裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

11日

木曜日

中学生たちでは細すぎる

 筋肉がつくのはやっぱり高校生からよね(マッチョ好きゲイ氏談)。朝6時に目が覚め、本など寝床で読む。7時過ぎ、朝食。昨日の北京ダックの残りをサンドイッチにして。ブラッドオレンジ。新聞に塩沢兼人氏事故死の報。自宅の階段から落ちて死ぬ、というのは以前、なをきと“こういう死に方はしたくない”ばなしをしたときにリアルすぎて笑えなかった死に方の例だ。交通事故、とかキチガイに刺されて、とかいうのなら何とか納得も出来るが、階段から落ちて、というのは本人も家族もあまりにアッケなさすぎて、不条理を感じる余裕さえなかろう。死は出来るだけ派手な方が本人も回りもナットクできるような気がする。学陽書房H氏電話。まだやはり細かい作業ボチボチ残っているもの。大和書房I氏電話。催促にひたすらハイハイハイと答える。

 原稿書き。気圧がどんどん下がっていくのが肌でわかってどうも進まず。昨日読んだ本に、こんなことが書いてあった。
「びんの中に入れた蛙は、高気圧のとき梯子を登り、低気圧のとき降りる習性がありこれによって晴雨を判断できるところから、フォルタン(フランス人。一七五○〜一 八三一)は晴雨を予知する水銀気圧計を発明したと伝えられている」
 ・・・・・・なんか、前半と後半のあいだにかなり深い断絶があるような気がするが違っているか。仕事不捗はマンションの外壁塗り替えで、シンナーの匂いふんぷんであることも一原因。

 昼はレトルトパックのご飯に、カツオのヅケと冷や奴で食べる。そのあと新宿に出て買い物する。雲行きますます怪しく、帰ってきて、資料読みながら寝てしまう。表で工事している塗装屋さんたちがデカい声で会話しながら仕事している。四階のここまで筒抜けである。なんであんなデカい声を出さんければならんか。しかもときどき“は〜いバケツよ〜”とか、オカマ言葉が交じる。やはりスネークマンショーのような具合になっているのか? 鶴岡からまたグレ電で近況報告。仕事が無茶苦茶に入ってきているという状況でこの現状。まあ、少しは“書いて食べていく”という計画性も学べ。

 『創』の打ち合わせ、双方の都合で来週にノバす。スケジュール予定、ロングレンジのもの、ショートレンジのもの、どんどん埋まっていく。もちろん、フリの仕事も受けつけられる余裕を持って組まないといけないのだが、生来の貧乏性で、ある程度予定をツメないと安心が出来ない。フィギュア王原稿書き出すが、途中までで二回放棄。海拓舎原稿でカタいのをやっているので、ついその流れで、文章がカタくなってしまう。もっとバカなことを書かねばならぬ、と自己暗示をかける。7時、東急ハンズに出かけて仕事場のポータブルテレビ用のアンテナジャックを探す。このあいだ、コードを買って帰って取り付けようとして、あ、ジャックの方式が違う、と気がついたのだった。今度はそれをきちんと確認し、いいのを見つけて、帰ってとりつけようと思ったらコードの長さがまるきり不足していた。自己暗示が変な方に効いた。

 8時半、船山で夕食。板前修行中のタケちゃん、今度は日本橋の料亭に行くとか。いわゆる板前顔にやっとなってきたところなのに残念。ここの主人はまるで板前顔でない。ネクタイしめてスーツ着せた方が似合う顔。若いころ面接に行くと、“あの、募集は営業でなくて板前なんですが”と言われたそうな。タイラギの黄身ヌタが絶品で、これだけドンブリ一杯食べたかった。

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