裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

月曜日

Shocking,shocking,shockingな

 いやあ、突然兎さんの耳が切り落とされて、あたり一面血だらけで。朝7時45分起床。猫が廊下にゲロ。それも、昨日の昼のエサ(牛肉)と晩のエサ(白身魚)で、紅白のゲロを器用に吐きわけている。後でK子にそう言ったら、“碁石を飲ませたらどうかしら”と。猫ポンプで舞台に上げるか。

 朝食、トウモロコシとサツマイモ、スープ。果物は佐藤錦。新聞もテレビも、もうどこをつけても“ニッポン勝ったニッポン勝った、ロシャ負けたァ”、である。談生のホームページには早速に提灯行列の動画が載せられた。わかるには歴史的教養を必要とするイヤミである。その談生からメール。先日の会のお礼と、志加吾に何をささやいたかの内緒の報告。

 ところで、フジテレビの編成調査部が出している冊子『AURA』(非売品)に、私の推薦する日記サイトを5つ、選べと言われて選定したのだが。その中にこの談生さんのサイトの日記も入れた。他は植木不等式氏の業務中籠記(くいすぎ日記)、美好沖野さんのオキノッキ、神田森莉氏のハムスター日記、それとナンビョーY子さんの枕辺日記。この『AURA』という誌名はちとムーっぽいオカルト用語か、さもなくば『白痴』のムイシュキン公爵を思い出すが、どうも以下のような現代美術用語らしい。なにやらむやみに偉そうでいい感じである。
http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/artscape/artwords/a_j/aura.html

 海拓舎の原稿、やらねばならぬのだが体が硬直。夏コミ同人誌の資料収集に海外のネットを回る。なかなか面白くて時間のたつのを忘れる。昼は新宿に出る。昨日の日記に書き忘れたが、青山から帰ってきてエレベーターに乗ったら、同じく乗り込んできた人が私を見て、“唐沢さんですか、私、早川書房のものですが、いつもAがお世話になっております”と挨拶してきた。ここに住んでいるのだろうか。

 文藝春秋社W氏からまたメール。先日のメールの内容を細かく噛み砕いて、文春文庫ではこの著作を文庫化する意思はありません、ということです、と、こちらの傷口に塩をスリ込むようなことをご丁寧に。マチガイがあってはいけないということだろうが、しかしこっちも、以前のときの版権引き上げでごちゃごちゃ(関連会社から出た本はうちに第一権利がある、などと)言ってこなければ今回こんな質問もしなかったのである。親切なのはわかるが、過ぎると何かイヤミになる。

 昼に新宿に出て雑用すます。メシはどうしようかと思いつつ、東中野に出て肉メン食う。そのあと商店街のブックオフなど冷やかす。エロ漫画しばらく立ち読み。こないだ歩いた恵比寿西口の商店街もそうだったが、この界隈も変わったようで変わらない。ドラえもんの絵がタイル画で描かれていたあの銭湯などはどうなったろうか。駅前から看板が見えていた沼田曜一の民話教室は無くなったようだ。駅前の新刊書店、20年前にはえらくモダンな店に思えたものだったが。立ち寄って書棚を眺める。光文社のカッパブックスがフェスティバルをやっていてそのオビに曰く“2002カッパの祭典・ワールドカッパ開催中!”。ここまでアホらしいとかえって凄い。

 帰宅してバテている。夕方、海拓舎Hさんから電話。もちろん催促だが、それと共に“カラサワさん、土曜日大久保近辺にいませんでしたか”。いましたいました、と答える。海拓舎にじつはマンガ家のやまだないとさんの連絡先を教えた。面識はないのだが、例の河出書房ムックの澁澤龍彦本の中でご一緒していたので、Hさんから連絡先がわからないかと言われ、河出のAさんに問い合わせて伝えたのである。無事に連絡ついたようで、今仕事の話が進んでいるらしいが、その雑談中、やまださんが、土曜日にカラサワさんらしい人を見かけた、と話したそうだ。どうもやまださん、あの日ハンニバルにいたらしい。何かやたら盛り上がっている一行がいて、その会話がやたら面白く、二人連れで来ていたやまださんとその知人、ずっと私らの会話に聞き耳を立てて、大笑いしていたという。モロヘアーヌードとか、そんなのを聞いていたのであろう。

 8時、神山町『花暦』でK子と待ち合わせ、夕食。アジとカツオの刺身、ヒラメ酒蒸し、鮎風干しなど。その盛り上がっていた羊丸焼きの模様、恵比寿Yくん宅の愛犬プチの写真など、K子に見せられる。一人で来ている客がいて、これが板前さんに親しく話しかけ、ビールや水割りを勧めている。他の客の応対に支障を来すこういうのは迷惑とも思うのだが、嫌な顔も出来ぬ。客商売というのはこれだから難しい。9時半までいて、中途半端な時間だし、K子が歌いたいというので近くのカラオケ店に入 り一時間ほど。

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