裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

29日

木曜日

もやしは炒めが9割

やはりもやし炒めが定番だねえ。(中華飯店店主・談)

※執筆継続 どどいつ文庫さん来

大きなオペラハウスで行われるオペラに歌手として出演。
もっともワンシーンの特別出演だが。
数人の同じ特別出演の中にベラ・ルゴシがいる。
歌が歌えるのかこの人、と思ったが、魔王の役で
さすがの演技力と声量。
終わったあと、メイク落としの楽屋で
「あの役作りは……」
と言った話になり、自慢ばなしではあったがだいぶ勉強になる。
もっとも、何故か私はルゴシの晩年も知っており、
「ここらあたりがこの人のキャリアの絶頂期で、あとは
落ちぶれるんだよな」
と心の底で思う。
(もちろん、ここまで夢の記録)

朝8時45分起床。
朝食、チーズハムサンド。
雨蕭々。
今日も小説原稿書き。

昨日が暑くて仕方なかったのに今日は正反対に寒い。
自宅での仕事着が甚兵衛なので足が冷える。
山口A二郎さんに、トンデモ本大賞のビデオの修正点メモって
メールする。

長野のサイン会についてヒコク氏からメール。
青山ブックセンターでのサイン&トーク会も予定日とかメール。
これは(こっち側の事情を)調整せねばならぬかも。

昼はサントクでアサリがセールだったので、
いつぞやココイチで食べそこねた味噌仕立てアサリカレーを
ココロミてみる。
アサリ大ワンパックを砂抜きして、湯の中で殻が空くまで茹で、
殻から身を外して別皿に。
茹でた湯も捨てずに取っておく。

ザクに切った長ネギをサラダ油で炒め、そこにアサリの身を
入れ、さっきの茹で汁を加える。
今回は殻付きアサリだったが、剥き身を使う時は長ネギを
炒めたところに直接投入して軽く炒め、湯をさす。

昆布だしの素、砂糖小さじ一杯を加え、ひと煮立ちさせたら
味噌を溶き入れて、薄めの味噌汁のようにする。
そこにカレー粉と胡椒を味を見ながら加え、最後にカタクリ粉の
水溶きを加えてトロミをつけ、飯の上にかける。
いや、ネギもアサリも結構々々。
ココイチのは知人が食べてみたが特に、というものでも
なかったようだ。こっちの方が美味いと思う。

3時まで書き続けるが時間が来たので家を出る。
郵便局で古書店への支払い振り込み。
これにちょっと手間取ったので、うわ、時間が、と思い(事務所で
人と会う用事がある)あわててタクシー拾うが、乗ってから
時間を一時間早く出ていたのだった、と気がつき、クサる。

渋谷事務所でFAX、郵便類チェック。
テーブルの上にあった『刈りたての干草の香り』をパラパラ読んでいて、
こないだの日記の記述の間違いに気付く。
このブラックバーンのデビュー作を、細菌学者マーク・レヴィン卿の
デビュー作、と25日の日記に書いたが、これはカン違いで、
『刈りたての〜』にはまだレヴィン卿は登場していない。
次作の『薔薇の環』がレヴィン卿の初登場なのであった。
だから、作者は登場していないレヴィン卿と前作のつながりを示すために、
前作に出したマズラ菌の研究論文をレヴィン卿に書かせていたのである。
まあ、ニヤリとする個所であり、それが『薔薇の環』翻訳刊行後
35年目にしてやっとニヤリと出来る、という事実に変わりはないが。

5時、どどいつ文庫さん来。
いろいろ話す。彼とのトンデモ洋書の世界も、ずーっと
企画中断したままだが、そろそろ再開しないとなあ。

どどいつさん帰ったあと、再配送物件二件、受け取りを待つ。
加藤礼次朗からギララの逆襲試写のお誘いが来ていたが、
これのため行けず。残念。
雨のせいか、背中が鉄板のようなので、タントンに
行くことにする。一応“渋谷ピノ”と店名が変わったはずだが
まだ電話しても“はい、タントンマッサージです”と出る。

女性の先生で、力はないが、丁寧に揉んでくれた。
明後日の快楽亭の会、何をやろうかと考えていたが揉まれて
いるうちに思いつく。
バスで帰宅、もう8時過ぎ。
半チクになった原稿書きだが、何とか今日中にまた一章ぶん
書きあげておかねばならぬ。
サントクにまた寄って、長ネギと豚のスペアリブを買い込み、
『壇流クッキング』の中で最も手入らずの料理である“台湾おでん”
を、執筆中に煮込んでおくことにする。

長ネギを一本、ざっくりと切って水を張った鍋に入れ、
これにスペアリブ、干しシイタケも入れ、酒を注ぎ、
醤油をジャブジャブ入れ、ガスを点火する。
あとは二時間、ただグツグツ煮るだけ。

その間に原稿。
新しいキャラが登場し、やっと事件の本質の第一弾が明かされる
ところ。今回は形式が特殊であり、ストーリィプロットを
かなり克明に最初に作ってから書き出しているのだが、
登場人物の性格づけなどはやはり書いているうちにかなり
変わってきて、そのせいでプロットも変更を余儀なくされる
ことが多い。大抵はそれで後から苦労するのだが、今回はその変化の
おかげで主人公の行動の動機説明がかなり楽になったのがラッキーだった。

完成して、チェック用にと編集Sくんに送ったのが
11時ギリギリ。ホッとしたが、今日、書いた枚数を数えて
見れば400字詰め原稿用紙換算20枚。睦月影朗さんの
一日の仕事量の半分ですなあ。

二時間半、煮込んでトロトロになったネギとスペアリブで
黒ホッピー。『スターウォーズ』の音声解説バージョン見ながら。
途中で7月の『奇想天外シネマテーク』についての連絡事項
メールが来たので、やりとり。
就寝1時半。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa