裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

土曜日

真っ白な、ハイになる

そういうクスリあるんだけど、どう?

※診療 ショートムービーフェスティバル

夢日記。
工場跡にある古い木造の事務所でヒーローものの撮影をやっている。
私も出演していて、1階の受付みたいなところが役者控室代わり。
若手のコメディアンらしき男と一緒になるが、彼の茶髪の髪の髪形が
ユニークだな、と思ったらアンテナの形になっていて、これで
携帯がどこでもつながる、と自慢する。

朝7時半起床。シャワーのみ浴びて、8時、病院に行く。
その前にゴミを出したが、空気が“夏休みの朝”の匂い。
受付をすまし、番号が呼ばれるまで15分、診察室の前で
待つこと10分。本当に早いね、ここの病院は。

昨日検査を受けたときの体調があまりよくなかったので、
悪い結果が出るのではないか、と思って覚悟していたのだが
あに図らんや、どの数値も順調な回復を示している(前回に比べると
驚くほど、という感じではなくなっているが)。
なかんずくBNPは同一人物のものとは思えず。
とはいえ、健康体と言えるまでにはなっておらず、
クスリもホンのちょっと、服用量を増やされる。

朝食用に果物でも、とナチュラルローソン見たら売り切れ、
これはお見舞い客が日曜なのでみんな買って病室に持って行く
からだろうか。じゃあ、とエッグソーセージマフィンを買う。
ここのローソン、入院患者に必要なものの品揃えがさすがに充実
しているが、宝仙堂の強壮剤『凄十』が置いてあるのに笑う。
http://www.sugo10.jp/lineup/index.html
こんなののんだら看護婦さんの検診のたびにムラムラしてしまわないか?

向かいの薬局で調剤してもらい、帰宅。
エッグソーセージマフィン、美味である。
日記つけなど。仕事連絡は土曜なのであまりなし。
同人誌関係のやりとりをマドとする。
最初、文章データをEGWORDで送ったのだが、どうしても
これのネイティブデータを他のソフトで開けないとのこと。
すでにEGWORDは販売を終了しているソフトで、これを
開けられるソフトがないそうだ。
使い始めたのが5年くらい前で、非常に使い勝手が気に入って
販売終了の通知が届いた後も使っていたのだが、そろそろ買えどきか。
一般のテキストデータに変換して送る。

こちらはピーカンの真夏の天気なのに九州・中国地方の大雨のニュース、
痛まし。知り合いもどちらの地方にも多く、床上浸水した人もいるとやら。
お見舞申し上げます。

11時、昨日電話してきた雑誌からの本式のコメント依頼電話。
きちんと、と言うわけでもない(昨日ざっと記憶で答えたことが
調べてもその通りだった)が、ある程度向うにも満足する答えで
あったようでまず、よかった。

昼、母の室で茄子のカレー。目玉焼のせ。
エッグマフィンですでに卵を食べており、病院でダイエットに
ついての説明も受けたばかりだったので、カロリーのことを口にしたら
それを料理への苦情ととられてしまった。説明不足ですまないこと。
とはいえ、これをきっかけに母とさまざまなこと、2時間ほど語る。

部屋に戻り、データ整理など。
終えて4時、家を出て下北沢。
ルナティック映画祭。今日は『人生』と『ホラー・サスペンス』。
まず『人生』、
1・『湯気』(監督・耳井啓明)は、妻を亡くし、その遺影に語り
かけながら、娘を男手ひとつで育て上げてきた50歳の男の元に、娘が
結婚したい相手を連れてくるが……という人情コメディ。
2・『上空20cm』(監督・磯部鉄平)は、行き場のない男たちが、
謎の“福袋”に入っていた縄で縄跳びをすることで、奇妙な連帯感を
持っていく話。
3・『親指しゃぶり』(監督・米光秀之)父を亡くした小学生が、
そのときから指しゃぶりをやめられなくなり、母に包帯で手を縛られる。
だが、父との思い出のキャッチボールをするにはその包帯を……。
4・『兎と亀』(監督・清水イツタロー)主人公は自分に自信を無くし
引きこもりになってしまった女の子。唯一彼女の話し相手になって
くれている女性とも性格・生き方の違い喧嘩し、絶交状態になるが……。
5・『ふたりだけの同窓会』(監督・下倉功)高校・大学と親友だった
二人の男。方やプレイボーイ、方やお人よし。お人よしはプレイボーイ
の彼女だった女性と結婚するが彼女は娘を残して死に、やがて……。

他のジャンルに比べ、“映画らしい映画”を作ろうとしている作品が
多いように思う。それを自主制作作品のワクの中でどれだけ実現させ
得ているか、ということが評価対象になるだろう。なかなか採点が
難しいと思った。

T社のAくんも来て雑談。新婚旅行に行くというのでどこに、と訊くと
「スペインらしい」
という頼りない答え。自分の新婚旅行で“らしい”はないだろう、と
笑うと、いや、完全に彼女まかせなもので、と。

『人生』の観客は6割程度で、それでもまあ、こんなものかと思って
いあたのだが、次の『ホラー/サスペンス』には、お客がどんどん
入ってきて、上映が開始される時間にはほぼ、満席に近くなる。

『ホラー/サスペンス』はさすがに個性派揃い。スタイリッシュに
決めるもの、冗談ギャグで通すもの……。
1・『ZZZ』(監督・高橋コウジ)同居していた親友が突然の失踪を
遂げた主人公の部屋に、突如やくざ風の男が押し入り、主人公を監禁する。
どうも親友は今、犯罪組織に関わっているらしい。主人公はある決意を。
2・『牛乳王子』(監督・内藤瑛亮)片思いの女子生徒のブルマーで
オナニーしていたところを見られ、笑いものにされて自殺した高校生の
怨念が生んだ殺人鬼が女子に復讐を。グロと笑いの大暴走作品。
3・『偶然の惨髪』(監督・塩出太志)以前強盗を捕らえ一躍街の有名人
になった散髪屋の親父、その嫉妬深い妻、散髪屋を取材する散髪新聞の
女性記者、気の弱いチンピラ、そして店に逃げ込んできた殺人鬼。さて?
4・『公衆電話』(監督・曽我祐介)以前殺人があった場所の公衆電話。
携帯の電源が切れ、夜中に仕方なくそこで電話をかけなくてはいけなく
なった主人公の見たものは? ……今回の参加作品中最も正統なホラー。
5・『REQUIEM』(監督・天野義之)子供を殺された中年夫婦。妻は
それをきっかけに正気を失う。じっと耐えていく男の意識は、やがて
犯人への復讐に向かう。それは狂気なのか、子供への鎮魂歌なのか。
6・『妄』(監督・新井貴淑)平凡な営業マンの主人公。ちょっとした
ことで心の隅に抱く殺意。だが、いつしかその殺意は現実とシンクロして
いき、どこまでが現実でどこまでが妄想か、わからなくなる……。

これは私の個人的感想だが、映画で、その作品のイメージをリッチな
ものにするかプアなものになってしまうかの境目に必要なかなり大事な
要素に、出演する役者の顔、があると思う。役者の顔が、その作品を
背負えるだけのものかどうかで、映画の重みが違ってくる。
今回、それで得をした作品と、損をした作品が別れているように思う。

上映中もどんどんお客が(最終上映作品のときまで)途切れずに入って
きて、補助椅子をぎりぎりまで出す状況になった。
予約であれば大体の入場者数の予測はつくわけで、飛び込みが多かった
ということだろう。そのように自主映画に興味を持ち、ふらりと
入って見てみようと思うお客が多かったということは意外であり、
嬉しくもある。明日はもう、前売だけで完全満席とのこと。

オオゼキで買い物して帰宅。釜揚げサクラエビと塩ラッキョウ、それに
即席の豚角煮でマッコリサワー1パイ、それと黒ホッピー2ハイ。
筑摩書房『命題コレクション 社会学』など引っ張り出して読みつつ
1時半就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa