25日
火曜日
私ごときにクモ学会の会長など、トタテグモトタテグモ……
なりゆきでクモ系駄洒落三連発。朝、知人に仕事をねだる夢を見た。最近、自分が落ちぶれたときのことをよく想う。体調が気分に関係しているらしい。とはいえ、フリーランスとして、常に自分が落ちぶれたときの見苦しくないカタチというものは想定しておかないといけないのではないか。武士が死ぬことを常に想うのと同じ覚悟である。朝食、いつものとおりオーガニックにトウモロコシとサツマイモ、クレソン半把。黄ニラのスープ。果物はサクランボ。メールチェック。と学会関連のML、イベントのお誘いなどやたら来ている。少年愛インタビューの谷口氏からこないだの私の話のテープ起こしが届いているが、二回連続文字バケ。
今回のW杯、フェアプレー賞で日本はベルギー、スウェーデンに続き3位(中間発表)だとか。韓国は最下位だそうである。飯島愛にまで言われるくらいだから当然だが、しかしあの国は屁とも思うまい。国威をかけた試合で大事なのは勝つことであって、そのためには審判を買収することだの相手国選手の宿泊所近辺で夜通し騒いで彼らを睡眠不足にすることだの、ヤジを飛ばして試合中の選手を威嚇することだの、みな兵法のうちである。三国志だとか戦国策だとかを読めば常識の範疇だろう。そういう努力を積み重ねたからこそ、前回は予選落ちしたような国がいきなり4強にまで勝ち残れたのである。開催国の地の利すら活用できない日本の方が情けないのだ。まあしかし、飯島愛ごときの言で怒る韓国のマスコミもどうしようもない。彼女だって、AV時代の業界での評判は今回のW杯の韓国なみなんだから、気にするこたァまア、ないやねエ。
午前中、ずっと同人誌関係お仕事。電話、テレビ東京系番組の制作プロダクションからの出演依頼。明治から大正にかけての漱石・龍之介などの書いた怪奇小説について何か語れという内容らし。たぶん『B級裏モノ探偵団』の『漱石とオカルト』あたりを読んでの依頼だろう。とりあえず打ち合わせを約す。筑摩書房からはちくま文庫で『お父さんの好色広告博覧会』、12月予定で刊行決定の報せ。12月は文庫ラッシュになるが、平積み台で目立つことになっていいと思う。
昼はレトルトの麦飯を温めて、明太子と長野のニンニクミソで立ったまま飯をかきこむ。あと、白菜の味噌汁。平塚くんに電話などし、入稿期日などについて無理をきいてもらう。申し訳なし。1時ころ、飯面雅子さんから久しぶりに電話。いま、渋谷のアニメーションスクール(代アニか?)で講師をやっているらしい。子育てから手が離れたので、またいろいろ活動もしたいと言う話。宮沢さんの件では、彼女のところにまで警察が行ったとのこと。こないだ街に出たらチェブラーシカのファンシーなシールブックなどが売っていて、“なんで? みんなそんなにカチャーノフのアニメとか、見てるの?”と混乱したそうな。いやあ、もうわれわれの世代はかえってアートアニメに関しては浦島太郎状態のところがあるよ、と話す。亭主はヤマト世代なので、私の東中野のヤマトトーク行くかもしれない、とのこと。何にせよ、アニドウ時代を知る人は貴重なので、今度ささきはてるさんなどに引き合わせ、今度の本の参考にいろいろ当時のアニメ周辺状況の話をインタビューさせてもらいたい旨を話す。
なんとか原稿一章ぶん、送るが体力が極端に低下。全身倦怠に襲われる。横になるともう、起きあがれない感じである。それでも必死に気力をふりしぼり、4時、時間割にて村崎百郎さんとの鬼畜対談。もう、話題はサッカー一色。その中でナンシー関死亡の話に触れ、“この時期は誰か死ぬんだよ。青山が死んだのも去年の今頃だったし。来年は誰かな?”と言っていた。
5時半まで語る。終わって、青山まで出て、夕食の材料を買う。7時、とても仕事の出来る体調になく、新宿でマッサージ。本格的に整体してもらう。腰に来ているので、座りっぱなしに体が耐えられないのだろう。尾てい骨あたり中心に一時間やってもらい、終わったときには本当に体が軽くなっていた。気分なのか何か知らないが、私のように血行の悪い者にとり、マッサージは仕事を続ける上で必要不可欠らしい。
9時半、帰宅して夕食の準備にかかる。モヤシのジンギスカン風炒め、真鯛切り身の道明寺蒸し、わっぱ飯、それにK子がランチを食った船山から、米茄子の尻の部分をたくさんもらってきたので、シャケ缶をあけ、それを茄子と煮る。さすが上等の米茄子で、尻の部分も柔らかく、しゃれた煮物になった。ニュースでドイツが勝ったことのみ確認し(韓国は“ナチは帰れ”なんて旗まで振っていたらしい)、ビデオで斎藤寅次郎『初笑い寛永御前試合』(昭和28年)を見る。御前試合に対する江戸庶民の、日常生活を放り出した興奮の描写がW杯の日本や韓国の様子のパロディに、まあ見えないこともなくはない。メインのストーリーであるアチャコと森川信、堺駿二と清川虹子のお涙ばなしは退屈だが、ラストの御前試合に特出で登場する柳家金語楼や伴淳の珍芸が凄い。
伴淳はなんとジンギスカンに扮してあやしげな蒙古語と青龍刀使いを見せ、金語楼はつけ鼻で白野弁十郎になり、七語調でべらべらしゃべりながらのフェンシングを披露する。“エイ、刻(英国)限にあらわれて、試合にイタリーなに恐れん(ソ連)。腕の力やアメリケン、はむこう者はオランダの、ドイツこいつもデンマーク、討ち取ることもアルゼンチン、ニッポン白野の弁十郎ゥ”という名乗りがいい。ラストでアチャコと試合をする益田喜頓の子分、星十郎がインチキをすると、観客席からアチャコの恋人のお嬢様(光岡早苗)が小束を投げる。てっきり腕か何かに刺すんだと思ったら、見事に心臓に命中して死んでしまう。益田喜頓も斬り殺されて、待機していた“葬儀班”が出動しておしまい。コレハヒドイ、とK子と二人大笑い。