18日
月曜日
義満とクローバー
明との貿易に使用された箱に、陶器が割れないように詰められていたのがつめくさ(クローバー)であって……。朝8時30分まで寝ていた。よく眠れるものである。某業界人女史で、ほとんど仕事らしいことが出来ない素人同様の、しかもそのくせときおりこっちに責任をおっかぶせてケンツクをくわせてくる困ったちゃんがいる。そいつのことを思い出すだに腹立たしくなる女なのだが、なんとその彼女と温泉に入るというエロ夢を見た。エロ夢エッサイム、吾は何を求め訴えておるのか。
入浴15分ですまし、朝食。スイカとトマトのスープ。 今日はなんとしても二見を終わらせねばと意気込む。麻黄附子細辛湯、救心。残り4本である。昼までに一本ア ゲ、おぐり、Yくんメール。あと3本。
それから仕事場へ。梅雨明けの昼間、外へ出るだけでカッとなる暑さ。タクシーの 運転手、おとなしそうな初老の人だったが
「山手通は混むかもしれませんから途中で西新宿へ抜けましょう」
と言い、渋滞注意の表示みて
「ああ、やっぱり富ヶ谷のあたりまで混んでますね」
と言い、
「ラジオでも今日はあそこ一車線になる箇所があると言ってましたよ」
と話しながら山手通りに入ったところで、何を思ったか
「……まっすぐ行っちゃいましょうか」
と、そのまま地下高速道工事現場の方へと突っ込む。ダーウィン賞という言葉が頭に浮かんだほどの、理解できない自滅行為で、あまりのことに私もポカンとして、ダ メを出せなかった。案の定、大渋滞に巻き込まれる。運転手さん、ぽつりと
「……やっぱり混んでましたね」
だから、それはアンタがさっきまで言っていたことではないのか? 人間って不可解だなあ。
15分遅れで渋谷着。仕事場でお茶漬けカッ込み、原稿続き。二本目を送る。あと2本。原稿枚数にして8枚。普通に書けば3時間弱の枚数。しかし残された時間はあと1時間半。こうなるとアドレナリン噴出。通常のほぼ倍の速度で運転、5時に週プレ対談で時間割、だが、なんとかギリギリ、5時ジャストに最後の一本をアゲて二見 に送ることに成功。うぎー。思えば大変な毎日であった。
しかし達成感や興奮を味わう間もなく時間割に移動。Mくん、後任の担当Sくんを連れてきている。名刺交換、おぐり、しなっちとちょっと雑談してからニュースの選定にかかる。おぐりの東濃ネタでみんな大ウケするが、それをどうニュースに結びつけるか。ウケるボケが出たときは出たときなりに苦労がある。楽しい苦労だが。
7時半、予定通り対談終え、これから新宿に移動してあぁルナの橋沢さんとおぐりと、DVDの打ち合わせを、と思ったらおぐりの携帯に電話あり。ちょっと急な事情があって、おぐり、これから深夜バスで岐阜の田舎に帰らねばならぬことに。あとの ことは心配せずに、と送り出し、私だけ新宿。
橋沢さんと待ち合わせ、メシでも、と大久保のグリーン食堂。DVDがらみの件とこないだの『ブエノス・アイレス』の感想、その他小劇団の話、そもそも芝居というものは、という話、それやこれやでなんと2時まで。橋沢さんと私では立ち位置やものの見方、価値の度合いに異なる部分が多々、あるのだが、それだけに話して刺激になるし、なるほど、と膝を叩かせる部分多し。基本的な部分では通底しているし。
ジャガイモ鍋とドジョウ汁、チヂミなどつまみつつ真露二本空けた。やはり本一冊書き上げたという開放感がじんわりと体中に染み渡り、酒をうまくしてくれる。話そ のものはきちっと重いこともしたのだが。帰るとき、店員のお姉ちゃんが
「オ客サン、ヒョットシテ、てれびトカ出テル?」
と訊いてくるので、軽く
「あ、出てる出てる」
と答えたら、
「ア、ヤパリ。コナイダサンマサンノ『からくりTV』デ見タヨ!」
と言うのでちょっとずっこけ。こっちも酔っているので訂正するのもめんどくさくそのままハイハイと言っておく。
「今度、色紙用意シテオクカラさいんシテネ」
と言われるが、やはり“スーパーからくりTV”と書かなくてはいけないかね? 帰宅、メールチェック。二見Yさんから狂喜乱舞のメールが来ていた。