裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

21日

火曜日

リビドー不覚悟

「立つべき時に立たぬとは!」

※『ひるおび!』コメント収録 ショートムービーフェスティバル開幕

3時ころの夢。巨大なドームの中央に組まれた、階段式ピラミッド。
その頂点にケージに囲まれたリングが特設され、その中で、
小人レスラーやコスプレーヤー、ドラァグクイーン、障害者レスラー
などがくんずほぐれつ、バトルロイヤルで戦う。
私は選手の一人と知りあいで控室に陣中見舞にいくが、自分も
出たくなり、レスラーとしては出られないがちょうど彩りの派手な
服を着ているので、悪徳マネージャーに扮すればいいのではないかと
思い、知り合いの後をついてリングに上がるが、リング内での
戦いの熾烈なこと(尻に火をつけられたりしている)に怖じ気づき、
隅っこの方にしかいられず、“オレはダメだなあ”と思う。

夢を克明に見て、しかも記憶に明確に残っているということは
脳は覚醒しているのだろう。しかし、朝方は肉体が完全に眠っている。
チベットに行ったときと、心不全で入院したときの朝の苦しさが
まったく相似形で、ドクターに言ったらその通りだと言われたが
肉体を覚醒させるためにはかなり酸素を取り込み、神経系を賦活させ
なくてはいけない。ベッドから起き上がるときは、メシ食ったら
すぐまた寝ようと思いつつ起き上がるのに、朝食を摂って胃腸が
動き出し、トイレに入って出てくると、もう眠くも何ともないのは、
体を動かした刺激で肉体がやっと目覚めたためである。
朝の酸素取り込みだけで肉体が覚醒しないのは、やはり心臓がまだ
十全に働いていないのだろう。

などというよしなしごとを思いつつ、30分寝坊する。
10時朝食。フルーツトマト、バナナ2/3本。
どんよりした空模様で、こら明日の皆既日食もダメだわと
思いつつ部屋に帰ったら皮肉なことに、TBSから皆既日食トリビア
のお仕事、本決まりの電話。今日、TBSに来てくださいとのこと。

間の悪いことに、今日の昼、今夜からのムービーフェスティバル用の
DVDを受け渡さなくてはならない。じゃあ帰りのタクシーを
下北沢に回すから、そこで直接ということにする。

K社Nさんからもメール、新企画の打ち合わせだとか。まだ詳細は
わからず。二見Yさんからもメール。早めの夏休みを取るとのことで
打ち合わせは来週。
いつもお中元をくださる地方のファンの方から電話、渋谷の旧住所に
送ってしまったとのこと。暑中見舞でお知らせしようと思っていて
タッチの差で間に合わなかった。

12時、タクシー拾って(局の指示)TBS。
ベテランらしい運転手さんだったがやたら遠回りな道を通っていき、
少しイラつく。結局15分遅れ。そのおかげで着いたらすぐ収録、
でワタワタし、タクシー代支払ってもらうのを忘れた。
久しぶりにTBS内に入り、カメラの前に座らせられてすぐ話せと
言われる。テレビというもののあわただしさ。
30分ほどいろいろしゃべるが、自分的には60点、
満足のいくものではなし。少しクサリ。
向うは喜んでいたようだが。

帰りのタクシーで下北沢に回ってもらう。今日は肌寒いが、
淡島通りを通過する際、今年初めてのセミの声を聞いた。
会場作りしている劇団のスタッフにDVDを渡す。
そこから新中野へ。

2時半、遅い昼食。鶏そぼろ、卵、高菜漬け(?)の三色丼。
母の味付けは卵などかなり甘いがこれが江戸前で、甘いものが
ご馳走だった名残なのである(歌舞伎座前の辨松や日乃出の弁当の
煮物などの甘いこと)。健康を考えればもう少し薄味に、と注文つけたい
ところだが、昔風の味を今のうちに記憶の中に少しでも
染み込ませておきたい。

あっちこっちに連絡。
日記つけなど。
5時過ぎ、再び下北沢に戻る。
ショートムービーフェスティバル。今日は開幕日で、出品した
監督さんたちが勢ぞろい。ハッシーが挨拶するが、演劇祭や演芸祭の
ときとは反応が違い、ちょっととまどっている感じなのが面白い。
やはり、生で人前に出るのが仕事の人と、作品を見て貰えば……
という人とは人種が違うか。山口A二郎さんや中野貴雄さんなど
私の知りあいの監督たちはあれは特殊な人たちなのである。

今朝まで韓国にいたという清水崇監督もちょっと遅れて到着。
楽屋で少し話す。この時期なら暇だろうと踏んで審査委員引き受けたの
だが、あにはからんや一番忙しくなってしまった、と。

やがて上映開始。今日は“ドラマ部門”ということで
飯塚茂監督『LIFE WARP』、
反町ソラ監督『ティーンエイジ・キックス・キャント・ダイ』
前田直樹監督『HYPO』
山口A二郎監督『Pマン』、
渡辺一樹監督『火星のマーズ』
仁志原了監督『蹉跌』
の計7本を上映。10分から30分まで、長さもテーマも
それぞれだが、感想から言うと、
「思った以上に面白かった!」
である。自主映画にありがちなショボさに耐えることを
ある程度覚悟して見にかかり、実際、DVDでざっとセレクションの
際に見てそう感じた作品もあるのだが、小なりとはいえスクリーン
で見るとイメージがやはり違う(逆に言うと、DVD映像というのは
よほどそこらへん気をつけて撮らないとダメということ)。
完成度はそこらの映画館でかかっている映画に劣らないものが
思った以上にあった。

審査員の立場として期間中はあまり具体的な評価を書けないのが
もどかしいが、志がよかったもの1本、カメラワークなどの完成度と
自主映画にのみ許される投げっぱなしな作りの取り合わせが
面白いもの1本、キャラクターの描き方が新鮮なもの1本、
役者の演技が最高なもの1本。この1本はハッシーやテリーが
身につまされるような内容で、上映中ゲラゲラ笑っていた。
清水監督と並んで見ていたのだが、世界のシミズ監督、
「うーん、もし暇だったらボクも1本撮って参加したかったなあ」
とつぶやく。よほど映像製作が好きなんだなあと驚いた。
とにかく映像好きな皆さんであれば、来て見てソンはないと思う。
http://www.tobunken.com/news/news20090701190811.html
↑プログラムはこちらで確認を!

終ったあと、スタッフと近くの沖縄居酒屋で一杯。
みんなちょっと疲れ気味である。
泡盛久しぶりにロックで二杯。
帰宅してまた真露黒ホッピーで割って飲んでしまう。
飲み過ぎ注意報。
2時、就寝。

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