裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

23日

木曜日

『あしたのジョー』EDテーマ

「起て、起つんだジョー!」

※体調不良一日グッタリ

朝8時に起床、眠れず。
こういうこともある。
でも結局、ジダグダしてあまり有効に使えず。

9時半、朝食。豪ちゃんのフルーツトマト、バナナ、それに
ホワイトアスパラガスのスープ。
母と古い落語家の話などする。

午前中、やや胸苦しさあり。
気圧と湿気のせいだ、と思いたいが……。
外出予定を明日に回してみたり。

以前使っていたマウスのソールの接着剤が劣化して
ベトベトしてきたので、マウスごと買い替える。あれやこれやと迷った
揚げ句、マイクロソフトのベーシックマウスにした。
やや軽過ぎてもの足りぬ感はあるが、まず使い勝手はよし。

ルナの橋沢座長が出演するNHKのドラマ『とめはねっ! 鈴里
高校書道部』の放映はいつじゃらほい、と思って検索したら、
来年の1月中旬から、とわかった。で、その枠(『ドラマ8』)
での前(1月初旬)番組を見たら……
『恐竜SFドラマ プライミーバル 第2シリーズ』
やるだけまだマシとはいえ、あのラストで丸々一年引っ張るとは!
じゃ第三シリーズはさ来年の正月か?

昼、母の室で(この“室”という書き方は小学生の頃復刻されて読んだ
『蛸の八ちゃん』で覚えたんだったなあ)カツめし。
納豆もあったのでカツ少し残す。
食欲がない。

気圧乱れ午後もなお続き、何も考えられず。
体調も不安定。
しかもマイミクさんの日記で高久進氏の死去を知り、またも
落ち込む。昨日の金田伊功氏に続き、何という連続。

享年76歳。
テレビ草創期から多くのヒーローもの、アニメ、特撮もの、怪奇ものなどを
手がけ、上原正三と並ぶこのジャンルの脚本の第一人者。
『忍者部隊月光』から『超力戦隊オーレンジャー』まで関わっていると
言うだけでその活躍期間の長さがイメージ出来ると思う。

デビュー作がカルト作品で現在、種々の事情でソフト化が出来ない
『九十九本目の生娘』ということでまずインパクトが強いが、その後
日本のテレンス・フィッシャー佐藤肇とコンビを組んだことで、
『吸血鬼ゴケミドロ』という異常な傑作を書き、日本映画史にその名を残す。
上原正三や藤川圭介と高久進のカラーの違いは、このグロ趣味にあるだろう。
大人向きシリーズの代表作である『Gメン’75』でも怪奇色の強い作品が
夏には必ずあったし、中には『香港カラテ対北京原人』なんてシュールな
タイトルのものもあった(実際は戦時中に行方不明になった北京原人の
骸骨をめぐってのドラマで、戦うわけではない。そう言えばこれも戦う
わけではなく協力して敵を倒すのに“対”とついた東映まんが祭の
『マジンガーZ対デビルマン』の脚本も高久氏であり、やはり前半に
その怪奇趣味が出ていた)。

とにかく、その執筆量があまりにも多いため、パターン化された
展開も多く、マンネリ脚本家の代表、という風に言われることもあったが、
しかし長く続いたシリーズの、記憶に残っているあの話は、と調べると
これが高久脚本だった、という例は非常に多い(私にとっては九重祐美子
の『コメットさん』の『オモチャの叛乱』という回がそうで、しかも
これは監督があの中川信夫だった)。
エンタテインメントの基本というものを徹底して知り尽くしていたのだろう。

細かい理屈にあまりこだわらず、場面で見せてしまう、というのも
高久脚本の特長か。『悪魔くん』の『ドクロンの踊り』では、ドクロンと
メフィストは宿敵、ということになっているのだが、その理由はひと言、
「やつとは最初からソリが合わねえ」
だけであり、『キャプテンウルトラ』の『怪獣軍団あらわる!』で、
一度キャプテンに倒された怪獣たちが甦るのだが、その甦る理由というのが
「われわれは二つ、命を持っている」
というオイオイな説明ひとつで済まされてしまう。
因縁とか科学的解説とか、そんな説明をクダクダするより、面白いシーンを
少しでも早く見せた方が子供は喜ぶ、という割り切りなのだろう。

とにかく、我々が過ごした昭和の時代の子供番組の、過剰なまでの
豊かさの一角を担ってくれたのが高久進作品であったことは
間違いない。
それにしても今年は『吸血鬼ゴケミドロ』の出演者高英男と、脚本家高久進が
共に世を去った年になるわけか。嗚呼。

ちなみに高久脚本で最も興奮したのは『キャプテンウルトラ』
の『二大怪獣火星都市にあらわる』だった。
改造バンデラーをキャプテンウルトラが乗っ取って味方にし、
ガルバンと戦うというストーリィに燃えた燃えた。

結局体調も気分も復調せず、何も出来ずに一日終る。
食欲がないまま、重曹湯豆腐と塩ラッキョウで夕食。
酒は軽めに、ウイスキー(トリス)のソーダ割一杯半。
明日の検査に備え、早めに寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa