裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

28日

金曜日

イージス半損

 わが海軍の所有するイージス艦は先の会戦において敵潜水艦の魚雷攻撃を受け半損せり、と、青い目の女性がヘンな関西なまりでアムネスティに報告。ゆうべ3時ころ目が覚めてしまい、寝直すことが出来ぬまま、4時半まで読書、それから少しウトウトして、6時ころまた目が覚めて、55分までまた読書。眠くはないが、目がかなりショボショボする。入浴し、7時半ころベルで食堂に行き、朝食。スナックエンドウのサラダとパンプキンスープ。果物はスイカ。バグダッド近郊にて邦人2人が襲撃を 受けたとの報道。

 25万トンの食料援助を北朝鮮に約束した小泉サンだが、それはトウモロコシなどの穀類で行って、官僚たちに独占されやすいコメは渡さないとのこと。これが敵の要求をのんだフリをしてのおとぼけであれば、小泉君なかなかやるじゃないか、という感じである。それにしても、“日本のコメはおいしいから”と堂々と要求する北の鉄面皮も凄い。つくづく、金は(キンは、ではなくカネは、と読む)無い者の方が強い というのは本当である。
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/seiji/20040528/K0027201910020.html

 25分のバスにて通勤。ミリオン『カラサワ猟奇堂』、ダ・ヴィンチ『漫画についての怪談(アヤシイハナシ)』ゲラチェック。鶴岡から電話、バカばなしいろいろ。バカについての話ではなく、“人間、いかにバカになれるか”という話。話しながら純文学作品(に、なるのか?)の滞っていた構想がどんどん湧き出てきて、メモをとる。アンチ・ビルドゥングス・ロマンというやつか。いろいろアオられる。

 1時、どどいつ文庫伊藤氏と、ちんちん先生こと菊池氏来。このあいだのヴァニラ画廊の御礼などを述べておく。あの橘小夢の春画、ひとそろい100万円で英国の某春画コレクターから買い付けの話が来ているが、所有者(小夢の息子さん?)は、できれば国外には持ち出したくないと言っているらしい。誰か、100万円で日本文化の海外流出を食い止めてやろう、というようなお志のある人はいないものか。

 てな話をしていたら、西手新九郎でそのヴァニラ画廊の人から電話。パンフレットの件。驚いて、伊藤氏にも回す。他にFRIDAYのTくん、パイデザ平塚くんからも電話。菊池さんが“さすが売れっ子でお忙しいですねえ”と感心していたが、なに電話というのは何故か固まってくるもので、一本もかかってこない日もザラである。

 2時弁当。野菜炒めと鮭の焼きびたし。焼きびたしが非常に旨い。これとがんもどきで赤飯を食うともう、こたえられない(死んだ親父風に言うと“こたえされない”という感じ)。食べて血が胃袋に行くと、寝不足が祟って頭がボーッとしてくる。少しフトンに横になって寝る。何度も仕事の電話で起こされるので熟睡は出来ないが、 それでも1時間ほど横になって、元気は回復。

 クインシーサー小紅にこのあいだの打ち上げで頼まれた件に関し、ベギラマにメール、返ってきた返答を受けて小紅にメール。それから30日のうわの空ライブ(於銀座小劇場)で撒くチラシについての件で、おぐりゆかちゃんにメール。返事が来たのでまたメール。いろいろと忙しい。太田出版からの報告によれば、『トンデモ本の世界S/T』の二冊、まだ初日だけのPOSデータだが、かなり順調な動きを二冊とも示し、ひょっとしたら週明けにも増刷決定か……という話。めでたいことではあるが誤記・誤植などのナオシを急がないといかんということでもある。めでた忙し。朝日新聞『ピンホールコラム』より、数回問い合わせ。“(文章が)固い”を“堅い”にナオシ、あと、ドイツ語の単語をカタカナで書いたものに原語のスペルを併記したいから教えてほしいというもの。これはだいぶ前に辞書で引いたきりのものだったので 再度調べるのにかなり苦労した。

 FRIDAY用のネタ出し、向こうから来たお題がかなり一行知識にしにくいものだったので、“ネタは向こうからくれた方が楽”とは言ったものの、ちと苦戦。なんとか三ネタ三本づつ、出してみる。出してみるとなかなか面白く思える。K子にそのうちの二ネタを送信し、FRIDAY編集部にコラム、一本だけまず送信。ヘテからトンデモ本大賞のパンフ原稿を執筆、人名、プロフィール、投票方法などチェックし てパイデザに送信。そうこうしているうちに8時半を過ぎる。

 タクシーで帰宅。テレビのニュースを見るに、どうやら2邦人は絶望のようで、その家族の様子が報道されていた。“ジャーナリストを夫にした時点で、こういう事態は覚悟していました”と、妻が憔悴した表情ながら、ほほえみすら浮かべて語る姿にちょっと驚く。まことに失礼な感想だが、感動とかというより先に、異様、とすら感じてしまった。ついぞ、最近の日本では見かけない対応だったからである。戦場に人が出かけるということについて抱かねばならぬ覚悟(出かける者も、残る者も)を、いかにわれわれが忘却してきたか、ということだ。さて、それは措いてこの事件、この時期にこういうことが起きるというのは、要するに国連への主権委譲に反対する、つまりイラク情勢が安定してほしくないイスラム過激派たちの犯行であろう。アメリカが撤退してしまっては、自分たちの存在意義がないわけなのである。イラクにも、平和を望んでいない人々がいるということなのである。反戦・平和のお題目だけでは世の中は動いていない。

 夕食、9時。焼鶏に鶏肉入り湯豆腐、カブとキウリ(仙台あのつくんより)とワカメのスノモノ。湯豆腐が豆腐といい鶏肉といい安物材料ばかりなのに、実にしみじみとうまい。『アタックNO.1』のDVD。第11回『涙に映る夕陽』。絵がかなり荒れてきたのは、放映10回を超えて、開始前のストックが無くなってきたのであろう。まだ試合などの絵で使い回しが出来るほどは動画も溜まっていないだろうし。日本酒『剣菱』ロックで三杯。最後は鶏と昆布のダシがたっぷり出た湯豆腐の汁でお茶漬けを作り、海苔とネギとワサビをたっぷり入れて一杯、啜る。

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