裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

12日

日曜日

東海道中ヤゴゲルゲ

 タイトルに意味はない。7時半起き。8時朝食、バナナとスモークト・ヘリング。原稿、週アス一本40分でアゲ。ソフトの調子悪く、日記UPできず。K子、月曜に平塚くんをいじめてなおさせるから手をつけるんじゃないわよ、と厳命して出る。弁当は自家製錦松梅とポークピカタ。氷川竜介(ロト)氏から、アイアンジャイアント応援団結成のおしらせ。なに、『アニメージュ』に応援のコトバを寄せるだけなんだが、さて業界全部でどれくらい集まるか。

『噂の真相』で浅田彰が東浩紀のことを露骨に批判していて驚く。よく読んで見ると心底の怒りというよりは今の若い衆に対する普遍的なジレの噴出からくる説教のようにもとれる発言(私もよく言います)なんだが、そういうオジサン世代のじれったさのメッセージが東氏の世代にきちんと伝わるだろうか。誤配されそうな気がするけどなあ。オタク業界もしかり、哲学業界もしかりだが、われわれの世代がかなりおいしいとこどりをしてしまっている部分がある。若い連中のあせりは非常によくわかるのだが、しかし、とは言っても他人あせっている図と言うのはハタから見れば滑稽に見えるものだ。

 知り合いの作家さんのファンの女子高生、前から自傷癖があり、それで入院することになって、その晩、睡眠薬を大量にのんで(前からもらっていたのをこっそり貯めていた。『完全自殺マニュアル』ご推奨の方法)自殺をはかり、命はとりとめたものの、まだ昏睡状態だという。子供のときから頭のよすぎる子で、三島由紀夫などを読んでいたのであまり友達が出来ず、いつも回りからいじめられて、厭世的になっていたらしい。感性の鋭すぎる子は周囲との調和がとれず、えてしてこういうことになりがちである。私が言っても説得力がないが、子供は本などあまり読まぬ方がいい。海 の香り、山の空気を吸い、外で遊び、マンガを読め(笑)。

 4時、新宿中村屋でメディアワークス本打ち合わせ。サッカーで車が混み、十五分ほど遅れていく。志水さん風邪で不参の他は全員揃っていた。日曜で中村屋地下のマシェーズが一杯、寿楽二階も一杯。談話室滝沢でようやく落ち着く。今回の執筆陣、唐沢、ひえだ、植木、藤倉、眠田、開田あや、談之助。遅れて大沢南。最初の顔合わせということで、あまりまとまらず。女性に比べて男性専科という分野は今や思った以上にせばめられていることがわかり、この本(『トンデモ本 男の世界』)は、むしろそういう分野の博物館的記録集になるかも知れない。

 打ち合わせ後、伊勢丹会館上の薩摩しゃもで飲む。開田裕治氏、K子も合流。談之助師匠はいったん中座、ジミー時田氏の通夜に参列してまた帰ってくる。横浜そごうでミニ・ミュージカルの脚本・演出を担当したとき、ラストに大物としてジミー氏が出演、締めてくれていたことを思い出す。

 その後、歌舞伎町の上海小吃に移動。例によって押入みたいな部屋で火鍋を頼む。具は猪脳(豚の脳味噌)、血(豚の血のかたまり)、皮(豚皮のゼラチン部分)、田鶏(かえる)、牛鞭(牛のペニス)。香肉(犬肉)は品切れ。グロテスクなものばかりだが、みんなうまいうまいと絶賛。特に猪脳はアンキモのごとき濃厚な味。

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