裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

月曜日

太るマーメイド

 まあアリエル、そんなに太って!(ディズニーネタ第二弾。しかし出来としてはひどいシャレだな)。朝、淫夢ということになるのだろうか、生板ショーをかぶりつきで見る夢を。ただし、そこでムラムラしていたわけではなく、舞台上における祝祭とは、などと隣の席の客に一席ぶっていた。夢の話だからどうしようもないが、隣の客も迷惑していたのではあるまいか。

 7時起床、入浴洗顔歯磨如例。半に朝食、ベーコンキャベツ、ミニトマトサラダ。それとスイカ。食べながら新聞見る。チェチェン大統領暗殺。戦争とか紛争とかいうものが、単に利権を争う時代なら、同じ戦うにしろもっとスッキリしたのだろうが、現代においては、それは全て裏の事情として覆い隠され、国、宗教、民族といったアイデンティティ(帰属意識)が基盤に置かれているところに、問題の複雑さがある。くわしくは今書き下ろしている本で述べるが、今の世界で噴出している問題の、全てとは言わないがほぼ8割以上は、一部の人間がお題目のように唱えているグローバリゼーションに対する本能的なアイデンティティの危機感が全てを生み出している要因 ではないか、というのが私の見るところ。

 今日は三菱銀行に行き、積み立て定期を解約。駅前まで雨の中を歩くのだから、約20分はかかるなと踏んでいたのが、杉山公園のところで中野駅行きのバスが来たので飛び乗る。助かったが、早くつき過ぎた。喫茶店に入ってコーヒー飲み、家でとっていない各新聞(日経とか毎日とか)に眼を通す。学生時代も、雨の日は講義に出るのがタルくて、サボってこうやって喫茶店で無為な時間を過ごした。あの、ほんの少しの罪悪感を代償とした、怠惰な快楽というのは何だったんだろう。今でも懐かしく 思い出す。それが不思議に雨の光景ばかりなのだが。

 9時、開いた銀行に一番で飛び込み、定期解約。まだ中野の新住所はすんなりとは出てこない。マンション名を入れるか入れないかで書き直しさせられるが、それ以外は無事、終わる。出たら、ほとんど目の前に渋谷行きのバスが止まったので、それに飛び乗る。雨で道が混んでいる。あと、やたら救急車が行き交っていた。気圧の乱れによる体の不調さえなければ(あるいは二、三日の不調でも何でもない経済基盤があ れば)、雨の日の情景というのは好きなのだがな。

 10時仕事場着。メール等チェック。ドリー尾崎さんから久しぶりに電話。また、ガチンコ兄弟トークをロフトあたりで再開したい、という話。で、、それにあたっての協力を要請される。もちろん、それは惜しまないつもり。“少し自分たちのトークのスキルを上げようと思いまして”というが、私も最近はトークのキレが落ちてきた ことを自分で嘆くことしきりなので、サビ落としにいいかも知れない。

 某所に某件で電話など。仕事関係はおおむね快調なのだが、歯車がうまく回りはじめない、という不満もいろいろ。不安というのとはちょっと違うが、人生後半の立ち位置とかについて、思いを馳せることもいろいろ。雨のせいだな、こういう気分にな るのは。弁当、鶏唐揚げの甘煮。

 ダ・ヴィンチ原稿をやっと書き出す。一度書いた原稿用紙5枚ほどのものは全て破棄して、新たに書き出し、どどどどっと15枚を一気に書き上げる。その間に、もちろん雑用はいろいろ。二見書房Fくんから、打ち合わせの日取り決めの電話、また原稿の中の、ちょっとした事実関係(本の発行年代など)を確かめようとネットで検索 して、そのサイトを読みふけってしまったりすることも多々。

 7時45分、原稿15枚書き上げてメール。まだ時間が半チクなので、以前から頼まれていた、快楽亭のCDの推薦文も書いて、FAXする。ニュースサイトを見たらファイル共有ソフトを開発した東京大大学院情報理工学系研究科助手(長いな)が逮捕、という記事。前からネットで話題になっていた“47”氏である。これに関して の論評は次回の『社会派くん』の中でやるつもり。

 8時14分の幡ヶ谷経由中野行きバスに乗る、つもりが、遅れてきた中野坂上経由の中野行きに乗ってしまう(これだと中野駅に直行してしまう)。あわててNHK前で降り、そこから改めて幡ヶ谷経由のに乗って帰宅。9時10分、夕食。今日は一人用釜でアブラゲ入りのカシワ飯を炊く。あと、ゲソ入り掻き揚げ、北京ダックの残りちょっと。DVDで『アタックNO.1』第7話『四天王との出会い』。しかし、出会う強いライバルがみんな天狗もいいところの高慢な連中ばかりで、“スポーツが人格を磨く”という考えとは正反対である。声優の中に愛川欽也という名があったのに驚く。聞いていて全然わからなかった。四天王グループのコーチの先生役か?

 11時過ぎ、メールチェック。ダ・ヴィンチSくんから、いただいた原稿の中に、“ホラーとして”という文章がいくつかあるが、掲載誌が“怪談誌”を標榜したものなので、“怪談として”と直してくれないかという返事。それはいいが、“ホラー”と“怪談”ではニュアンスがかなり違うので、そこらでの手直しがかなり必要となるだろう。

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