裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

4日

日曜日

主成分スピルバーグ

ハリウッド娯楽映画の78%はスティーヴン・スピルバーグで出来ています。

※トンデモ本大賞用ビデオ撮影

朝8時起床。
天候が気になり、真っ先にカーテンあけて空模様を見る。
快晴とはいかないが、雨はない模様。
とりあえず撮影には支障なし。
ホッとする。

入浴して、9時朝食。
オレンジ、柚子みつヨーグルト。
日記のみざっとつけ、撮影用の小道具類チェックして、
タクシーで中野、そこから阿佐ケ谷。
日曜・祝日は阿佐ケ谷に快速は停まらないので、
東西線で。

15分ほど早くつくが、すぐ圭介が来た。
荻窪住いなんで早いそうである。
彼をそこに目印に置いて、現場での弁当類仕込みに行く。
学生時代からここで買い物しているサンジェルマン阿佐ケ谷店で
サンドイッチ、京樽でいなり寿司など。
私は今回のビデオ(トンデモ本大賞授賞式で流すもの)
は脚本・プロデュース役である。
今日は演技するでなく、演出するでなし。
こういう、撮影現場のいろいろに気を回すのが役割。

買って帰るともやしが圭介と古ゲームばなしに興じていた。
由賀ちゃん、山口監督とそのスタッフさんたち、岡っち、
主役の佐々木輝之、乾ちゃん、菊ちゃん、麻衣夢ちゃん、
『御利益』メンバーが集まってくる。
オノ&マドも来て、撮影場所の阿佐ケ谷ロフトAへ。
店長の児玉さんのご好意で、ここを喫茶店という設定で
撮影に使わせてもらうのである。
ロフトプラスワンといい関係を保っていてホントによかった。
開田あやさんも来て、メイド風衣装に楽屋で着替えている。
その服を見て佐々木が嬉しそうにアハアハアハ、と笑っていた。

ライトのセッティング、なにしろ出演者がみんな劇団員なので
詳しい。さっさと照明を手直しする。
撮影前のさまざまなセッティングに時間とられて、
借りている時間(2時に完全撤収)に終了するかどうか、
ちょっとハラハラ。
まして山口監督は凝り性で、同じシーンをカメラ位置変えたり
アップを押えておいたりして、何度も撮影するのである。

麻衣夢ちゃんと佐々木のシーンから撮影開始、
撮影シナリオ(脚本を撮影場所ごとにまとめたもの)に
したがって、菊ちゃん、由賀ちゃんとのシーンを順次撮影、
それに向川圭介がからむ、という趣向。
三者三様、楽しんで演技してくれたようで
いやあ、脚本書いた身としては大満足。

三人の女優さんには
「自分が人とデートする時に着るような服を」
と注文を出しておいた。三人で連絡とりあったようだが、
ナルホドと思うような服装。ただし
一応、指示では由賀ちゃんかわいい系、菊ちゃん色っぽい系、
麻衣夢ちゃんお嬢様系、だったのだが、みんなかわいく
なってしまった。
こういうときはわかりやすく、赤系、青系、黄色系、といった
風な指示の方がいいのだな、と学習。

ワンシーンごと、爆笑に包まれる。
途中からなべかつさん、あゆちゃん、じゅんじゅんも来て
次第ににぎやかに。
時計をにらみっぱなしだったが、後半になるにしたがって
ダンドリにみんな慣れてきて、サクサク進むようになる。
2時の完全撤収に15分も早く、ナレーション部分の録音、
照明やテーブルの直しも含めて完璧に行って出られた。
奇跡だ、とちょっと感激。

そこで、次のシーンは阿佐ケ谷の路上で撮る予定だったが、
休日で人通り大変に多いので、新中野でやっちゃいましょう、
と言うことになり、丸ノ内線で移動。
ここで撮影予定だったあやさんはメイド服姿のまま
移動するハメになったが、ピンクのそれだったのでまあ、ジーンズの
上着を羽織ればあまり目立たず。

新中野中央西公園に行く。
静かで、休日ではあるがあまり人間もおらず、
撮影には(去年のビデオもあそこで撮った)最適。
テリーに、台湾であつらえたシャーベット・グリーンの背広を
貸して着せる。なんだかんだで台湾で作ったド派手な二着、
役にたつ。ここで、冒頭シーン撮影。あゆとじゅんじゅんが新人ながら
なかなか思いきった演技を見せ、もやしがキャラに合った
バツグンの存在感を見せる。心なしか山口さんの演技指導も熱が
入っている。オタクの同士感があるのかもしれない。
スチル写真担当のマドがみんなの写真を撮っているが、
何故かテリーも乾きょんも、徹底して変な顔で写してもらっている。
あやさんは靴を阿佐ケ谷に忘れたというので、ここで
一旦新宿に戻り、打ち上げの幸永で落ち合うことに。
あゆちゃんは今日、夜からバイトということで彼女もここで離脱。

その最中に、里中龍児さん、麻見拓人(マイミクたっくん)さんも
現場に集合。着替えが必要な麻見さんとなべかつさんには自室を
開放して着替えに使ってもらう。
これも自宅裏の公園を使う便利のよさ、である。
黒づくめの服装だが完全に同じでなく、
たっくん白シャツで慇懃無礼、なべさん黒シャツで傲岸不遜、
という風な描きわけをしてある。

乾恭子ちゃんの芝居に吹き出す。
いやあ、電波美女やらせたら日本一の女優かも。
乾ちゃんは山口監督のDVDにも“サイバー美少女”の役で
出させてくださいー、と自分を売り込んでいた。
・・・・・・しかし、プロデューサーというのは現場では
半チクな立場である。演出か出演か、どっちかをやっていれば
“仕事している”という気になるが、ときおり監督に
意見求められるくらいで、他にやることなし。
欲求不満がたまることであった。

里中さんには小道具として、もう十年も前にロサンゼルスの
ハロウィーングッズショップで買ってきた、パペットを
使ってもらう。後に雑誌『鳩よ!』の連載でちょっと撮影に
使って、それきり放ってあったのだが、ふと思い出し、十年目ぶり
にダンボール箱の中から引っ張り出す。
いきなり今日手渡しして、どうかと思ったのだが、
さすが役者というか、こっちが思いもつかない使用法で
使ってくれて、極めてオモシロイ画面となった。

岡っちも、素通しの眼鏡、鳥打ち帽、なぜか胸のあたりに
かけている大きなカバンといった凝った衣装設定で
一風変わった役を演じる。対照的に素のままの圭介との
からみがワルノリ気味で面白い。
そして、テリーが最後に決めるシーン、
山口さん、撮り終えて“ちょっと感動で泣けちゃった”と。

こっちの撮影は何と5時前に終了。
「つなげるとどれくらいの長さになりますかね」
と監督に訊いたら、こっちの予想とピッタリ、
カット数が多いのでもっと長くなるか(長くなりすぎると
イベント進行上まずい)と思っていたのだが、まずホッとした
ことであった。

で、ワンシーン、監督へのお礼で、『Pマン』の、
怪獣“脳玉人”が現れて逃げまどう人々、のエキストラで
全員に出演してもらう。テリー、
「やったあ、あこがれの怪獣映画のエキストラだあ!」
と。みんなも同じ思いらしく、いや、逃げ方も見事。
圭介などは見事にテイクのたびに転んで、それをテリーが
助け起こして逃げる。スタッフの人が
「全員演技経験のあるエキストラってのはゼイタクだなあ」
とつぶやいていた。

なべさん、たっくんさんの着替えにまた部屋を提供し、
たっくんさんは自分の芝居の稽古があるので
ここで帰る。残念。なべさんも仕事があるので夜はNGだが
終わって参加するかも、と。あと、スーツ、用意した傘
(途中で雨もようになりそうだったので用意したが、結局
降らずに撮影完了、ホッとした)などをしまい、
公園に戻ったら、なんと他のメンバーは(まだ仕事に余裕のある
という)公園で“だるまさんが転んだ”をやって遊んでいた。
上は43歳という大のオトナたちが10人、必死になって
「だ・る・ま・さ・ん・が、こ・ろ・ん・だ!」
とやっている。役者たちだから、その間にもウケをとろうと
あの手この手。
眺めていて爆笑。
よくこういうことにエネルギー注ぎ込めるな、と羨ましく
思ったり。
私も加わりたかったが、明日、今日の演出のお礼として、
今度は山口さんの『Pマン』に悪の科学者プロフェッサー・フーと
して出演することになっている。
筋肉痛で起きられない、などということになると怖いので、
傍観に徹する。
なんと1時間もえんえん“だるまさんが・・・・・・”とやっていた。

時間がそろそろ近づいたので、駅前に移動、ベローチェで
少し休んで、その後、東新宿に移動。
ヴェローチェの会話でわかったが、なべさんと山口さんは昔
仕事で一緒だったことがあるそう。世間狭すぎ。
丸ノ内線で中野坂下、そこから大江戸線に乗り換えたが、
東新宿には都庁前で乗り換えねばならない。
自転車で向かった菊ちゃんの方が早くついた。

幸永で開田夫妻と合流。
休日なので2時間厳守と言われる。
20人のメンバーで入り、まずはご苦労様、と乾杯。
ギャラ代わりにどうぞ食べ放題で、と。
解放感と、体動かした(撮影というよりだるまさんで)後の空腹で
いやあ、みんな喰うこと。
開田裕治さんがシナリオに目を通して
「いやあ、面白い!」
と絶賛してくれる。
DVDにするときはパッケージ画を描いてくださるというので、
スタッフ扱い(つまり今日の食事はと学会持ち)に。

私は、テリーが“唐沢さん、全然食べないじゃない”と
言われるほど箸が進まなかったが、イベントの後のテンションは
空腹をあまり感じさせない(むしろ飲む方に行く)。
麻衣夢ちゃん、由賀ちゃんはどんどん食べていたし、
乾ちゃんはもうゴキゲンになって、後ろから私の首をしめたり
私の背中を座椅子替わりに使ったり。

山口さんのスタッフでPマンの“中の人”が、じゅんじゅんの
描く少女マンガにハマったらしく、
「一緒にコミケ行きましょうよ〜」
とか誘って、あやさんに“キモオタ!”とか言われていた。

写真撮ったり、燃え上がる火を氷で消火したり(案の定、
テリーがハマっていたよう)、ワイワイガヤガヤやっていたら
あっと言う間に2時間は過ぎる。間際にハッシーも映画の
打ち合わせを終えてやってきて、合流。
お会計ということになるが、結局、撮影で使った経費と
合わせて、と学会の会計に概算で出した予定額をちょっと
上回ってしまった。
まあ、その分、出来はいいですから、ということで。

ハッシーは元気なので(当たり前だ)、さあ次行きましょう、
となり、私、オノマド、圭介、開田夫妻、菊ちゃん、里中くんで。
他の女の子たちはもうお腹いっぱい、ということでハケたが、
後からカラオケに入って深夜まで盛り上がったそうな。
こっちはあやさんの推薦で、歌舞伎町の四川料理『川香苑』へ。
後でなべさんも仕事終えて合流。
なんとこの店に後から入ってきた若い男性(ベルギー人の彼女と一緒)が、
元・劇団員だそうでハッシーと久闊を辞していた。世間は狭すぎ、
という言葉も使いすぎの感。

3種類の唐辛子がはいった、辛い々々四川のドジョウナベや
麻婆豆腐、バイ貝炒めなどを食べつつ、トンデモ本大賞の
打ち合わせなど、12時近くまで。
圭介が食べてヒーヒー言っていた丸唐辛子、菊ちゃんは
食べて“あら、揚げてあって香ばしい”と平気なもの。
カード使えない店なので心配だったが、なんとか持ち合わせ
の金額で収まった。

その後、さらに阿佐ケ谷までノシて、“坐”でさらに飲み。
ハッシーが体調不良で帰ったあとも、
圭介、オノマド、里中、それに私で3時過ぎまで。
いやあ、楽しかったが劇団員と飲むとつい、午前様になる。
ここはさすがに自腹切っておごる。
タクシー、近くの里中くんと同上して。
明日は原稿書かなくては。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa