「ふはは、わがギャラクターの誇るメカ鉄獣ナメクジラーの粘液攻撃にかかりおったな！」（ベルク・カッツェ・談）朝、７時半起床。夢の中に出てきた人物がしゃべろうとするのと、夢を見ている自分がしゃべろうとするのがカチあって、お互い口をつぐんでしまう、という夢。まったく、いろんなパターンの夢を見るものだ。朝食、ホタテのフレークを使ったスパゲティ小皿一杯。果物はモンキーバナナ。

“人間の楯”とニュースサイトで検索してもいっかなヒットしない。おかしい、と思い、いろいろ調べたら“楯”ではなく“盾”だとわかった。これくらいは同字としてひっかかるよう出来ないのかねえ。マスコミや識者文化人たちはアメリカの国連決議無視を国際法違反だと言って避難しているが、この“人間の盾”こそ歴とした国際法違反である。あっちを非難してこっちを非難しないのは片手落ちだろう。パレスチナでは１７日、２３歳のアメリカ人女性がこの人間の盾の行動で、イスラエル軍のブルドーザーの前に横たわって止めようとし、あっけなく轢き殺されている。このニュースを聞いて、胸が痛むより先に、頭の中で“ぷちっ”という音が響いた。

　中野貴雄監督のサイトを見にいったら日記が開設されていた。私の日記にならってとのこと。もちろん、ダジャレタイトル付きである。植木不等式氏日記と共に三大ダジャレ日記としてネット界君臨をねらおうかと考える。私は昔、このヒトの『俺、はまってるぜ』というタイトルにぶっ飛んで以来、とにかく尊敬の一途なのである。それと共に、日記本文で、こないだ留守録に入っていた加藤礼次朗の電話の用件もほぼ 察しがついた。マルコブガラッパだったかあ。
http://shinjuku.cool.ne.jp/n_tko/diary.html

　午前中は講談社原稿。枚数が多くなりすぎて少し削る。１時半に完成してメール。郵便局で古書店に振り込み。ちょうどバスが来たところだったので乗り込んで、参宮橋の道楽でノリラーメン。店員がまだ、スキーの話をしている。そこからまたバス、と思ったら今度はちょうど行ってしまったところだったので、小田急で新宿。伊勢丹でちょっと買い物し、とって返して渋谷へ。時間割に３時、村崎百郎氏との対談。

　やはり話題は戦争のこと。しかし、主戦論反戦論含め、戦争って実に燃える。朝日も読売も、ベクトルは正反対でこそあれ、記事を書いている人の昂揚がモロに伝わってくる。中野貴雄の日記に“反戦デモですらブックがある”という名文句があった。“今の自分に出来ることは”と考えた瞬間に、相手に取り込まれることになる。ダルになることこそ、シニカルになることこそ戦争に対する最大の抵抗である。“あれだよな、われわれに出来ることと言ったら、開戦と報じられている時間に、テレビの前に出来るだけ飲み物とおつまみを切らさないということだよな”“うん、決定的瞬間は見逃せないもんなあ”などと。せいぜいが、反ブッシュ派はおつまみにプレッツェルを用いよう、というくらいか。

　イラクの株価と地価が上がっているというニュース。どうも、フセイン追放が実際のところはイラクの人々にも折り込み済みで、その後の復興援助をアテにしているらしい。まるでレナード・ウィバーリィの『小鼠ニューヨークを侵略』である。反戦非戦論でテンパっているより、こういう具合にアメリカをからかった粋な小説を読んで笑った方がずっと健康にはよろしい。ところで、今日の読売新聞に戦時国際法専門の色摩力夫氏（元外務相国連局課長）が登場、また例によって日本人の国連信仰をメタクソに言っている。まあこの人のお家芸であるが、ネットで、真面目に国際法と国連のことを語っているサイトでも、この先生の名前を“色魔力夫”と書いているところがある。検索してみると、きちんとした出版案内でまでそう記載されていた。気の毒なことである。ひょっとして、今の若い人は色魔という語を知らないで、誤変換してもそれほど気にとめないために見過ごしてしまうのかもしれない。

　モノマガからゲラＦＡＸ。赤入れて（なんかかんかあるものだ）返信。加藤礼次朗から電話。聞いたらこないだの電話はガラッパではなく、別件だった。ちょいとその話をして、雑談。ゴチちゃんがまた幸永へ行きたいと言っているとのこと。８時、Ｋ子とＨＭＶ地下の中華料理『白鳳』。コースでつまらんものを食べるなどということをせず、生春巻、フカヒレ煮込み、北京ダックの皮四ピース、など。料理は豪華に、ただし量はちょっぴりと。Ｋ子の話、鬼畜極まって実にいい。Ｋ子は以前あのサガワくんからさえ“Ｋ子さんは悪魔ですから”と言われた実績がある。人を喰った人間にアクマと言われるのもなかなか凄い。