裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

金曜日

近藤サド

女王様タイプらしいよ、やっぱり。

※『セクシー寄席の夢のショーパブ』ゲスト

朝9時起床
ずっとモヤモヤ。
昼はドライカレー。
食欲あまりなし。
メールやりとり。

DVDでハマープロのSF映画『火星人地球大襲撃』
見る。まるでNHKの少年ドラマシリーズのような低予算で
“SF映画”イコール“SFX”になる直前(この作品の公開の
翌年である1968年に『2001年宇宙の旅』が公開される)
の、アイデア重視のストーリーが嬉しい、人類破滅もの。
バッタ系の宇宙人のミイラは子供のころ、大伴昌司のSF記事で
繰り返し見せられていたな。
イギリスホラーSFとして、何やらジョン・ブラックバーンの
小説と共通するところがあるような気がする。
小さいところから、やたら壮大なテーマに唐突に持っていく、と
いうあたりか。

5時半、小雨の中新宿。
ゴールデン街劇場。
『セクシー寄席のお熱いショーパブ』ゲスト出演。
清水ひとみちゃんに挨拶。
熱があるのか緊張のせいか、口の中が乾き、コーラを
買ってきてもらう。

軽い打ち合わせの後、4階の事務所でオーナーと話す。
30年ほど前に、編集プロダクションをやっていたそうで、
某男性アイドルグループ、そして『宇宙戦艦ヤマト』の
特集号で稼いでいた。ちょうど私がオタク活動を最も熱心に
やっていた時代と重なるので、話が盛り上がること。
某大手アイドルプロダクションの横暴というかデタラメの対応に
驚く。夜中の3時過ぎに“明日の朝9時にインタビューOKだよ”
とマネージャーから電話が来て、それが札幌のホテルで。
あわててカメラマンから何からを押さえて一番の飛行機で札幌に
飛んでホテルに行くと、
「いやーごめん、別の予定が入っちゃってね、NGだわ」
などと言われたことが何度もあったとか。これはここのプロダクション
とつきあう儀式みたいなもので、これを黙って耐えていないと
取材が出来なかったとか。
「なんでそんなことするんですか」
「社長の×さんが昔、マスコミにさんざ無視されいじめられた意趣返し
なんだと思うんだよねえ。そういう意地悪することで自分の今の位置を
確認していたんだろうなあ」
人間の心理というものをしみじみ考える。

さらにヤマトの話。
西崎氏が『さらば宇宙戦艦ヤマト』のプログラムを100万部刷れ、
と言ったのに対し配給の東映は
「日本の映画プログラムの売り上げ記録は松竹の寅さんシリーズ
の5万部である」
という数字をタテにとって拒否。
さんざやりとりがあった挙げ句、30万部刷ったプログラムが、
初日にもう品切れ。あわてて増刷に増刷を重ね、最終的には250万
部を売り切ったとか。

「あれで西崎さん、おかしくなっちゃったんだよねえ」
まあ、そりゃ万能感にとらわれて無理ないよなあ。
その他いろんな裏話聞くが、ヤバいので省略。

で、ショー開始。いつぞやしもきた空間リバティでやった
お笑いライブ(もやしが出ていた)に出演していたラジークイーンと
原田16歳さんが挨拶してくれる。
雨でもお客はほぼ満員、TBSの人とか来ていて名刺いただいたり。

私のコーナー。エロトーク、内輪トーク、ウケた。
最初は一人で5分くらい話してくれということだったのだが、
10分以上話しても誰も出てこない、と思って袖を見たら
ひとみちゃんがマキをかけていた。
あ、自分で収めるのか、とわがおしゃべりに呆れる。

その後のサイコロトークも、若かりし頃の色ざんげ(てなことでも
ないが)で盛り上がる。
明日のゲストである原田16才さんが、やたら感動してくれていた。
交通費いただいて帰宅、メール等チェック。
明日のネタ、ぼんやり考える。

ニュースで三浦和義氏の自殺を知り、驚く。
どんな役者より役者である氏(演技性人格障害という診断を下す
医師もいる)にとり、この自殺は最後の花道、という感じがする。
しかも舞台は“あの”ロスアンゼルスである。
円環が閉じるというか、演技人としてこれ以上の死に場所はあるまい。
そして検察もマスコミもロス市警すらあざむき、あっと驚かせ、
高笑いと共にみんなを引っかき回して去っていく。いかにも
三浦和義らしい。
まるで江戸川乱歩の小説の怪人である。
私らマスコミに顔を売る商売人は演技性人格にならざるを得ず、
彼の犯罪を確信しながらも、つい参考にする目で見てしまっていた。
自らと引き比べてやや、ゾッとする部分もあり。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa