裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

月曜日

超人(ちょう・ひと)

徹底してフツーな人のこと。(用例「やだ、このおっさんチョー人〜」)

※連絡一束

夢日記、
京王線沿線で朝までのイベントを行い、駅近くの24時間営業の
中華屋でスタッフたちと食事をする。
出てみると、何やら人だかりがあって、10人ほどの人々が、
仮装をしたり、棒の先に絵を描いた紙をぶら下げたりして
「はんがん、
 びんげん、
 まんぼん、
 まんぎょう」
とお経のように唱えながら歩いている。どうやら、描かれた絵や
仮装は、終戦後、日本人が半島でどんなひどい目にあったかを
表したものらしい。先頭に立っている和服姿で恰幅のいい初老の男が
そういう意味のメッセージを語る。やはりそっち関係らしい。
写メを撮ったら怒られるかな、と思うが、他の見物人が撮って、
撮られる方はかえって嬉しそうにしているので、あ、いいんだと思い
自分も撮る。
あのお経の文句など、自分の脳のどこから涌いて出たのやら。

9時半朝食、ちょっと気分鬱々。
スイカ、バナナ、スープ、ミルクティー。
外は雨、かなり強し。
気分鬱なのはそのせい。

たまっていた連絡事項を一気に片づける。
すぐに返事をくれる人もあり、週末・来週にかけて打ち合わせ
デーとなる模様。
そうなるとそのための資料も作らねばならず……。

昼は塩ジャケでお茶漬け。
室に帰り、ちょっと調べもの。
しているうちに資料必要になる。ネットで一円でも安いものを
見つけて買う。

原稿書き。
ふと気がついたら6時過ぎ。
急いで外に出て買い物。
帰宅してまた原稿続き。
途中でモヤモヤしてきてあまり進まず。
今後のスケジュール、いろいろ考える。

俳優・山田辰夫氏死去、53歳。
最近はテレビに映画に、格段に渋さが増してきたと
思っていたが、その渋さは癌ゆえのものだったのか?
デビュー作『狂い咲きサンダーロード』でのブチ切れ演技
はあまりのリアルさに見ていてヘキエキするほどであった。
実際、誰もあれを演技と思わず、各映画祭の新人賞を総ナメ
にしたにも関わらず、次の仕事の依頼が全くなかったと
いうことである。
やっとその実力が発揮できる年齢になってきたところでの
死は痛ましいが、高校時代からの親友・滝田洋二郎が
自分の出演した映画でアカデミー賞をとったのを見ることが
出来たのはせめてものことだったろう。黙祷。

もう一人、三越の女帝と言われた竹久みちも24日死去、79歳。
24日死去、79歳。
三越社長・岡田茂の愛人で“女帝”と呼ばれ、70年代末、
三越の宝石・婦人服売り場に自らの会社のデザインしたものを
独占して買い取らせ、莫大な利益を上げた。
デパートがまだ高級なイメージで国民のファッションをリード
していた時代だったのだなあ、とうたた感慨。
1982年、三越内部で岡田茂に対する反旗があがり、社長更迭。
その時の名ゼリフが“なぜだ!“。何と流行語になり、翌年には
にっかつで三越事件が映画『女帝』にまでなり、竹久みちこと
中原みきの役は黛ジュンが演じて、岡田役の大木実と
熟年ベッドシーンをみせてこっちをヘキエキさせた。
けしからん事件であると当時こそ思っていたが、今思うと、
80年代のリッチな気分がただよっていて、何やら懐かしい
思い出みたいに感じられるのが何とも。
間違いなく、彼女は時代のメルクマールだった。黙祷。

8時、夕食。
タコが食いたかったので蒸しタコの足を2本、買ってきて切り、
ネギ一本の白いところをちょっと長めのぶつ切りにしたものと
ニンニク大きめの一片と一緒に酒を加えた湯で茹でる。
ネギが半透明になるくらいまで。
湯から上げたら水分を切って、オリーブオイル、ガーリックパウダー、
胡椒、パプリカ等で和える。
一方、タコ、ネギと一緒に茹でたニンニクをスプーンで潰し、
マヨネーズ、レモンの絞り汁とまぜてアイヨリソースを作る。

これとホットドッグという組み合わせで夕食。
DVDで新東宝映画『女真珠王の復讐』。
藤田進が悪人役で前田通子に(あの口調で)
「ボクはキミが好きなンだよ」
と迫り、強姦しようとするシーンは何度見ても爆笑。
藤田が前田のブラジャーをはぎとろうとするシーンの胸のアップは
もちろん時代の制限でぎりぎりまでしか見せていないが、むしろ
モロに見せるよりショッキングであって、今でも通じる
手法ではないか?(ここでDVDを”おッ?”と思い戻して見た男どもは
かなり多いと思われる。私も最初はやった)前田の体も実に美しい。
宇津井健、天知茂、丹波哲郎などという面々がひたすら前田の
引き立てに回って神妙に演技しているので、主人公がとにかく引き立つ。
ストーリィも馬鹿馬鹿しいなりに面白く、アナタハン島事件を
モデルにしたであろう孤島エロ話的中盤から東京でのサスペンス復讐劇に
転じる構成もあざやかで、エンタテインメント作品として上質。
ただし、パッケージの解説に
「若者の恋と冒険を描く、斬新なアクション映画として話題になった」
とあるが、話題になったのはやはりエロ映画として、ではないかと
思う。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa