23日
日曜日
色ボケ蜘蛛の会
ヘンリー、僕があのとき、彼女といかに濃密な一夜を過ごしたかを聞かせてやりたいもんだね。朝8時起床。6時に目を覚ましてトイレに立った時はもう猛烈な二日酔いで、これは起きられないかも知れぬ、と思っていたのだが、7時代にはほとんど回復、用心にもう一時間寝たあとではかけらも残らず。肝臓が朝7時納期で働いているかのよう。朝食、トウモロコシにサツマイモ、例によりふかして。胸焼け予防に塩をきかせたネギスープ。クレソンもちょっと。ワイドショーで岡山県の医師夫人失踪事件の容疑者の女の手配写真が出る。“どこかで見た顔だなあ”と言うと、K子が即座に“××××!”と知人の女性の名を言う。そのとたん、ピントのぼけていた映像が急にクッキリしたようにイメージがその女性の顔に集約され、これが確かにソックリに見えてくるのである。女の直感というのはこれかな、と思う。全体をおおまかにつかんだもので判断を一気に下すのであろう。男はつい、目元がどうの、口のあたりがこうのと細部にこだわるあまり、なかなか結論に達せない。
朝から同人誌原稿の切り貼り。なかなか進まぬのにイラつく。母から電話、小野伯父のこと。私の裏切り(と、彼は思っている)がよほど腹に据えかねているのか、私の悪口ばかり言いまくっているとか。その内容は当然のことながら事実無根のことばかりなのだが、それが母の口から私に伝わり、私もまたその関連のことの事実を母に話すであろう、ということが読めてないのが不思議である。ともあれ、身内の、しかも一時はその下についていた者のどうしようもなさを耳にして、どっと気分が落ち込む。一日中不愉快である。
12時までにカット指定をK子に渡す予定が延びて1時になる。なんとか渡したが体力がガクンと落ちる。新宿に出て、万世でコク腓骨というのを食べるが、コクをコクと感じ取れない。疲れの証拠だろう。雑用すませて帰宅して、同人誌原稿。ネタ元のサイトがなかなか接続障害でなかなか見られず、ちとイラつく。これも神経の乱れだなあ、と思う。
何とかつながり、5時ころまでかかって、一章ぶんの原稿を書く。何回かモニターを見てオチそうになり、本を片手に寝転がったら、そのままスーッと引き込まれるように寝てしまい、目が覚めたら6時。コレハイカン、とマッサージに行く。体にカツを入れないといけない。M藤さんという女性マッサージ師さん、祖母の代からのこの稼業なのだそうだが、腰を触っただけで、うわっと驚かれる。どうしたんですか、これはちょっと時間かかるので、20分延長していいですか、と言われ、さてそんなにひどくなる覚えはないがと思い、揉まれるが、確かにこれまでそんなところには何もなかった筈の腰のあちこちにコブのような腫れが出来ており、触られるとしびれるように痛む。ふと、これは大阪で転んだせいではないか、と思った。“それはありますねえ”とのこと。無理にネジれた体(主に腰)で仕事していたのが体に負担をかけていたという。老人が、昨日まで元気だったのが転んだ拍子にガタが来て寝込んでしまい、そのまま寝たきり、ボケと進むことがよくあるが、あれは転んで体に腫れが出来て、血行などに一度に障害が起きるからではないか、などと考える。
結局1時間半たっぷり揉まれて、いくぶん調子は回復するが、まだ本調子というものではない。腫れているときは強く揉み込めないので、近くまた来てくださいと言われる。そこから参宮橋、クリクリ。K子をちょっと待たせた。エリさん、私を見て、“聞けたよー!”と言う。何かと思ったら、やっとWeb現代のサイトで、私の朗読が聞けたという。さて、ああいうのはこのヒトの趣味に合うか? 胃腸も最近の暴飲暴食で本調子でない。一品減らして自家製ハム(テリーヌのようなもの)、いろいろ野菜のオーブン焼き、仔羊ロースト。それでもおいしく食べられたのはケンの腕。東欧ばなしをケンと少し。若いころ世界中を回ったケンだが、やはり東欧が一番面白い とか。