裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

7日

火曜日

ちょっとギザですが

 私磯村、エジプトからピラミッドの映像をお伝えします。朝7時起き。寝床で吉川文次郎『由来噺聞書』(大正十五年大東書房)を読む。田中貢太郎の序文を、原稿そ のまま製版して載せている。字句の訂正や書き間違いまでそのままなのが面白いが、 なんでこんなことをしたのか、よくわからない。代筆でない、ホンモノの田中貢太郎の原稿だぞ、と示したかったのかな。朝食例の如し。K子にはソーセージと菜の花の炒めもの。三田佳子次男の家に行ったことがあるという嘉門なんとかというアイドル歌手、未成年でしたからお酒は飲んでませんなどと言っているが、未成年で朝の5時帰りってのがそもそもいけねえって。昨日半チクだったフィギュア王原稿を完成させて、早めに仕事場に行ったK子にメール。

 薬局新聞の連載は早くケリをつけて終了としたいのだが、そのケリをつけるきっかけがなかなかつかめないでダラダラと、所期の目標であった二○○回を越えてもなお続いている。これを背負って二十一世紀を迎えるのはイヤなのだが、どうもそうなりそうな雰囲気である。気が重い。

 11時半に汁かけ飯一パイ流しこんで、有楽町へ出かける。おくの剛氏と、DVDの会社の社長に会うためだが、待合せの時間を過ぎても誰もマリオン下の時計のところにあらわれない。二十分ほど待つが、とうとうスッポカシとなる。確か7日と聞いたのだが、こちらの記憶違いかも知れない。何にせよ、酒を飲んで電話を取って、いいかげんに記憶していたこちらのミスである。しかしながら、スッポカシでいくぶんホッとしたのも事実。これから暮れにかけて、仕事ならともかく、雑用でこれ以上、さなきだに忙しい身をさらに忙しくはしたくない。

 山野楽器でCDでも買って帰ろうと思ったが、ここも今日は休み。三越地下で食料品を買って帰る。打ち合わせの電話数本。来年の出版について某出版社と会合の件。たまっている企画も出さねばならぬ。そうこうしているうちに網走取材、九州オタアミ、寄席に座談会と予定がキュウキュウになりつつある。まあ、毎年暮れはそうなのであるが。

 対談本原稿チェック、遅れに遅れているのを馬力かけてやり、数回分エンターブレインにメール。対談というより漫才、漫才というより酒の席でのダベリ大会の様相を呈している。まあ、面白いと思う人には面白いと思うが。時間をあまりかけすぎた推敲の欠点はここで、どこが一体面白いんだか、よくわかんなくなってしまうのだ。そこらへんから後はもう、編集さんの目だけがたよりなわけである。

 8時半、K子と待合せで渋谷ブックファースト。江利チエミ評伝、清川虹子自伝など、芸能関係本を一万円ほど買い込む。新楽飯店で夕食。腸詰、シューマイ、豚耳、イカボールなどと炒飯。席で店のおばちゃんが口紅塗っていたり、コックが競馬中継見ていたりするウスよごれた店だが、他の中華料理屋のコックがこっそり食べにくるという店である。二階席にあがると、有名人などがお忍びで食べに来ていることがよくあるそうだ。帰って、K子が読んでいる好美のぼる『魅せられた乙女』などを横から読む。好美先生極初期の作品であるが、センスのぶっとび方がすばらしい。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa