裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

29日

木曜日

ICの上にも三年

 私もやっとこの集積回路研究室の雰囲気になじんできました。朝、いしかわじゅんのマンガにアスペクトのK瀬さんが出てきた夢を見た。7時15分、起床。朝食、ホウレンソウのサラダとプチトマト5ヶ。二十世紀。今日は夏がぶりかえしたみたいで陽射しも強い。おとついの夜、仕事していたらキリリリリ、コロロロロ、という金属的響きのあるかすかな音が耳に響いてきて、いやあ、行く夏を惜しみて虫たちのすだくよ、と風流な気持ちで聞いていたのだが、何かおかしい。調べてみると、エアコンのファンが少しきしんで、キリリコロロという妙なる響きを発していたのであった。今年の夏は暑くてほぼ、休みなしで冷房をかけていたから、油が切れたのかも知れない。昨日は収まっていたが、今日はまたキリリリリ、である。もっとも、虫の音に間違うほどのものだから、さまで気にもならない。

 OTCのNさんから電話、平成オタク談義とはまた別の番組で、メカゴジラについて何か語ってくれませんかという。ついでに、どなたか対談相手を、というので、品田さんの名を(他の何人かと共に)挙げておく。品田さんからほどなく電話で、何か突然、唐沢さんとテレビに出ろと言われたが、というので、詳しく説明。ナルホド、そういうことですか、と、やっと納得してもらう、よほど唐突な依頼をしたか?

 昼は外出して、新楽飯店でホイコーロ定食。味噌が熱くて熱くて、口の中をヤケドしそうになった。帰りに西武で買い物。陽射しは歩いているとカッと照りつけてくるが、盛夏のときのあのウンザリとしたような暑さではない。新楽飯店のお母さんが道路にホースで水を撒いた、その冷気がさわやかに感じられた。

 帰宅、河出書房のムックの企画書を書き上げる。何かやたら企画意図がリキの入った宣言文みたいになる。執筆予定者のところ、私ルートの人間だけで揃えてみた。最初はこれだけじゃ閉鎖的になるから、どこかの大学のセンセイなどの名前もお借りしなくては……と思っていたのだが、映画監督からオタク、官能関係、民俗学関係、エロ関係、著名人から新人まで、かなりバラエティに富んだ面白そうな顔ぶれになる。これなら自分が読者でも読みたくなると感心して(自分で感心していては世話はないが)メール。驚いたことにすぐ、Aくんから電話がかかってくる。絶賛してくれて気分がいい。ただし、会議を通すにはまだ数度のナオシが必要だろうし、それで12月刊行だと、執筆予定者諸氏にはかなりご迷惑をおかけすることになる。

 それでしばらく、次の仕事にかかるための休息をとっていたら、急に精神状態が不安定になってくる。テンション高めた反動か。グルグルするので、落ち着こうと思いメールを書くが、どうもヘンなものになってしまった。アップにしかも失敗。マー、いいやどうでも、と思い、簡単に夜食を作り、K子と食事。枝豆を茹でて、すりばちですってずんだ餡みたいなものをしょうゆ味で作り、これでタコを和える。も少しコクが必要かもしれない。すりばちで豆をする作業、普段はこういう単純作業で気が落ち着くんだがどうにもならん。食べていたら永瀬さんからその件で電話。向こうはスゴくうれしそうであった。焼酎飲みながら11時半まで電話。そのまま後かたづけも しないで寝る。

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