8日
金曜日
0120・お通夜・お通夜
故人は香醋を毎日飲んで健康な老後を送り……。
※静岡入り・NC赤英通夜
9時起床。黄ニラスープとチョコバウムクーヘンで
朝食。日記つけ、三日遅れのフィギュア王原稿。
案外これに年代つけあわせなどで時間がかかる。
果たして出発まで間に合うか、とハラハラしつつも、
そこらへんはこれまでの経験でギリで上がる、という
感触あり。
昼、母の室で。自家製カツ丼。
量が多すぎる、これでは全部食べ切れないよといいながら
ペロリと平らげてしまう。
あと、ミカン小二ヶ。
自室に戻ってまた原稿。書きながら、少しずつ出かけるための
服装に着替えていく。
原稿、1時にアゲ。編集部と、イラスト用資料添えて
K子にメール。K子には留守中のことも細々メール。
集合時刻は1時30分。旅行カバンに必要なもの全てつめこみ、
家を出たのが1時20分。タクシー捕まえて中野駅まで
ワンメーター、1時32分中野駅着。待っていたハッシーと
合流。青春18キップを使って、これから静岡までの旅である。
車中、当然のことだがNCの思い出話。
役者たちは、それも喜劇役者たちは、全く何にも悲しくない、
というポーズを強いてとろうというところがあるのが面白い。
テリーなど、最初は葬儀にいかない、と言っていて、
舞ちゃんが行くというので一緒に行く、と言い出したらしいし、
ハッシーも“オレは絶対泣きませんよ”と、言わなくてもいい
意地を何度もはる。誰か脇に第3者がいたら、この二人が絶対
泣くということで1万円くらい賭けようかと思ったほど。
東京駅で松下あゆみに出会い、早さん、八木橋くんと落ちあい、
さらにじゅんじゅん、テリー、舞ちゃん、菊ちゃん、琴ちゃん、
Oさん(以前のルナ劇団員)、岡っち、いぬきょん、エリックという
一巻きとなり、さらに一哉、シヴさんが途中から加わるという大所帯。
普段から騒がしいこういう一行が、列車で旅行するのだから騒がしくない
ワケがない。小田原で乗り換えだったので金目鯛と鯖の炙り寿司を
買い込み、乗り換えの電車の中で食おうと思ったのだが、この電車が
まるきりの普通列車。普通に女子高生、中学生たちが乗り込んでくる中で、
ハッシーがビールこぼすやら、こっちはみんなで寿司折を回し食い
するやら、さんざんなダメオトナぶりを発揮する。
抜けるような好天。富士の姿がはっきりと見える。
登頂、雪に覆われてはいるがところどころ地肌が見える。
風が強くて雪が飛んでしまうのだとやら。
なんやかやで5時半に静岡駅到着、タクシー乗りあって斎場の
エルネット千代田なるところに向う。宿泊施設もある立派な
ところで、そこの大部屋に荷物置かせてもらい、喪服に着替えて
お香典を預かっていたTくんのものも含めお渡しし、棺の中の
赤英に対面。聞いていた通り、口元に笑みを浮かべた安らかな
笑顔だったが、肌の色の悪いのを隠すためかメークが濃く、
何か遺体というよりはマネキンのような、そんな感じがする、
不思議な遺体だった。
ご両親にも挨拶。気丈に臨終のときの説明をお父さんがして
くださっている。前日に大量の吐血をし、苦しい中、
母親のことを呼び続けていたが、翌日は打って変わって静かになり、
悟ったような笑みのまま亡くなったという。
お父さんはいかにも地方の紳士という感じ、お母さんはNCそっくり。
二人とも、NCがこのような活動をしているとは全く知らず、
最期まで彼の世話をしたオダくん(受付など万端引き受けて働いて
いた。彼という友を得ただけで赤英のいい奴だったことがわかる)
から聞いて、参列者の多いのに驚いたという。
いや、われわれも仲間ながら彼がこんないい家の息子とは
つゆ知らず、ヘタすると家をオン出た不孝息子という
ことで断絶状態だったんじゃないかと思ったので、
親戚のみなさんが本当に大勢集まってくれているのに驚いた、
とシヴさんと話しあう。
「彼は孤独だ孤独だと言っていたが孤独じゃ全然なかったんだね」
「むしろ、孤独にあこがれていたんじゃないかね」
花も多くの劇団、多くの関係者から。芦辺拓氏と奥様、開田夫妻は
連名で。他に渡辺克己、WAHAHA本舗、TBS、J-wave、
古舘プロジェクト、それとは別に希依子ちゃん由美子ちゃんから
連名で。ファン一同からももちろん届いてたし、川瀬さんの呑娘。
からも。京極夏彦さんからも届いていた。後日のために写真に
せっせと収める。私は今回は記録役、式に出席できぬ友人たちの
ための実況役と心得て動く。
やがて通夜始まる。本多慎一郎さん、三宅くん、浜崎くんも
駆けつけ、読経始まったあたりで麻衣夢、佐藤歩、鈴木希依子、
松原由賀の女性チームが駆けつける。
彼女たちが全員泣いているので、ようやく通夜っぽくなる。
いや、こっちの菊ちゃんとかも盛大に泣いてはいたが、
何となくまだ実感がわかないらしく、ハッシーはじめみな、ちょっと
興奮状態にあるので、葬儀という感覚がなかったのである。
カラーチャイルドの中村容子ちゃん、里中くん、トツゲキ倶楽部の
横森さん、松山幸次なども来る。もちろん、かつてのルナ仲間、
カウンタックーズ仲間の久保や親川も。次々に焼香。
私などの知るはるか昔、20年近く昔の仲間という人たちも
次々に集まってくる。ここらへん、劇団仲間というものの
つながりの厚いところ。われわれ個人営業のモノカキでは
(そりゃ昔の仲間も駆けつけるだろうが)ここまで情愛深くは
出来ず。ややジェラシーを感じるところではある。
終って、大部屋(ここに式場から棺が運ばれてくるシカケがある)で
半通夜。寿司を食いながら、みんなと赤英ばなし。
いぬきょんが泣きながら、何か固まったようになっていた。
麻衣夢も由賀ちゃんも容子ちゃんも目を泣きはらしていた。
舞台の思い出を語る歩もそれらしいし、希依ちゃんはなにやら故人の
葬儀に現れた謎の美女、という感じ。それぞれ個性豊か。
男優人は……全員飲んだくれだ。
カウンタックーズの全員を集めて、最後の集合写真を撮影したり。
話を聞くたびに、あれだけ困った奴なのに、いい話ばかりなのが
印象に残る。結局人間、自分勝手に生きた方が勝ちなのだな。
終列車近くの時刻になって、帰るものは帰り、われわれ一泊組は
ご両親の用意してくれた宿へ。ビジネスホテルかと思ったら
結婚式場まである瀟洒なシティホテル。部屋割りでいろいろ
手間を食う(タバコ吸う人、吸わない人など)が、結局三宅くんと
一緒の部屋に。
着替えて、近くの居酒屋に総勢15〜6人で。静岡酒場とか
おでんやとかに行きたかったのだがみんな時間が早く、仕方なく
庄やで。何か稽古後の飲み会とほとんど変わらず。
ハッシーが昔の仲間たちと飲めてえらく楽しそうだった。
その後、ハッシー、岡っち、早さん、Oさんと五人で夜の静岡を
ラーメン屋探してうろつく。別にラーメンを食いたいわけでなく、
もっとNCのことを語りたい、だったのだが、静岡の街には
どこまで歩いてもラーメン屋がなく、そうなると次第に、
意地でもラーメン食うぞ、になる。
結局、繁華街の中にあるラーメン屋を教えてもらって、外でしばらく
待って入る。早さんは何と塩と醤油の二杯を食べていた。
Kという店で、スガキヤと似た魚介のスープ。あまり好みの味では
なし。まあ、ありついただけ満足。
三宅くんから“シャワー浴びてベッドに入ってます”とメール。
“先に寝てます”でいいだろ、これだとまるでホモの恋人への
メールだぞ、と笑う。帰宅したらまだ起きてた。
雑談少しして、ナニゴトもなく(アタリマエだ)寝る。
mixiに報告アップして、就寝3時。
*遺影を前に、いぬきょん、舞ちゃん、ハッシー。
*喪服美女(?)軍団。