裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

8日

木曜日

マッド・再現テスト

「では、もう一度人造人間を作ってみよう」

※単行本原稿 雑誌コラム原稿 書き下ろし打ち合わせ アンドナウの会打ち合わせ

確かに、舞台公演が終わるとまた夢を見始める。
使う脳の部位が異るのだろうか。
今朝の夢。何故か焼きネギを食いながら、
あるマンガ家のうわさ話。
毒舌の男が、あいつは片方の頬が一ヶ所、
穴が開いたように落ちくぼんでいる、と吐き捨てる。
そのマンガ家と親しい別の男が、
いや、そこまでじゃない、とやたら怒る。
私はそんなばかばかしい論争には加わらず、ひたすら
焼きネギを食い続ける。
ネギの真っ白さが頭に焼き付いている。

8時半起床、入浴して9時朝食。
オレンジくらいの大きさのマスクメロン半個、
キウイ二切れ。カブのスープ(冷製)。
連絡なかった編集さん(ちょっと心配していた)から
メール。mixiメールで出したと思ったら届いてません
でした、とのこと。

もうドンづまりの単行本原稿、ガリガリと。
日記というのは不便なもので、こういうただの原稿書き
が最もエネルギーを使う、しかも本業の最大重要事項なのだが、
これを記録すると“何時まで原稿執筆”の一行にしかならない。
読解力のない人がこの日記を読むと、
遊んだりしてばかりで私が仕事を一生懸命していないように
読めてしまうことだろう。

一本を12時15分に書き上げて、メール。
弁当(ヤキソバ)急いで使って、
それから今度はところを変えて、B社の原稿。
これも数日前からの催促のもの。
テーマは決めてあるので、あらためて依頼FAXを見てみたら
なんと字数が書いてない。
ゲラ組みだけはあるので、その文字数を数えて、
コラム6本を連続して書き上げる。

最初の一本を書き上げてメールしたのが1時半。
それから一本平均20分で書き上げてミニコラム6本、
3時半に全てアゲる。

で、休む間もなく次の原稿。
メディアファクトリーの打ち合わせ用のマンガ部分脚本。
書いている最中にB社から電話、大変面白かったとのことで、
それはよかった、と思ったら、字数が違っている、と言われ
愕然とする。ゲラ組みの字数でやったのですが、と言ったら、
ゲラ組みが変わった、とのこと。言ってくれよ、と叫びそうに
なる。ただし、本数減らすのも、字数減らすのももったいない
原稿なので、上と相談してどうにかします、とのことだった。

それやこれやで5時の打ち合わせまでに脚本は残り三分の一を
書き上げられず。
まあ、今日はデザイン打ち合わせなのでいいのだが、
順調にいけば完成させられたのに、とちょっと心残り。
完成した部分のみ、井上デザインにメールして、プリントアウト
しておいてもらう。

曙橋まで地下鉄乗り継いで。
考えて見れば井上デザイン事務所、引っ越してから行くのは
初めてなので電話する。
そしたら編集のSさんも地図片手にうろうろしていた
ところだった。
新事務所は以前のビルよりホンの数十メートル、市谷寄りになり、
靖国通りに面したビル。
以前の倍くらいの広さになり、引っ越したばかりだから
キレイで、メンバーも土屋さん以外一新されており、
何か人生の最盛期を迎えているような印象。
本人はまるで力みがないが。

K子の大学講師就任の話などしているうちに河井さんも
やってきて(河井さんと井上くんは周知の仲)、
打ち合わせ始める。
河井さん、いろいろと自分担当部分にアイデアを出してくれていて
それがまた、こっちの希望を(そう詳しく話していないのに)
ほぼ100%、具現してくれている。
さらに、
「今日初めて話を聞いたんで、何が何やら」
と言っていた井上くんも、すぐさま私のやりたいことを
掴んでくれて、これは? あれは? とアイデアをどんどん
出してくれて、Sくんが目を白黒させ、
「予算がそれは出るかどうか・・・・・・」
とあせる場面も多々、あり。
最高のスタッフを揃えられたな、という思いあって非常に愉快。

こちらのやりたいことを掴む、という点では、
ある場面の処理につき、これでいければ嬉しいな、と
思っていたことが、Sくんの口から
「これでいくのがいいと思います」
と出て、じゃ、○○○で・・・・・・あ、唐沢さんの日記にあった
アレですね、いいんじゃないですか、と、
トントンという形で実現してしまった。
驚いたくらいである。
これで仕事もはげみがつく。

あまり充実した打ち合わせの欠点は、これで仕事全てが
終わってしまったような気分になること。
これから先の作業が地獄なのである。
とりあえず、そこらへん気を引き締めて。

帰りの地下鉄でSくんの話を聞くと、河井さんも、
丁度このような仕事がしたいと編集部に言ってきたところ
だったそうである。うむ、何かそういう運気のよって渦のように
集まる時、みたいなものがあるのだろうな。

新宿からタクシーで自宅へ戻る。
車中、コラム担当者から電話、一本コラム(一本だけ字数の少なかった
冒頭のもの)削除することで他をこのまま活かす方向で、と。
このためにページを一ページ増やしてくれたらしい。
自宅で単行本の前書き原稿にかかる。
夜はアンドナウの会打ち合わせだが、それまでに、と、
必死の思いで書き上げる。
8時15分にメールして、またタクシー飛ばして新宿。
三丁目の焼肉屋『神戸屋』で。
ロフトさいとうさん、しら〜、IPPANさん、
オノ&マド。

阿佐ケ谷ロフトでのイベントの件、いろいろ。
ロフトでのイベントを何かやたらやることになったような。
それと、次の奇想天外シネマテークのこと。
『ひなんまつりGO! GO!』のマドデザインのDVDジャケットを
見る。オシャレ。
神戸屋の肉は、限定部位(ザブトン、ミスジ、ササミなど)
も結構、ロースやタンも結構だが、サシがこう上等ぽく
入っている肉は、脂にあたりそうでバクバク喰うのが怖い。
むしろ、〆に喰った冷麺が、太めの腰のある麺でなかなか
よかった。

そこを出て、二丁目の方へ。
さいとうさんはこのあたり、ロフトプラスワンが富久町に
あったときよく店の買い物に来たそうで、私は十数年前、
銀座小劇場でやった佐川一政のイベントの稽古場がここらだった。
しら〜さんは以前はこのあたりのアニメックが最初の勤め先、
IPPANさんはこの近くの小ホールで高校生のころ、
ダイコンフィルムの上映会が開かれて、あれでオタクの道に
踏み込んでしまったとか。
いろいろみんなの思い出のある場所である。

『へぎそば崑』で二件目の飲み。
八海山がうまくてうまくて。
ああだこうだと月旦しつつ、オダをあげる。
親父さんと握手して、12時、タクシーで帰宅。
昨日の『ギャハハ三銃士』について、なをきからも
「改めて読んでみるとギャグがホントにヌルいのに(赤塚不二夫の
パートも)、なんで当時あんなに腹を抱えて笑ってたんだろ?」
という感想が来た。

こういう正月特大号のような気分の雑誌を“祝祭的”という
表現したコメントが昨日の記述に対しあったが、
特別なことを大掛かりにやるのには、ギャグとかが
あまり先鋭的ではいけないのだろう。
あくまでオマツリ的なにぎやかさの方が主体で。
昭和の怪獣映画も、あれは正月休み、盆休みに見る祝祭映画なので、
先鋭的じゃいけない。ガメラ3とかクローバーフィールドは
先鋭的だけど祝祭じゃないのだ。
2時ころ、就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa