裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

水曜日

処女の奇妙な冒険

 タイトルに意味はない。朝7時起き。K子仕事場へ早めに行くので30分起床を早める。朝食、バゲットにトマトとソーセージをはさんだ簡易サンド、沖縄で買ったタンカン。タンカンはミカンとオレンジの中間のような味でおいしい。午前中、『創』図版のみ先にK子に指定して渡す。

 11時、どどいつ文庫伊藤氏来宅。例により本の行商。アメリカのオナニーマニアの投稿新聞、イギリスの手相の本、フリーメーソン入会マニュアルなどの奇本十数冊ばかり。2万7000円ほど。どどいつ文庫のユニークなお客さんの話など聞いて、大笑い。女性のホモ(レズに非ず)の人の話など聞く。筋骨隆々に鍛え、髪も短髪にし、タンクトップ姿で二丁目などを闊歩して、すれちがった人に“さっきの人、男かな、女かな?”と言われるのが何よりウレシイのだそうだ。いろんな人がいるなあ。

 ここから本を買っても洋書のことゆえ、どれだけ私の生前に読めるか、は極めて不確か。中には、こういう本もある、という存在確認のためだけに買って、中味を読む必要のない本もいっぱいある(と、いうか、そっちの方が多い)。だが、将来、時間にゆとりができたとき、こういうマッタク内容のない本をちびりちびりと読んでいくという生活は、何か大変に優雅な生活であるように思う。第二次大戦前、アメリカでは『オズの魔法使い』を“実用性のない、現実逃避の物語である”と、図書館から追放したことがあるそうだ。無要の要を認めぬ国は戦争に突き進むのである。

 1時に、マックの不具合を見に平塚くん来てくれることになっているので、昼は外で急いで食事をしようと思うが、資料をパルコブックセンターで探しているうち、食べている時間がなくなる。仕方なく、コンビニでチキンミニソースカツ丼を買って食べる。平塚くん来て、いろいろと作業してくれるが、インターネットがいきなりつながらなくなったり(回線の切り替えスイッチが切れていたことが原因)、暗唱番号が効かなくなったりして、思ったより時間がかかる。その間、作業を脇で見ているだけで、仕事も出来ず、無聊をかこつ。本も身を入れて読めず、仕方なくアントニオ古賀の『クスリ・ルンバ』を怪獣でできないか、とか、バカなことばかり考えて時間をつぶす。ハズしかたが難しい。

『怪獣ルンバ』
アントラーエレキングギラドラスツインテール
ノコギリンヤドカリンジジゴラテラノドン
ケムラーグドンバイラスウルトラセブン
ダストマンタッコングキングジョーキングギドラ
ゴジラ

メタリノームバルゴン
キティファイヤーナメゴン
バルタン星人恐竜戦車
ゴアゴンゴン

 ・・・・・・ロリマンガ家とか性器の呼称とかでも出来そうですな。鶴岡から電話、例の浅田彰の発言(於『噂真』)に宮台が自分の掲示板で反論をしている件。イケてないイケてないと連発する自分の対応が一番イケてませんがな。イケるイケないと今時まだ言っているのもどうかと思うが。リイド社からこないだ解説書いた山咲トオル本が送られてくる。タイトルが『山咲トオル?』。濃ゆさの極みの写真多々。それにしても×××を××も××××で×××で〜すとは××××しい(笑)。

 3時、平塚くんを家に置いたまま外出して、時間割で大和書房Iくん。原稿フロッピー手渡すための打ち合わせだが、パソコンに触れない状態のため、後からメールすると告げるだけ。スケジュールだけ再度確認して、あと雑談。ギョウカイでのこの日記の読まれ度などの話になる。30分ほど。出て、パルコブックセンターで資料本立ち読みし、帰りにローソンでリポD買って作業中の平塚くんに飲ませる。

 6時15分、なんとかケア完了。ご苦労様でした。結局、ハードディスクの予備を作って、片一方が調子悪くなったら、もう一方でしばらくつなぐ、という方式になった。しばらく休ませておくと調子がもどる、ことがある、そうだ。ホントか? ダ・カーポからインタビュー依頼。

 6時半、再び時間割。海拓舎『B級学』語り下ろし。例によって編集のFくんが前回の語りを聞いての質問事項をまとめてきて、それに箇条書的に答える。いつもの読書や勉強の中で都市論、東京論をチェックしておくだけで、この質問事項については前調べを一切せず、アドリブで答える。すると、答えている自分でも意外な説がポロポロ出てくる。

 8時半、ちょうど話し終わった時点で海拓舎社長のH氏も来て、『九州』で会食。H氏、この『B級学』は大学生協の注文率がすさまじく高い、と言う。だからと言って彼らにオモネらないことが大事。原稿をまとめてくれるライターのSくん、以前スタジオ・ハードで働いていたことがあるそうで、絵ごころもある。K子が、“アシスタントしない?”とスカウトしていた。ふと見ると、近くの座敷にイッセー尾形一行が来ている。そう言えば今日明日、ジァンジァン最終公演だった。焼酎を一本、差し入れる。森田夫妻は“あら〜”と喜んでいたが、イッセーは何か複雑な表情で、目をあわせるのを避けている風だった。お互い、いろいろ感情の推移があったねえ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa