30日
木曜日
緑便の天誌
まあ、天使のような赤ちゃんね。ちょっと抱かせて……キャー、手にうんちが! 朝、6時起き。『文学とは何か』読了。旧版が1983年、新版が96年。旧版の方の古色蒼然とした活字写植の字組みと新版のDTPとの差に時代を感じる。7時15分、起床。朝食、蒸かしイモとスープ。今朝はたっぷり時間をかけて蒸かしたので、 イモが甘い甘い。
メールチェックなど。“お誘いです・くみ”というメールが来ていたので、てっきり未承諾エロ広告かと思ったら久美沙織さんからであった。明日の『日本SF作家クラブ四十周年記念パーティ』のお誘い。どうも参加人数が少ないというので緊急動員がかかっているらしい。私のところにもそう言えば案内状が来ていたのだが、その日はくすぐリングスがあるので無視していた。誰か興味のある人に回してください、というので、と学会MLに流しておく。その他、スポーツ紙からと学会HP経由で仕事 の依頼一件。
快楽亭から電話。12月14日に両国亭をとって、本所で赤穂浪士の会をやるから出演をお願いしますとのこと。すっかり快楽亭事務所の所属芸人である。ちょうど、SFマガジンの連載企画のことで笹公人さんからメールが来ていたので、一緒に出演して、赤穂浪士短歌でもやりませんか? と誘ったら、是非にということだったので いろいろ構成とかを考える。
好天気であるが体調ははかばかしくない。と学会の会誌の原稿をひねくるが、どうも書き出しがうまくまとまらず、何度か挫折。ゆまに書房からカラサワ・コレクション『人食いバラ』『愛の讃歌』『紅ばらの夢』の三冊の見本が届いた。表紙はいずれも当時のものをデジタル処理で修正して使っているのだが、どれもすでに原本はボロボロになっている。こうして新刊として甦ったものを手にするのは奇妙な感覚。解説に目を通して感動する。いや、自分が書いた文章で感動するほどナルシスティックではないが、改めて、あの時代に書かれた少女小説の、それからの悲運を思い、最初にこれらを神田で買い集めていた当時の、“いつか、これらの作品にまた陽の目を当ててやらなくては”という思いが結実したことに、ちょっと感無量といった気になった のである。
昼は北海道のジンギスカンのタレ屋(何か他に呼称がないかと思うが、自社のホームページにも“たれ屋”とある)、ソラチから通販で買った“ギョウジャニンニク入りタレ”でゆで豚を作って食べる。豚の薄切りバラ肉を、ネギ、キャベツと一緒に水煮して、水気を切って皿に盛り、上からこのタレをかけるだけ。ご飯のおかずになかなか結構な一品となる。肉にあうのは当然として、ネギとの相性が抜群。アイヌネギとも言うくらいだから当然か。お好み焼きにも、ソースの代わりに使えばひと味違っ たものになるのではないかと思う。今度ココロミてみよう。
http://www.sorachi.net/
午後になってもテンションあがらず。昨日サボってしまったので、調子が狂ったかと思う。仕事は毎日やらないといけないもの。たまったビデオ等消化するが、心がイラついて困る。明日、ちくま書房と打ち合わせなので、とりあえず『トンデモ一行知 識の逆襲』のゲラチェックをやっつける。 本日、某企画につき小椋事務所で打ち合わせ予定があったが、多忙で用意する資料等を充実させるのが困難であったので、連絡してキャンセルしてもらう。向こうも新作製作に入って忙しいらしく、打ち合わせはいっそ来年に延ばしましょう、と言ってきた。別に急ぐ仕事ではないので、そういうことにする。年末にかけて、ちょっと企 画を練り上げよう。
7時半、渋谷駅前でK子、角川S山さんと待ち合わせ。東横線で相模大野まで。車中でS山さんと『キル・ビル』の話。多くの観た人のサイトに、“オシャレな奴らにはこの映画、観てほしくない!”と書かれている由。これまでスカした映画ばかり褒めていた奴らがいきなりこういう作品を褒めだして大きな顔をすることに、これまで白い目で見られながらずっとB級映画を観続け、愛し、語り続けていたファンたちはそりゃ、怒るだろう。
駅でと学会I矢さん、虎の子夫妻と待ち合わせ。例によってみんなで『おれんち』へ。われわれが入って満席。虎の子のトラオさん、表通りのひと気のなさとの対比に驚いていた。ベルギービールで乾杯の後、燻製盛り合わせ、地鶏炙り焼き、白子の生海苔揚げ、それから刺し盛り。刺し盛り、今日は石鯛、カワハギ、オコゼ、〆さば、メジナ、それからカツオのたたき。カワハギのとも和えがまったく生臭さがなくて実にコクがあって結構。あと、オコゼのキモも味わえた。ハタのしゃぶしゃぶ、カラスミチャーハンなど、今日も大ご馳走だったが、焼酎(魔王があるのを見て虎の子夫妻目の色を変えるが、注文したらおれんちのお母さんが、シマッタ、あと一本だけ残っていたものなのに、と言って、惜しそうに出してくれた)をロックでガブガブとやって、体調のせいかもう、やたらに回り、最後はべろんべろんで、よく味を覚えていない。残念。食い終わって中目黒まで出て、そこからキミさんとK子はさらにそこのすし好に行くという。呆れて一人だけタクシーで帰り、わけわからなくなって沈没。