14日
金曜日
ケンケン服膺
いうことを聞けよ!(ブラック魔王)。朝7時45分起床。雨は降ってないがどんより。朝食、トウモロコシと空豆、佐藤錦。K子が同人誌の入稿を急げというので、あわてて構成を作る。入浴、服薬、如例。どどいつ文庫から目録の新版が届いた。相も変わらぬ、紹介文の方が紹介している本よりずっとキてるんじゃないかという、面白い(しかし読みにくい)傑作目録である。これもコミケで配布するか。
午前中はエンジンかからず。資料のエロビデオを見るが、出てくる女の子が歯をむきだして笑う、その笑った顔がと学会の奥平広康くんそっくりなのでメゲる。そう言えばこないだのロフトで、奥平くんがまったく連絡つかなくなったが、行方を知りませんか、と訊かれた。考えてみればと学会会員用MLにも応答がない。一番新しい彼の名刺にあった電話番号にかけてみたが、“現在使われておりません”とアナウンスが流れる。知り合い中、一番“コンクリートに固められて海に沈められてもおかしくない”人物なので、ちょっと心配である。K子にそう言ったら“まあー、おもしろい人「だった」のにねえ”と、もう故人あつかいである。ここ、読んでたら乞ウ連絡。
昼は近くの吉野屋ですます。中田雅喜さんから電話。まだ天津敏関係を調べているが、なにしろ声優をやっていた時代の彼のことを覚えている人などほとんどいないので、苦労している様子である。昭和30年代初期の人気テレビ番組『隠密草紙』の制作メモを所持している人から借してもらって読んでいるそうだが、“主演の中村竹弥のギャラ、いくらやと思います〜? なんと一回4000エンですよ〜、4000エン〜! それでも、彼はまだ主役やからいいんですよ。敏ちゃんなんか、3000エンで出てたんですよ。あの頃のテレビって、そんなもんやったんですよ。演技とかが認められたんと違いますね。このギャラで出てくれるヤツ、おらんかというんで探されてたんですよ、絶対!”とのこと。なるほど、それじゃ天津敏がケチで有名だったのも無理はない。
W杯、日本対チュニジアで国を挙げて大盛り上がりらしいが、こちらは『ウルトラマンコスモス』主役逮捕、番組打ち切りというニュースを追いかけるのに必死。まあ私はウルトラマンコスモスに関しては無知で、主役の杉浦太陽がタイヨウではなくタカヤスと読むのも、ネットでこの件をあさって初めて知ったくらいなのであるが、いろんなところでスチールを見るたびに“こんなアイドル系のカワイイ顔した役者にウルトラマンやらせるのはどんなもんか”と思っていた。あの顔と、報道による“払わんとどうなるかわかっとるんか”という口調のギャップが凄くて、なかなか笑える。美少年の汚い言葉フェチ(いるのかどうか知らないが絶対いると思う)にはたまらぬシチュエーションだろう。二年前の事件ということだが、そういうことをやっておいて、ツラリとして役者という、全国に顔が出る仕事を選ぼうというのは、どういう神経なのかいくら考えてもわからぬ。今の子というのは、ものごとが因果関係で結ばれている、という感覚がないのではないか。
思えば某月某日某所で某氏と話したときに円谷プロのことに話が及び、某氏が吐きすてるように“あそこ、火ィつけたろか”と言ったのが印象に強く残っていた。彼が火ィつけるまでもなく、尻に火がついたな、円谷プロは。まあ、あそこは呪っている人には不自由しないところであるから。
午後4時ころから本格的にエンジンかかり、海拓舎原稿どんどんアゲる。ところが『文藝』のDちゃんとの対談のチェック縞を見て頭を抱え、そこでエンジントラブルとなってしまった。私の口調がなんかわけわからんものになっている。編集部に電話して、行数のみあわせて全部書き換える許可をもらう。“〜というね”という口調は談話を起こすときの定番の語尾であるのだが、これは一個も残したくない。
8時、船山でK子と食事。やたら盛り上がっている外人と日本人の混成の一団がいて、アア、サッカーかいな、と思ったが、まあサッカーで盛り上がっているのには違いないがどうも証券関係の人たちだったらしく、英語で飛び交う会話の中にバンクだのボンドだのデポジットだのといった単語が混じる。外人さんが“ノットヤマイチ。アソコ、イマイチ証券ネ”などとシャレを言っていた。焼き茄子とトウモロコシご飯が絶品。体調不良につきアルコール回ること回ること。