裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

土曜日

アイタ アイタ チャクラ ガ アイタ

 第三の目、開眼。朝7時半起き。朝食、ピタパンサンド。『男の部屋』の原稿5枚を一気にアゲる。学陽書房から表紙見本。安達Oさんから不要になったAVダンボール箱ひと箱。光文社文庫用の復刻貸本マンガ、つけ加え分の選定作業に入らなくちゃなあ。

 K子の弁当作り。ご飯が炊飯器に残っていて、嫌な匂いがついていたので、ドライカレーにする。カラサワ流ドライカレーの秘訣は、生挽き肉の半量、微塵切りのハムを混ぜること。これでコクがぐっと出る。茹で卵を忘れないことも。こっちの昼はカレーうどん。昨日のBOOKTVで『恐るべきさぬきうどん』を紹介していた映像があったので、うどんを無性に食いたくなった。表参道のフリマに行こうと思っていたのだが出掛けに鶴岡から電話があったのでキッカケを逃す。河崎監督から、実相寺監督と30日に飲もうと声がかかった、と電話があったがすでに30日は先約入ってしまっているんだよな。

 宝島社から宝島文庫『クスリという快楽』(別宝・『気持ちいいクスリ』改題)届く。そう言えば、これの別宝のとき、編集に“シンナー体験者の原稿が欲しいんですが”と言われて、私は山上智を執筆者として紹介したんだった。著者紹介のところが変更になっているから、ちゃんと連絡が取れたんだろう。破格な文体で、無茶苦茶ではあるがかなり面白く、達者じゃないか、と感心したのを覚えている。
「でも勘違いすんなよな。なにごとにも卒業というものがあって、どんなものに狂ってもいいから、かならず卒業しろよ。卒業して初めて、それが自分の人生の肥やしに なるということをくれぐれも忘れるなよ!」
 なんてくだりは感動ものである。誰かさんに読んで聞かせてやりたかった文章だよな。うん。オマエも早く詐欺まがいオカルト屋、卒業しろよな。

 青山の骨董市に出かけるが、雨でほとんど中止同然のありさま。ABC本店に立ち寄る。売場面積が倍近くに大きくなっている。デザイン関係書売り場のところにあった上海の漢聲という出版社の『老月分牌廣告畫』(本当は分にもニンベン)という洋書(てのもヘンだな)を見つけて大喜びし、すぐ購入。1908年から39年に至る中国のコマーシャル・アート画集。キッチュ美人画の集大成。なんとこの当時にヌード画まであるあるよ。1万2000円は安いある。すぐみな、買うよろし。

 帰ってしばらく原稿書き。読売の夕刊パラパラ見ていたら、“裏モノ”と大きな活字があってちょっと驚いた。鹿島茂氏が『裏モノの神様』を書評してくれていたのであった。この人、こないだは睦月影郎さんと対談していたし、だんだん自分が裏者になりつつあるな。裏といや、昨日深夜に作家のおくの剛氏から電話があった。なんとかいうホラー映画でゾンビ役のエキストラが欲しいがやらないか、という話。映画で ありゃ出たいというわけじゃないわな。出たい人いたら連絡を乞う。

 8時半、大雨の中新宿寿司処すがわら。タコ薄作り、シマアジ、赤貝、甘エビ、ウニなど。どう見てもオカマ、という感じのケバい化粧の彼女を連れて入ってきた客、頼んだつまみにも手をつけず、二人、じーっと黙ったきり。どんなドラマが二人の間 にあるんだか。

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