3日
金曜日
次は田端〜田端〜違いがわかる男ネスカフェゴールドブレンド
山手線内で思いついたことがすぐわかる駄ジャレ。朝8時起き。やはりノド、少し痛む。朝食、私は昨日と同じ。葱花湯にネギの代わりに黄ニラを入れる。K子に粉ふきイモと落とし卵。講談社Web現代書き出す。週刊で八枚はキツイ、と最初は思っていたが、毎度つい、長めになってしまう。Webなので枚数制限もある程度ゆるやかなので、この調子だと回を重ねるごとに長くなりそうである。八枚半くらいを限度にしなくては。
原稿、最後のまとめのみ残して11時に家を出て、渋谷パンテオンまで行く。東京ファンタで『ヤンガリー』を観るため。開田さんに無理言って券をとってもらったのである。行くついでに渋谷駅高架下でつけめん食べる。12時開場で11時半には着いたのだが、行列がエンエン出来ていて、階段を五階くらいまで上がらされた。メシ食ったばかりだったので、汗が吹き出て困る。と学会のIさん夫婦、編集のKくんなど、知った顔に挨拶。入場のとき、いきなりグイと腕を握られて、“ヨッ”と挨拶さ れたので誰かと思えば中野稔さんだった。
韓国の怪獣映画と言やヨンガリだろう、『ヤンガリー』などというスカした名前にしていいと誰が言った、という感じで観はじめる。オール白人キャストで、うわさ通り韓国の外貨獲得戦略映画、というムードであるが、役者陣はどれも素人に毛の生えたような演技とルックス。鍵を握るかと思われていた新聞記者が途中で消えちゃうのも呆れるし、ヒロインが老け顔なのもどうも。なんとかハリウッドゴジラのイメージを引き写した作品にしようと努力しているようだが、CG技術のセコなことに加え、ストーリィやセリフに韓国映画らしいストレートさ(乱暴さとも言う)がしょっちゅう顔を出し、その度に拍手と笑い声が起きる。大統領さえ存在を知らないUFO秘密調査機関、などというものが出てきたときには椅子から転げ落ちそうになった。いや馬鹿にしているワケではない。カイジュウ映画というものの本質はコレ、なのではないか? 適度な豪華さとチープさの同居の魅力。ヨンガリと戦うサソリ怪獣サイコールのあの怪獣々々したデザインは、ゴジラ2000のタコよりずっとよろしい。アンギラスを彷彿とさせるこいつの登場の際に、私は子供のとき感じた以来の、怪獣映画を観てのワクワク感に身を震わせてしまった。
後でゲストで壇上に上がった樋口慎嗣監督が“なんでフルCGで「ぬいぐるみの質感を出す」なんて真似をしているのか・・・・・・”と不思議がっていたが、本来はあそこで拍手があるべきだと思う。かの国は伝統を重んずる国なのである(笑)。昔、福島正実が“SFはSFである前にまず、小説なのだ”などと言い出して、日本SFを頭でっかちにさせてしまったが、やはり、識者というのは怪獣映画も怪獣映画である前に映画である、という思いにとらわれすぎていないか。怪獣映画は映画である前にカイジュウであってもいいではないか。長谷川一夫は、銭形平次の映画で、見事な演出を見せた新人監督を、ラッシュを観て自分の出演場面が少なすぎると言ってクビにして、“観客は俺を見にくるんだ、映画を観にくるんじゃない”と豪語したという。そう、怪獣映画においては、観客は怪獣を観にくるのである。もちろん、映画としての出来が悪ければ怪獣自体がショボくれてしまうだろうが、映画の完成度を重んずるのあまり、怪獣同士の対決をショボいものにしてしまったガメラ3の不満は、少なくともこの作品にはない(私の言うことだから、あまり本気にしないように)。
韓国映画のファンサイトをネットで見てみたら、この作品のレポートがあって、映画の出来に不満らしい評者(韓国人)が劇場の外へ出てみたら、この作品を見た子供たちが興奮して、ヨンガリが火を吹く真似をして大はしゃぎしていて苦笑した、と書いてあった。監督のシム・ヒョンレは『ウレオメ』などの子供向け特撮などに多く主演している(私は主演作のほとんどのビデオを持っているんじゃないか?)。子供の心をつかむことにかけてはベテランなのだろう。次の作品では、外貨獲得などというお題目は捨てて、安っぽくていい、韓国らしさをもっと前面に出した、自国の子供たちが大興奮するような怪獣映画を作ってほしいと思う。アメリカや日本の真似をする ことはない。
一旦家に帰って原稿書き上げ、講談社編集部(大手のくせに休日出勤している)にメール。イラストのK子宛にもメール。なにか凄く仕事環境が未来化した(笑)感じがする。5時半に家を出て、御徒町の広小路亭。光風寄席という催し(以前台風のさ中に中野でやったやつ)で、神田陽司と快楽亭ブラックの出演。陽司さんが中トリで出が6時40分ころ、というのでそれに合わせて行ったのだが、ギリギリで、行くと丁度出てくるあたり。なんとか間に合った。今日は競馬がテーマということ。ブラックは競馬マニアだからいいが、陽司はギャンブルなどやるタイプではなし、どうかと思っていたのだが、子供時代の競馬狂いの親父の思い出で、講談らしい形にまとめていたのはさすが。席亭の寺崎美保子氏に挨拶される。ライターやりながら、演芸会をプロデュースしているとか。以前の私と同じですな。
K子と待合せ、ハネ後に快楽亭一行と、ダイナマイト関西の店へ行こう、と言うことになるが休日で休み。そうか、文化の日だったか。仕方ないので上野市場でブラック・ブラ汁の師弟、師匠のサイト運営をやっているM氏(地方競馬の主催団体の人)と5人で飲む。競馬、プロレス、歌舞伎、落語、風俗と話題はずんで楽しい席であった。タダで入れてもらった代わりに私が支払ったが、考えてみれば招待してくれたのは陽司さんの方であり、彼に祝儀くらい包むべきであった。帰宅、12時チョイ前。