裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

月曜日

問はずガタリ

「まあ、その、われわれのこの生きる現実はリゾームとして・・・・・・」朝7時起床。燗をした日本酒の酔いによる眠りは実に心地良い。朝食、K子にポーチド・エッグ、ハムと紅玉の炒めもの。私はまた五郎金時。やや、体重、落ちた模様。林家珍平(テレビの銭形平次のガラっ八)死去。享年60歳。一応三平の弟子ではあるが、落語家系図にも載っておらず。俳優に専念していたものか。こういう人が三平門下には多かったが、いま、みなどうしているのだろう。テレビ版『ハレンチ学園』でパラソル先生をやっていた人も、確か林家だった筈。

 宅急便でデジモノ12月号届く。中の私の映画評、水野先生の『シベ超2』のところで“ボンちゃん”を“ポンちゃん”と誤記。後で気がついて差し替えようとしたのだが、年末進行体制になっていて印刷に回るのが早く、間に合わなかった。残念。肩凝りが、病的なほどひどくなり、病院へ行こうかと思ったくらい。寝転がって本を読むうち、ドサッという感じで眠りに落ち、目が覚めたら軽くなっていた。寝がまだ足りないか?

 昼はセンター街で江戸一の回転寿司。談生が日記でここの寿司を褒めていたが、私もここが渋谷の回転寿司では一番ウマい、と思っていて、よく利用している。それなのに、この店、行列もできず、いつも空いているんだよなあ。インド・アフリカ雑貨の店で、コート代わりにも羽織れる上着を見つけ、衝動買い。オマケでお香がついてきたが、これがOPIUM(ケシ)の香り。焚いて大丈夫か? 駅前の銀行に行き、入金確認、渋谷古書センターで五○○○円ほどの買い物。今後の仕事スケジュールのこと、考えながら帰る。

 原稿(フィギュア王)書き始めるが、電話数本連続で、三分の一くらいまでしか書きあがらず、5時過ぎになる。東銀座に出る。UPI試写室にて、中野貴雄監督と対談。今日買ったインドコートを着ていったら、“ホルスの大冒険みたいな服ですね”と言われた。中野監督は『チャーリーズ・エンジェル』に大感動で、“人類はこの映画を作るために進化してきたのではないか”とまで言っている。仕事の最中を抜け出してきたそうで、ときおり携帯(着メロが伊福部ゴジラ)で連絡が入り、“あ、明日十時集合です。はい、空手使いの女殺し屋役で・・・・・・”などと打ち合わせしている。相変わらずでうれしくなる。

 今日は『ギャラクシー・クエスト』フィギュア王読者特別試写会である。対談はまず、笑いも十分にとったし、無事。中野監督は仕事に戻る。私はパイプ椅子を出してもらい、三回目を見る。話の盛り上げ方も伏線もやはり見事だが、この映画の弱点はこのシナリオの精巧さかもしれない、と思えてくる。こういう映画はオタクパワー全開の、無茶苦茶に強引な展開の方があっているのではないか? と思えてきたのである。伏線が精巧すぎるから、ちょっとした瑕瑾(この役を徹底的に嫌がっているアラン・リックマンがずっとラザラスのトカゲカツラを脱ごうとしない)などが気になるのである。一時間半の映画を撮るのに出来上がってみたら二時間半になっちゃっていて、仕方なく切ったボツカット集がジャッキー・チェン映画みたいにラストに流れる(中野監督の話)という、『チャーリーズ・エンジェル』的ないいかげんな撮り方の方がオタクウケはいいかもしれない。とはいえ、ラストの危機また危機のつるべうちではやはり大興奮、大満足であった。

 渋谷に帰って、花菜でK子と飲む。サンマ塩焼、ニラタマ、とろ落ちなど。ここの料理も最近甘くなっていかん。K子は食事関係のスケジュールをこのごろやたらに組む。私は焼酎のソバ湯割を二ハイのんでごきげん。天ざる一枚。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa