっしゃったそうで、大変に私に会いたがっていたそうな。あのサイト作るにあたっても、私の著作が基本姿勢としてあったそうで、これは光栄である。私のコーナー、確かに展示物の数が20点では少なすぎという感じである。もう10数点ほど、ということだったが、用心のため30点ほど持っていったのは正解。結局全部並べることにする。もっと持ってくりゃよかったと思うくらい。

 1時間ほど設営を見学して、あとはまかせることにして、辞去。タクシー拾って、新宿まで行く。今回も“少し回り道しちゃいましたので”と、まけてくれた。こう続くのは珍しい。サウナに入り、冷房と暑さのダブル攻撃で変に出かかったり引っ込んだりしていた汗をダーッと全部流してしまう。その後マッサージ一時間。休息室で、『バットマン/マッド・ラブ』のブルース・ティムのスケッチ集などを見る。彼の書くアメコミ・ガールたちは、アメコミとしては革命的なまでに胸が小さい。彼の筆になるヴァンピレラなど、とてもヴァンピレラには見えないくらい可憐だ。それでいてヌードが頻繁に出てくるパルプ小説の表紙絵なんか描いているんだからウレシイ。

 8時帰宅。昨日の双児の美少年(ギリギリの線だがまあ、美少年)にまたエレベーターで一緒になる。今日は中学校のワイシャツとズボン姿で、まるで見分けがつかない(よくみると片方はほっぺたに小さなホクロがある)。そっくり同じ顔の美少年が目の前に並んで立っているというのは、なかなかの非日常感覚である。夕食の用意。今年最初のサンマに、安達Oさんからお中元にもらったスダチをたっぷり絞って。あと、芋と蛸の煮物、薄切り牛の蒸籠蒸し。ビデオでミル・マスカラス主演のメキシコB級アクション。小人がいっぱい。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa