裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

日曜日

魔女の一升瓶

 二日酔いになったりしたけど、私は元気です。朝6時半起床。朝食また自室で。スイカとコーヒー。麻黄附子細辛湯服用。ゆうべ書きかけだった二見原稿一本。それから日記。あと午前中かけて二見を二本。二見原稿は基本的に週プレのあの感じで進むが先生と生徒の役割が明確になっているのであまり無茶ができない。その中で雑学と 笑いをとるべく努力。

 書いててハイになる。麻黄附子細辛湯の効験あらたか。あらたかすぎて大ポカ。プライベートメールを別人に出してしまう。冷汗三斗であやまりメール。本来出すべき 相手に“別人に送った”と言ったら“あれをですか”と呆れられてしまった。

 家を出てタクシー、打ち合わせ場所へ。時間がないので立ち食いで冷やしタヌキを近くの店で。やたらオヤジが横柄であった。某人と待ち合わせ、時刻通り。共通の友人である開田裕治さんからの伝言を伝え、向こうの推薦してきた資料を参考に見せて もらう(事情種々あってこの件の記述は隔靴掻痒、ご寛恕を乞う)。

 今現在の流行り要素を集めてみました、という感があるものだが、実はこれ数年前の資料。時代の方が後から追いかけて来ているということか。同類のテーマの仕事に関わったことがあるが、内容の深度は(自分が関係しているものだからから言うわけではないが)そっちの方が上。ただ、提示の洗練度がこっちは凄い。中央にいる者の 強みである。

 喫茶店でそのデータ表前に置き打ち合わせ。前半は私がほとんどしゃべるが、相手も言うことは言う。もっと聞き手に回るべきであった。向こうは一年後に結果を出したいといい、私は二年は待てという。私が一年後にどれだけの成果を(別件でだが) あげているかで話は全然違ってくる。

 関連してかなり荷と思われる決断を迫られるだろうし、私にとってはまだ五里霧中同然。ただ、それ故に語りたいことは山ほどあり、店を途中で変えて計4時間半、話し込んでいた。具体的なことというよりはまだ精神論。何をしたいかがはっきりまとまらないときは“何をしたくないのか”を考えて消去法で行けばやがてしたいことが浮き出てくる、とか。全ての人間にわかりやすいものをと思っていると結局誰にも見向きもされなくなる、一定数の層をあらかじめ“理解できない要員”として見ておかないといけない、とか、大きな目標の達成のモチベーション維持のためには中間の小さな目標を目前にあまり置かない方がいい(小成に甘んじてしまう危険性がある)と か。

 もちろん硬い話ばかりでなく、同業界人のゴシップも少し。と、いうかたくさん。あの人が○○××とは意外だったという話だとか、某怖い系美女の話(キレると手が出ますからね)だとか。今はなき某所某店の話もする。今や業界人でもあそこを知らない人が増えたとか。ともあれ頑張ろう頑張りましょうという平凡な結論で別れて、 自宅へ帰る。

 二見本続き。三本、必死でアゲて編集部とおぐりにメール。10時、K子とタクシーで東新宿、幸永。うまい具合にすぐ入れた。そう食欲ないので桜カルビ、豚骨タタキ、極みホルモンのみ。あと豚足と冷麺。日曜なのでレバ刺しはなし。ホッピー飲みつつ雑談。
「オレはこのままフツーの文化人になってしまうのだろうか」
 と言うと
「オタクの文化人なんてのは所詮イロモノ!」

 と一喝されて気が楽になる。談之助の名言“名人芸に代わりはいくらもいるが、一芸の色物には滅多に代わりはいない”。生涯一イロモノが私のモットーであった。忘るるべからず。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa