裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

3日

金曜日

ウォーキング青山

ホーキング青山さんと有酸素運動を!(おいおい)

※札幌行き 志水一夫氏死去

朝7時起床、見た夢は木下藤吉郎出世物語。
木下藤吉郎出世物語。戦国時代の武士が泊まっていた宿に酒と餅を
用意して泊まり込み、戦から帰ってきた武士たちにふるまって、
戦場の話を聞き、将来のための情報を手に入れる藤吉郎。その宿と
いうのは私が学生時代下宿していたアオイ荘だった。

パソコンの前にすぐ座って、5日の講演のレジュメを
書く。途中で朝食、9時半。いつものメニューに加え
ローストビーフサンド。
帰室して、また書き継ぎ、10時半完成させて、先方と映像製作を
やってもらうマドにメールする。

11時、家を出て、山手線で浜松町。乗り換えでモノレール。
空港でハッシーと落ち合い、レストランで打ち合わせしながら、
ちょっと解放感でビールなど飲む。
今日明日、札幌のでんたるさんの招待を受けて、札幌公演の
下見のために小旅行。

さくらラウンジでちょっと話す。
ラッシャー板前さんがいた。いつも『ちい散歩』で見ているので
つい、頭を下げて挨拶してしまう。向うもちょっと不審そうに頭を
下げてくれた。ハッシーはつまみ枝豆さんとは親交があるがラッシャー
さんとは残念ながらなし。

千歳へ。機内は別にこともなし。
JRで札幌市内へ。駅から電話して、でんたるさんの歯科医院へ。
ハッシーの宿所であるでんたるさんの“隠れ家”に荷を置かせて
もらい、そこからハッシーと2人で、札幌ファクトリー近くの
小劇場『ブロック』へ。
電話で下見をお願いした。幸いなことに今日は明日からのだるま食堂
ライブの仕込み日だそうで、空いている。
行って見ると、昭和っぽいビルの中にあるいかにもな小劇場で、
ムードは非情に好み。
照明の吊るしをやっていた女性が、ここの担当で、以前の札幌本多
劇場からいるというMさん。可愛い女性で、ハッシー、いきなり
大のごきげんになった。
こちらの希望の日時は埋まっているが、希望もまあ適当に決めたもの
なので、そこらをまたMさんと打ち合わせるということに。

まだでんたるさんとの待ち合わせには時間があるので、ファクトリー
のビアガーデンでビールのみつつ、夕暮れの北海道の空を眺めて話す。
残念ながらまだビアガーデンには寒々しいが、話ははずむ。
ちょうどハッシーに羽田で電話あり、某女優さんがルナの舞台に出演を
希望しているそうな。

途中で、ひえださんから電話。ひょっとして、と思ったのだが
志水一夫氏逝去の報。何と早き。ついにお見舞いの機会を逸してしまった。
彼とのと学会での17年に及ぶつきあいが頭の中を駆け巡る。
遅筆、遅刻魔、経済観念の無さなどで、だいぶ迷惑をかけられたが、
しかし不思議に“志水さんじゃあ仕方がない”とみんな許していたのは
彼の内部にある、何とも言えない品のいい飄々ぶりというか、
まあ人間性だったのだろう。モノカキとして多大な恩も受けている。
個人的な思い出に関しては今は頭が混乱して、何も書けない。

とはいえ、旅の空では如何ともしがたし。後事をひえださんに
お願いして、万端、帰京してからのこととする。
一旦荷物を私の投宿する東横インに置き、すすきのまで。
この地下鉄までの地下道が長く、たっぷりひと駅分くらい歩かされた。
途中で、駅前の西武が9月で閉店、という告示を見て驚く。
以前の五番館である。
ここが閉店とは。
子供の頃、デパートと言えば五番館だった。
レンガ造りの特長ある外観と、当時の地方百貨店としては抜群に
モダンな吹き抜けの一階店内。まだ夏になると入り口近辺に氷柱が
並んだ(冷房時代の前のデパートなどの恒例の光景だった)頃から
知っている。

小・中で親友だったK柳の父親もここに務めていた。
やがて中央資本の進出により、五番館SEIBUという店名となり、
ついに五番館の名もはずされて札幌西武になってしまった。
それでもわれわれにとってはずっと五番館デパートだったのだ。
西武の後、果たしてどこが入るのだろう。赤レンガ外観は残るの
だろうか。

老舗が無くなると言えば、待ち合わせをしているススキノロビンソンも
今やロビンソンでなく、ラフィラとかいう名前になっている。
ロビンソンの前は松坂屋であった。札幌の不景気はこういうところに
象徴されているな。

でんたるさんすでに待っていて、ハッシーのタオル等をラフィラの
中の百円ショップで買って、お勧めの寿司屋『くどう』に行く。
カウンターで握ってもらいつつ、乾杯。
さすがにネタがよろしく、石がれい、シメサバ、北寄、まぐろと
いずれも絶品。なかんずく、イカの身を多少塩した肝と和えた一品は
最高だった。

それからそこを出て、ススキノのバー『Bird』なる店。
以前もお会いした歯列矯正病院のBさんとここで合流。
ここで50年もののカルバドスをご馳走になる。
50年たってまだ荒味がとれていない、若々しい味。
ハッシーとでんたるさんは札幌公演のことについていろいろ
細かい話を。
こっちはマスターお勧めの酒をいくつか試飲させてもらう。
ここは果物で酒を飲ませるというコンセプトでもあるらしく
(チーズも種類豊富だが)、マイクロトマト、佐藤錦、マンゴー、
イチジク、ブラッドオレンジジュースと次から次。
それに合わせてブランデーやシャンパン、さらにシードル、
ドイツの鉱泉水と、普通のバーでは飲めない(飲もうとも思いつかない)
ものを次々に手品のように出してくれた。
12時近くに店を出て、札幌ならやはりラーメンでしょう、と
お勧めの店へ(名前もう酔っていて忘れた)。
かなり腹は張っていたのでハーフにしてもらい、麺を完食したのみで
スープはさすがに残してしまった。

ホテルまでタクシーで。
志水さんのことを考えつつシャワー浴びて、
ベッドでしばし想いにふける。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa