裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

火曜日

中川翔子ナード写真集

ギザマニアックス(って、彼女の写真は全部ナードか)。

※メディアファクトリー用写真撮影

朝4時ころ見た夢で、デティールも何もほとんど
憶えていないのだが、断片的に非常に明瞭に憶えている場面。
刺身の盛り合わせを前にみんながこれがうまいかまずいか
論議していると、その中に魚屋がいて、
「よし、じゃあまず魚屋のオレが食ってやる」
と言って、ひと箸つけるが、バッタリ倒れ、脈をとってみると
死んでいる。みんな驚き、
「こいつは魚を食べると死ぬ体質だったんだ」
「魚屋は売る方だから、今まで食べたことがなかったんだなあ」
「盲点というやつだな」
などと話しあう。

朝9時起床。遅れてきた感じの五月晴れ。
気分よし。
むしろ暑くて、数日前から仕事着をカーディガンから
甚兵衛に変えている。で、誕生祝いでいただいた扇子を
パタパタやっていると、なるほどこれはオヤジくさい。
入浴後、朝食。ジャムパンをアイスミルクと。

シドニー・ポラック死去の報。73歳。
『追憶』『愛と哀しみの果て』など、一般客にも評論家にも
ウケる知的メロドラマとして作品を仕立て上げることに
評価の高かった監督だが、その一方で高倉健とロバート・ミッチャムの
コンビを岡田英次親分のヤクザのバクチ場に殴り込ませるという
怪作『ザ・ヤクザ』など、変テコな映画もいろいろ撮っている人
なのだった。

『愛と哀しみの果て』でも、アフリカにはまりこむあまり
アフリカの生活をあまりに美しく描いてしまったポラックだったが、
『ザ・ヤクザ』も、日本人の“義理”の精神に惚れ込んで
我流に解釈し、その結果、日本人が見てアゼンとせざるを得ない
ヘンなニッポンを描き出してしまっていた。
『愛と〜』もかなり混乱する映画なのだが、メロドラマとしての
処理がうまくなっていて、観る者をして納得させるだけの構成力で
見事アカデミー賞を受賞した。

だが、基本的にこの監督の真骨頂は、コレだ、という
テーマを押し付けることで観客を混乱させるところにあったのでは
あるまいか。そういう混乱の最たるものが、
“戦争は狂気だ”というテーマを、では正気を失った状況を
ダイレクトに描けば表現できるだろう、という思い込み(?)で
狂気そのまんまに描いた傑作『大反撃』(1969)だと思う。
まあ、時代というものの雰囲気もあったんだろうが、
ヨーロッパの古城に駐屯したアメリカの小隊が次第に陥っていく
精神の破綻を、シュールなギャグの積み重ねみたいにして描き、
最後に一大カタストロフが訪れる。
カルトムービーとしか呼びようのない映画であるが、
ポラックの創作の底にあるユダヤ人的な知性と粘着性は、実は
こういう映画を観ないと理解できない、と秘かに思っているんである。

『トンデモ音楽の世界』、ちょいと完成前にまたひとつ
めんどうなことをクリアしなくてはならない。
私の方の作業ではないといえ気の揉めること。
昼飯、サントクでイカのお造りを買ってきて、
ご飯の上にシソの繊切りと乗せ、生姜醤油をかけ回してイカ丼。
あふあふと食べる。イカの食べ方で一番うまい食べ方ではないかと
秘かに思っている。

原稿書き進め。
頭の中に場面は全て完成しているのだが、筆がそれに追いついて
いかない感じ。
少し、スケジュール的にあせりが出てきた。このあせりを
モチベーションに転化させていかないと。
9月の某件で皆神龍太郎氏に依頼ごと。
快諾得て安堵。
三才ブックスTくんから、連載とは別の飛び込みインタビューの件。

3時15分、家を出て、丸ノ内線で新宿、都営新宿線まで
長々歩いて乗り換え。途中でメディアファクトリーSくんと
落ち合い、曙橋駅で麻衣夢ちゃんと落ち合う。
井上デザイン事務所まで。麻衣夢、愉快そうに
「こないだのパクチーハウス後に行ったおすし屋のご主人に
次の日あって、“(唐沢さんとNさん)凄いペースで飲んでましたね!”
と言われました」
とのこと。

作品中のあることで使用する写真撮影。
どういう風な使われ方になるかは刊行を待つように。
撮影を仕切るはずの河井さんがなかなか現れず、Sくんが
連絡を取ったらちょっとトラブルあった模様。
心配しながら待つが、ほどなく現れる。
撮影を開始するが、何やっているかわからぬ人がハタから
見ていたら、ちょっといたいけな女性にアヤシゲな男が
変なことをしていると見えたかもしれない(写真参照)。
いや、しかしなんでも“手近で間に合わす”私の本領発揮の
中ではかなりいいチョイスである、麻衣夢の起用は。

井上くんの仕事場の窓から見える中央大学、防衛省近辺の
風景、非常に私の好みに合う。夕暮れが迫ってくるあたりの
光の加減も実にいい。懸案の事務所移転、ここらあたりもいいかな
と思うのだが、曙橋は交通が不便。山手線の中にある新宿線の駅
では唯一、他路線との乗り換えができない駅なのである。
すっかり日が暮れるあたりになって、防衛省ビルの屋上ヘリポート
へのヘリの発着を観ることが出来た。

撮影、その後のチェック、何やかやでやっぱり7時半までかかる。
井上くん誘って、麻衣夢ちゃんと軽く夕食。
河井さんも来てくれる。
昔よく行った『どど』で、打ち上げ。
井上くんと話すとどうしても昔の知り合いばなし、古いアニメの
話になるので麻衣夢ちゃん置いてきぼり。

それでもワイワイ人物月旦、仕事の話などしながら。
10時過ぎに麻衣夢ちゃんをおくって四ツ谷三丁目まで。
戻って、さらに11時過ぎまで男三人、ダベり通し。
地下鉄で帰宅、K子が引っ越しを早くしなさい、と言ってくる。
トンデモ本大賞が終わったらすぐ動き出そう。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa