16日
木曜日
腸よ鼻よと育てられ
解剖学者の娘。朝8時まで寝る。朝食、紅あずまとスープ。本日G4搬入につき、午前中は机まわりの整理についやす。昨日の夕刊に、俳優・東野英心死去の報。掲示板などではZAT副隊長追悼、とみな言っている。“なんでZATだけ副隊長が指揮しているんだ?”と、子供心に思ったのが、記憶に残っているのだろう。私もあの役は好きであるが、それより、彼の顔は70年代NHK大河ドラマの常連(東野孝彦名義)として記憶に強く残っている。彼の演じた山内一豊や井上聞多は、ずうずうしさと愛敬を兼ね備えた、実にいいキャラクターであった。確か『署長マクミラン』で、ジョン・シャックが演じた部長刑事の声もアテていて、血筋のよさと、顔にとどまって性格にまで及ばない、適度なアクの強さがNHK好みなんだろうな、と思っていたものだ。その後も中学生日記の先生とか、NHK的な役柄に俳優としてとどまってしまったのが実に惜しい。さらにふてぶてしい悪役などを、この人が演じるのを見てみ たかったものである。
片付けをすませて、昼飯は昨日K子が寿司屋からもらってきたお稲荷さんに、卵を落とした味噌汁一杯ですませ、午後一時の搬入を待つ。ミノルタさんがやってきて、ハードディスクのデータ移し替えの準備を先にするが、今あるプリンタをG4につなぐソフトがない、ということで少しドタバタ。あと、G4ではFDが使えないので、そのためのドライバも用意しなければならなくなる。二時ころ本体が運ばれてきたがそんなわけで、今日は設置して、データを流し込んだだけ。もとのパワーPCはしばらく残しておいて、徐々にG4に移行させていく、ということになる。
気圧が低くなってきて、作業に立ち会っている途中からブッ倒れそうになり、引き上げた後、二十分ほど寝床で休む。しかし、電話頻々で、なかなか休んでもいられない。書き下ろし本用原稿、ボツボツとやる。開田あやさんの日記読んで苦笑。残念ながら、私はもう、ああいう若い女性に惚れることが出来るほどの体力を持ち合わせておりませぬ。映画作家としての庵野秀明には岡焼するかもしれない。押井守にはしない。『アヴァロン』は結局、私個人にとっては“なくてもいい映画”に過ぎないが、『式日』は、そう言いきりたくて、実際、否定するだけの材料は山ほどアタマの中に揃っていて、だがしかし、心の片隅に“本当はこういうの、撮ってみたいんじゃないのか?”という、長年押し殺していたはずの、悪魔のささやきが聞こえてくる映画なのである。
http://home.att.ne.jp/green/kaida/kari9.html
5時、時間割で世界文化社Dさんと打ち合わせ。評論本書き下ろしの件である。スケジュールを案外、余裕もってとってくれそうなので、なんとかやれそう。Dさんは高校時代、この時間割の常連だったそうな。官能倶楽部の内藤みかさんの知り合いというのに驚く。世間は狭い。来年は『ナンプレ』の連載まとめたものと合わせ、二冊 (ひょっとしてそれ以上)を世界文化社から出すことになる。
打ち合わせ後、青山まで出て買い物。帰って、井上デザインに行っているK子に電話。7時半に、四谷三丁目のワインバーでメシ。おでん、春巻、米ナスのチーズグラタンなど、てんでバラバラなメニュー。味付けは薄味でいい。ワインを四人で二本、あける。平塚くんに、明日、G4見にきてくれるよう頼む。井上くんと、いろんな人のワルクチ。帰って、今日はたっぷり寝るぞ、と勢い込んで寝る。