21日
火曜日
ワグナーよしよし、ねんねしな
ワルキューレの子守歌。朝7時半起き。今日からいつも通り。朝食、スモークト・サーモンのバゲットサンド。午前中にモノマガ増刊の“男の書斎”なんぞというニヤけた原稿5枚。イラスト担当のK子に渡す。トイレに入って、やっとウンコの色がまともになったのでホッとする。昨日は一日、おとついのイカ汁のスミで、便器の中がギャッと叫ぶほど真っ黒であった。
岡田斗司夫から電話。今日、自分が出演したモーニングワイドを見ましたか、という。しまった、原稿書きに忙しいのと月曜が休みで今日が月曜と思っていたことが重なって、見られなかった。そう言うと、今日の話題がメイヨキソンのことに行って、梨本レポーターなどと、ずいぶんと盛り上がったという。惜しかったな、見損ねた。誰かビデオ録画している裏者を探そう。
沖縄ぶんの日記一気に書きあげ、ホームページにアップ。例によってマック不具合につきハラハラしたが、なんとかアップ終了。K子に弁当つくる。サーモン入り卵焼きにシソゴマご飯。風呂入り、日経ヘルス原稿。〆切破りも新記録的。資料をいろいろ駆使しなくちゃいけない原稿だったんで、なんか後回しになってしまった。調べると、いろいろ面白いネタがあるのだが。救心についての原稿だったが、主成分の蟾酥(センソ。ガマの耳下腺からの分泌液)が江戸時代の早漏防止塗り薬『長命丸』の主成分でもあり、それだから救心は今でも“別の”使用法で人気がある、とか。現在、センソの研究をしているつくばの研究所では伝統を大事にしていて、ちゃんと落語と同じく、四方に鏡を立てて下に金網を敷いた中にガマガエルを入れて脂汗を流すかどうか実験をしてみた、とか。汗は流しませんでした、と大真面目に研究者が報告しているのに大笑い。
昼飯は明太子焼いて茶漬けですます。日経書き上げてメール。それから次に、夕刊フジの土曜トーク二回目原稿。現代人のアイデンティティ問題について。ちとカタくなったか。三回目の掲載が4月1日だそうだから、そこでバカネタはやることにしよう。フジ編集者から電話。西暦表記を元号表記に直していいかという確認。逆はこれまで何回かあったが、元号に、というのは初めて。書き上げてホッしてたら、さっき送った日経ヘルスから、原稿の行数不足、という電話がくる。日経ドラッグと間違えていたらしい。最初書き上げたものから行数を減らしていたので、その部分を復活させて再送。ドガチャカですな。
電話、いくつもあり。出版関係がほとんど。3時の大和書房の打ち合わせは別の予定がバッティングして行けなくなる。その旨、編集部のIくんに電話して、明日に延ばしてもらう。そのとたん、その別の予定のところから電話で、そっちも延期。メンドくさいのでそのまま。ダ・ヴィンチからインタビュー依頼。退院後でいいそうなので引き受け。
本日の執筆枚数400字詰めにして20枚。大した枚数ではないが、連続は肩が凝る。昨日までの旅の疲れもあり、左手がちょっと痺れる感じになってきたので、新宿のマッサージサロンに行き、指圧受ける。ここの先生(30歳くらい?)、指圧はうまいのだが、客との会話が極めて不得意。それでも何か話さねば、と思うらしく、いきなり何の脈絡もなく
「・・・・・・お客さんは、三鷹とかによく行ったりしますか?」
などと訊いてくる。
「学生時代は阿佐谷だったし、いい映画館があったりしてよく行きましたけどねえ。最近はあまり行かないなあ」
「・・・・・・そうですか」
「先生は三鷹にお住まいですか?」
「・・・・・・いえ」
なんか、たまたま控室で三鷹の店を紹介したテレビ番組をやっていたらしい。白けた雰囲気をなんとかしようと、こちらの方が話に接ぎ穂をつけて
「・・・・・・あ、そう言えば知り合いのイラストレーターが三鷹に住んでたな」
「・・・・・・横尾忠則さんですか」
・・・・・・どうも、イラストレーターの名前を横尾忠則しか知らないらしい。
1時間ほどやってもらい、K子と待合せで新田裏の寿司処すがわら。スカした感じの初老の親父が、二十歳そこそこらしい女の子と飲んでいる。“中国の政治思想はマルクスのね・・・・・・”などという会話をしているが、女の子の反応は極めて悪い。固くなっている。見た目も上品そうな家の子で、店を出るとき、“ごちそうさま”と手を合わせていた。あとで親父と、
「ありゃ、エンコーかね?」
などと話す。案外、どっかの短大の教授かなんかで、単位が欲しければ・・・・・・などと強要しているのかも。ラブホ街だけにいろんな客がくることよ。ヒラメ、ウニ、アナゴ、甘エビなど。茹でたてのタコを切って出してくれたが、これが絶品。親父から聞いた、酒が入るとまるで人柄が変わるヤクザの親分の話などがマンガのようで面白かった。帰ったら、さっき話に出た三鷹のイラストレーターから留守録。ちょいとしたシンクロニシティ。