19日
日曜日
悔やみ三回、縷々惨状
なぜあんな事故が起きたかと思うと、悔やんでも悔やんでも悔やんでも……と彼は縷々、その惨状を語った。朝、と学会の例会の二次会でなんだか楽しげに語っている夢。どうせならもう少し現実には体験できないような、ドラマティックな夢を見たいものである。6時ころ目が覚める。昨日買った洋書のうち『アトミック・カクテル』を寝床で読む。看板に偽りありの案外まともなカクテルレシピで、アトミック・カクテル系のものは6種類しか紹介されていないが、“ロケット・マン”“ムーンショット”“レイ・ガン”“アプリコット・フィージョン”“コニャック・ズーム”などというソソる名前がならぶ。中でもスゴイのが、“アングリー・レッド・プラネット”で、SFマニアなら『巨大アメーバの惑星』と訳するところだが、あの映画とは関係なくて、とはいえ関係なくてもスゴくて、説明書きに曰く
「ブラッディ・マリーとゴジラが火星で出会ったような燃えるカクテルはアジアン・ヒートを炸裂させる!」
とのこと。要するに日本風カクテルなのだ。レシピ、以下の如し。
1.ハイボール・グラスの縁に塩を塗り、そのグラスを冷凍庫で冷やす。
2.すりおろした生姜、ワサビ、ニンニク、ショウユ、レモンジュース、挽いた胡椒をボウルの中でペースト状になるまでかき混ぜる。ウォトカを加え、大きなミキシング・グラスの中にこれを入れ、さらにトマトジュースとライムジュースを加える。
3.冷たくなったグラスに氷をいっぱいに入れ、2を注ぐ。
4.グラスにライムの一片を浮かべ、出来ればステア用にハシを添えて出す。
……“燃える”ことは確かだろうが。
7時20分起床、起きだして朝食作り、寒いのでリビングダイニングに暖房を入れる。作りながら『アバレンジャー』、電磁波を飛ばして木星を地球に引き寄せてしまうというギガノイド“ジュピター”登場。このデザインはなかなか大胆でよろしい。大赤斑を“目”にするというのはアイデア。それに比べると、宇宙研究所内部のセットは、テレビ局内であろう建物の部屋にちょこちょこと計器類やパソコンを並べただけで、人類滅亡の運命の情報を最初に受け止める場所としての重みがなく、絵に説得力がない。木星がギガノイドの声に反応し、いきなり軌道をはずれて地球にぶつかるという荒唐無稽な設定なのだから、せめて絵にはどっしりした重みが欲しい。……ところでこの所長役の人、どこかで見た顔だと思っていたが、セリフをしゃべったとたんにわかった。爆竜の声で出演している銀河万丈ではないか。調べたら、他の研究所員たちもみんな、爆竜役の声優さんたちの特出なのであった。こういうお遊びは楽しくて結構。『マグマ大使』でもゴア役の大平透が科学者役で白衣を着て特出したことがあったが、声にカリスマ性のある声優さんは、何かSF的設定を視聴者に納得させ る科学者役に向いているのだろう。
http://www.toei.co.jp/tv/abaren/zukan/34.shtml
朝食はサツマイモ、黄ニラのスープ。食後、メールチェック。社会派くん対談日程の件、それから明日のフジテレビでの打ち合わせ、向こうの会議の関係上時間変更。気楽院さんから贈っていただいた『クリスマスおもしろ事典』、竹内真さんから恵贈の『粗忽拳銃』、いろいろ読まなければならないものもたまる。牛乳などが切れたので、紀ノ国屋に行き、買い物。メシは日曜なので、家に帰ってからパックのご飯で、上にコロッケと千切りキャベツを乗せ、おたふくソースをかけたコロッケ丼。
2時、美容室“トゥルーサウス”。先日モデルハンティング中にばったり出会ったS先生にやってもらう。『キルビル』の話など。そう言えばこれ、試写の案内状がとうとう来なかったな。まあ、映画評の仕事が現在ないんで仕方がない。この雑用繁多な現状では映画というものは仕事がらみでないと、つい、観に行きそびれてしまうので、どこかで映画コラムでもやりたいものである。K書房で映画評本を出そうという企画(もう通っているのだがスケジュール未定)があるので、出たらそれを持って営 業にでも回るか。
この店、渋谷ではまず一等におしゃれなヘアサロンであろう(入っているビルはみすぼらしいが)。それでも見渡すと、客の方がスタッフより平均年齢で10歳は上。とはいえ、女性客にはかなりの年配もいるが、男性では私が最年長だと思う。改めて鏡の中で自分の顔を見ると、若い人(客・スタッフ含め)たちより、一・三倍はでかい。今の人たちというのは、どうしてこう顔が小さいのか。これでも小・中学校の頃はクラスでも小顔の方で通してきた。いかに当時の日本人の顔がデカかったか、ということである。
帰途、HMVに立ち寄り、モノマガ企画ページに使うアニメDVDのうち、未所持のもののデータチェック。これを機会にLDで持っているものでも買うか、と思うのだが、いまいち手が伸びない。LD−BOXというの、当時は案外大きい買い物だっ たのである。見られなくなった、というならまだしも……。
帰宅、サンマーク出版原稿やり出す。60wから400wと長短はあるが、100本近い一行知識に、それぞれ補足情報、コメント、派生ネタなどを書き込まねばならない。案外面倒な作業。とはいえ、ネットや書庫の本などを徹底利用してガリガリと書き進めていくうちに、脳内に無用雑学アドレナリンのようなものが分泌されて、なかなかの快感である。20本ほど書き上げて、まずは第一段のメール。
8時、新宿に出て伊勢丹内『天一』でK子と夕食。メゴチ、イカ、アナゴ、小柱、かきあげなど食べる。明日は早起きして仕事の予定なので、酒も控えめ、食事も控えめに。帰宅してネットをのぞいたら、日曜なのにサンマークTさんから“受け取りました”の返事。内容の充実度に関しては凄い、と褒めてくれている。