裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

15日

土曜日

小西六ビーム!

 マジンガーZはコニカの技術を結集して作られたロボットで……。朝、8時起床。胃が少々もたれる感じ。疲れか老化か。朝食、K子が新しく買ったおしゃれな蒸し器を使ってトウモロコシとサツマイモ。作るものは変わらず。コールドコンソメと佐藤錦。テレビ、どこもかしこもW杯日本勝利のニュースで沸き立っている中でよみうりテレビの『WAKE−UP!』だけは冒頭以外、きちんと政府関係のニュースを報じていた。

 鶴岡から電話。サッカーのこと、と学会本のこと、ウルトラマンのことなど。昨日の晩、新宿を歩いていて周囲がみんなフーリガンみたいな連中ばかりで、怖かったという。“フーリガンとか言うからみんなカッコよく思うんで、サッカー馬鹿、でいいと思うんですけどねえ”と。珍走団みたいなものか。あと、SF業界人にサッカー狂いが多いような気がしますが、というので、昔“SFサッカークラブご一行様”と旅館の歓迎板に書かれたころのトラウマがまだ抜けないのだろう、と答えておく。電話しながら日記書いていたので、タイトルのシャレを既出のものでやってしまった。後から気がついて、あわてて差し替える。

 昨日、ウルトラマンコスモスの主役逮捕で因果関係のことを書いた。まあ、あれは原因と結果という単純な関係の意味だったが、もう少し世の中には不可思議な因果もある。考えてみれば愛がテーマのウルトラマンを初めて作って、その主役が恐喝暴行事件で逮捕されたというのも皮肉な因果である。急死したナンシー関のサイトの、本 人の最後の書き込みが
「誰か死ぬか?」
 だったのも因果々々。こういう西手新九郎的暗号を、ジャン・コクトーは『阿片』の中で“多少調子の狂った秩序による不可思議”と書いていて、超自然現象とはみなしていない。あくまでも世界の秩序、ただし少しく調子のおかしくなった世界のソレなのである。

『文藝』の対談、8ページと聞いていたら10ページもあり、私の話している部分のみ抜き書きしても相当な仕事量となる。昼はネギを甘辛く炒めて生卵と一緒にご飯にかけてかき込んですまし、そのまま続けるが、結局半分くらいしか出来ないところで予約の時間になり、足裏マッサージへ。最近、座りっぱなしで足がむくんでいるのでリフレクソロジーを頼んでいたのである。中途半端で行きたくなかったが、梅雨の湿気で体がグズグズなので、明日のことも考えて出かける。

 サウナに入ったが汗はそれほどでなし。と、思ったら出てからが汗、汗、汗であった。休息室で休みながらBBCの科学番組を見る。今回のテーマは死。なんと末期がんの患者の家に24時間はりついて撮影し、彼の死の瞬間をカメラにおさめている。向こうの人間はやることが違う。本人も、もうモルヒネを大量投与しているので、苦しみは感じてないらしい。いささかハイになって、“人間はネ、死んだら終わりですヨ。もう、何も残らない。無になるんです。聖書にあるように、塵から生まれて塵に帰る。一握りの塵ですヨ”などとしゃべっている。親類の女の子がやってきて花束を渡す。親がその子に本人の前で“バートおじさんはね、もうすぐ死ぬんだよ。でも、よく頑張ったねえ”などと話している。イギリス人がドライなのか、日本人がウェットすぎるのか。

 足裏マッサージ、時間を向こうがミスして予定の半分の時間となる。それでも、オイルを塗ってかなり丁寧に揉みほぐしてくれた。左足の裏の真ん中あたりに、腫れたように痛むところあり。“ここになにかありますね”と怪しげなことを言うが教えてくれず。左足の甲は押した指の形がはっきり残るほど水気が来ている。もっともこれは母親からの遺伝である。

 出て、時間があるので喫茶店に入り、同人誌用の資料整理をする。それを終えて伊勢丹会館でK子と待ち合わせ。三笠会館で夕食。汗がどっと吹き出てきて、シャワーを浴びたようである。髪の毛がぐっしょりになるので帽子かぶったまま。舌平目が旬だそうで、その唐揚げポテト添えというやつを食う。なんのことはない、フィッシュ&チップスの高級版であある。それにしても、白身魚とポテトは合う。この組み合わせを最初に発明した人間は小躍りしたことであろう。あと、プラチナポークとかいう塩豚のリゾット。いろんなうわさ話でチリワイン一本あける。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa